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レイコブのインタビューから見るウォリアーズのトレード・デッドライン

昨シーズン優勝して今シーズンも優勝候補としてあげられていたウォリアーズですが、現在ウェスト6位(1/30時点)で、3位から10位までが3ゲーム差というウェストの熾烈なプレーオフ進出争いを強いられています。

数字も良いところはなく、オフェンシブ・レイティングは113.3で14位(去年は112.1で15位)、ディフェンシブ・レイティングは113.4で16位(去年は106.6で2位)、ネット・レイティングは-0.1の21位になっています(去年は5.5で4位)。数字だけ見ればまったくの普通のチームです。(*1/30時点)

それでもまだ希望があるのは、スターティング・ラインアップ(ステフ・カリー、クレイ・トンプソン、アンドリュー・ウィギンス、ドレイモンド・グリーン、ケヴォン・ルーニー)のオフェンシブ・レイティングが127.3と、300分以上プレーしているラインアップではリーグ・トップだという事実です。ネット・レイティングも19.5とトップになっています。

(*1/24時点/NBA statsデータによる:2位はナゲッツのジャマル・マレー、KCP、MPJ、アーロン・ゴードン、ニコラ・ヨキッチの122.7/106.2/16.4。ESPNのザック・ロウやThe Athleticのアンソニー・スレイターは、ナゲッツのスターターがすでにウォリアーズのスターターを抜かしたと言っています)

そのため、ウォリアーズがここまで苦戦している大きな理由には、セカンドチームを構成するジェームズ・ワイズマン、ジョナサン・クミンガ、モーゼス・ムーディーらの若手たちの準備ができていなかったからだと言われています。たしかに、2021年のロッタリー指名のムーディーは攻守でミスが多く、2Way選手のアンソニー・ラムの出場時間の方が多くなっています。2020年指名2位のワイズマンはGリーグとケガのコンボでチームのロスター枠を1つ無駄にしているような状態です。

SIのハワード・ベックのように、スーパースターのステフ・カリーのプライムを無駄にしないためにも、ウォリアーズはトレードでベテラン選手を補強するべきだと言う人たちもいます。確かに、これからシーズン後半戦に向けて盛り返して行くには、まだプレー時間を得られない若い選手をレギュラーシーズンに貢献できるベテラン選手とトレードするのがいちばん手取り早い解決方法だと思われてしまうのは仕方ありません。

しかし、トレードするにしても、予算ギリギリのウォリアーズにとって、来年のサラリーを抑えながらのロスター補強は簡単にできるものではありません。

ウォリアーズの予算は、オーナーのジョー・レイコブ曰く$400Mが上限だそうですが、The Athleticのティム・カワカミが球団ソースから聞いた話では$450Mが限界だそうです。現時点で、ドレイモンド・グリーンとドンテ・ディヴィンチェンゾがこのままプレーヤー・オプションをオプトインしたら、来シーズンのウォリアーズのキャップは14人で$510Mを超えてしまいます。

この予算を抑えるためには、このトレード・デッドラインで動くか、オフシーズンに動くかしかありませんが、サラリーを削って肝心のプレーオフにすら行けなくなってしまっては元も子もありません。または、優勝よりも予算の方が重要と言う決断を出す事も考えられます。

今回はThe Athleticのティム・カワカミが、そんな状態のウォリアーズについてオーナーのジョー・レイコブにインタビューした内容を紹介します。ウォリアーズがこの状況でどうトレードで動くのか考える意味でも有意義だと思います。はたして、ウォリアーズはプレーオフを確実にするために補強トレードをするのでしょうか?それとも勝てないと見て数年前のようにタックス節約の動きを選ぶのでしょうか?

● ウォリアーズは優勝を狙い続けるために、来シーズン$450M以上を使う事を許すのか?

レイコブ:「言い方を変えれば、端的に言って、かなりの損失を出さない限りそれは不可能だ。私はそう(それは不可能だと)言っていた。そして、それはビジネスの観点からすれば、それを検討する事自体ほとんど狂っている。しかし、私たちは様子を見る必要があると思う。なぜなら、勝つことが重要だというのは本当だからだ。また優勝したい。今年もまた優勝したいし、今年の終わりにもそう言っているだろう」

「そして今、私たちは今現在勝とうとしている。そして、私たちはそれができる良いポジションにいると思っている。私たちはまとまってきていると思う。そして、トレード・デッドラインがやってくる。私たちはチームを改善できる方法があるかどうかを見てみる。そして、今後の財務状況を明らかに改善できる場合はそのトレードをしたいと考えている。しかし、勝つことを犠牲にはしない。これをリアルタイムで評価する必要があるが、同時に未来も視野に入れなければいけない」

「私は今その質問にこう言って答えること以外はできない:”私がアグレッシブではないことがあったか?” 私たちはアグレッシブだ。それが理にかなっていて、メイクセンスして、勝利できるような真のチャンピオンシップ・モードになれる事は何でもする」

● レイコブが2021-22シーズンはオーナーになってから初めて赤字になったと言った。ウォリアーズはまた金を失うか?

レイコブ:「正確な答えはわからないが、おそらく近いものになる。それは、プレーオフでどこまで行くかにかかっている。決勝まで行けばOKだ。そうならなければ、私たちは赤字を出す事になる」

※ ウォリアーズの昨シーズンのプレーオフでのチケット売上は、1ラウンドと2ラウンドで1試合につき$7Mあり、合計6試合やったので$42Mありました。カンファレンス・ファイナルズで1試合につき$10Mで合計$30M、NBAファイナルズは1試合につき$16Mで3試合プレーし、合計$48Mの売上がありました。これでプレーオフの売上総合計は$120Mになります。ホームチームはその内の33%をキープできると言われているので、ウォリアーズは昨年のプレーオフでおよそ$40Mを稼いだ事になります。

そして、もしこれがNBAカンファレンス・ファイナルズ敗退になると、プレーオフ収益は$72Mになり、球団が得られるのは$23.7Mになります。NBAファイナルズへ行くのと行かないのでは$16Mの差が出ます。

ウォリアーズのサラリー+タックスは昨シーズンと比べて$20M多くなっていますが、レイコブはそれも加味した上で発言しているはずです。そうなると、ウォリアーズはこのプレーオフで$23.7M稼がないと赤字になってしまうという事になります。仮にプレーオフに行けたとしても、ファースト・ラウンド敗退なら赤字です。

ひょっとしたら破産したFTXのスポンサー契約も影響しているのかもしれません。

このウォリアーズの再生状況は、サラリーキャップとは関係ないところでの契約にも影響しているようです。詳しくは下で取り上げます。

レイコブ:「私が言えることは、私たちはただキープアップしようとしているだけだ。私たちは高年齢化が進んでいるが、素晴らしいプレーヤーたちが揃っているという点でユニークな状況にいる。私たちは優勝の願望を抱いているが、そうするには多くの金がかかる。そして、私たちは今後の財政を改善するために全力を尽くすつもりだが、勝つ事を犠牲にすることはない」

● 球団は経済的打撃を受けるのか?

レイコブ:「今それを見てみると、どうにかして (来シーズン$400Mを超えるサラリー+タックスを払う) 方法を考え出さなければならない可能性は確かにある。しかし、私は様子を見る必要があると思う。決定は様々な要素を考慮していくからだ」

チェイス・センターは年間$700Mくらい生み出すキャッシュマシーンですが、球団を維持するには大きなコストがかかり、どうにかして収益をあげる他の方法も考えないといけないという事でしょう。

● カリー、ドレイモンド、クレイは、彼らが望む限りウォリアーズでいられるのか?

レイコブ:「これを聞きたいかどうかに関係なく、プレーヤーは年を取り、スキルが落ちる;問題はそのすべてのタイミングを計ろうとすることだ。3人ともウォリアーズとして引退してほしい。私はそれを本当に望んでいる。私たちは本当にそれを望んでいる。そして、彼らもそれを望んでいると思う。そして、それがメイクセンスなら、私たちはそうしようとトライする」

「しかし不幸なことに、プロスポーツの歴史 ー 特にNBAを見てみよう ー 普通はそう終わらない。プレーヤーたちは時として、自分の能力よりも少し長くしがみつきたがる。球団は時として、夢をより長く持ち続ける事もある。だから、それらすべてを視野に入れ、すべてのバランスをとろうとしている。ビル・ウォルシュは、私は以前も彼の言葉を引用したと思うけど、かつてこう言ったんだ。”プレーヤーをトレードするのは、1年遅すぎるよりも1年早すぎるほうが良い。” 私は必ずしもそう考えているわけでないが、それは本当に大切な言葉だ。私たちのファンに悪い10年間を経験させたくない?とてもむずかしい計算だ」

「私は彼らをここに残したい。私は彼らにここにいてほしい。彼らがとても高いレベルでプレーしている限り、彼らはここにいるので安心してくれ。私たちの球団が素晴らしいロスターを維持するのを助けるために、私は彼らの何人かが(サラリーで)少し犠牲、または彼らが犠牲として認識するもの、を払ってくれればいいと思っている。いつもそれを望むものなんだ。そして、それは普通は起こらない。彼らのプレイヤー生命は限られていて、彼らはできるだけ多くのお金を稼ぎたいと思っている。だから私は彼らを責めることはできない」

レイコブは気持ちよりも現実を優先すると言っているように感じます。優勝に貢献した選手だからと言って、実力にそぐわなかったり、市場よりも高いサラリーで契約する事はないと言う事だと思います。また、交渉前なので、彼の立場的にそう言うしかないのかもしれません。

● ドレイモンドとクレイはどれくらい長くいるのか?

レイコブ:「まずドレイモンドとクレイのふたりは来年契約がある。だから、今先走ってここで結論を出さないようにしよう。彼らには来年素晴らしい契約がある。たくさんのお金を稼ぐ。今シーズンがどのように終わるかを様子を見る必要がある。その後、私たちが決定し、彼らが決定する。ドレイモンドの場合、彼はどうするか決めることができる。彼にはそうする力がある。彼はオプトインできるし、オプトアウトもできる、彼はやりたいことができる。私は彼に残ってもらいたい。それは彼の今の契約にとどまる事かもしれないし、誰にとってもうまく行く新しい契約をオプトアウトして再交渉する事を意味するかもしれない。または、彼は巨額な金額を提示され、私たちはこう言っている可能性もある。”どうやってそうする(その金を捻出する)んだ” そして私たちは決断する必要がある。そして、それは他の人たちのキャリアを巻き込むだろう」

「それは複雑だ。みんながそれをわかっている。不幸にも、私はボブ・マイヤーズとともに難しい状況にいる。そしてそれはしばらく続く」

※ ドレイモンドについては以前とりあげましたが、彼がウォリアーズのサラリーキャップの鍵を握ります。

ドレイモンドの再契約のサラリーは、全員戻る前提で(実際にはディヴィチェンゾはFAになれば、もっと高いサラリーと長い契約をもらえるはずなので出て行くと思います)、次のようなならなければいけません。

もし、ウォリアーズの予算が$400Mなら→オプトアウトからの$14Mでの再契約$450Mまでいけるなら→オプトアウトからの$20Mでの再契約

もし、ドレイモンドがオプトインしてサラリーキャップが爆発状態なら、シーズン中に様子を見て、もっとも使えない選手を2月までにトレードしてサラリーキャップを予算内に収めようとするはずです。ただ、その時まだ未来のあるウィギンスやプールは出さないと思われます。ワイズマンもいますが、サラリーが比較的少ない彼をトレードして節約できる金額はそれほど多くありません(サラリー+タックスで$21Mくらいしか節税できない)。そうなると必然的にトレード候補は、大きななサラリーを持ち、契約が最後の年のドレイモンド($27.5M)かクレイ($43.3M)になります。

● レイコブはワイズマンの最大のサポーターだが、ウォリアーズは彼の成長を永遠に待っていられない。彼の来シーズンのサラリーは$12.1M。彼をトレードすれば大きな金を節約できる。

レイコブ:「好むと好まざるとにかかわらず、スポーツには常にタイムテーブルがある。しかし、彼は21歳だ。それを視野に入れておく必要がある。そして彼はとてつもない才能であり、彼はすばらしいハードワーカーで、彼は本当にうまくなりたがっている。これらのことは重要だ。みんなが知っているように、彼には本当にひどい不運があった… また、彼は優勝しようとしている球団とチームにいる。若いプレーヤーたちみんなが出場できて、数字を出して、多くの経験を積むようなチームでプレーするのとは違う。私たちの若者がそれをここでするのはむずかしい。そして私たちのコーチングスタッフ、私たちのコーチ(スティーブ・カー)はベテランを出すのが好きだ。私は彼(カーの事)を責めない。彼は勝とうとしているんだ。それが彼の仕事だ。これにはたくさんのニュアンスがある」

「明らかにタイムスケジュールがあると思う。彼は良いプレーをして、プレーを改善しはじめなければいけない。でも私は、彼は実際に最初の年にかなり良いプレーをしたと思う。彼は2年目を逃した。これで3年目だ。最初はそれほど素晴らしいものではなかった、今すこしケガをしている。ジャマイカル・グリーンの欠場で、出場時間を得ていたかもしれない」

「しかし、私 ― あなたと私たちのファンのために正したい事がある ― 私たちのフロントオフィス全体とヘッドコーチがジェームズ・ワイズマンを指名したかったんだ。その点で私たちの意見は一致していた。私はみんなが物事をでっちあげるのが好きなのはわかっている。私たちは全員彼を気に入っていた。そして、私たち全員はまだ彼をとても高く評価していると思う。問題これだ:ロスターをどうにかしなければいけない。今日の勝利と今から2年後の勝利の重要性はどうなのか?そのすべてのバランスを取らなければいけない。そして財政バランスを取らなければいけない。だから、これには多くの選択肢があると思う。しかし、現時点では、私はその若者にとてもとてもポジティブだ。そして実際、それは私たちの若い選手の全員に対してもだ。私たちは素晴らしいロスターを持っていると思う」

● 2タイムラインのアプローチは楽観的だったか。

レイコブ:「今年はかなり期待していた。おそらく私たちのファンベースの多くがそうだっただろう。正直なところ、私たちは、それが今までの中でもっとも才能と層があるベスト・ロスターだと思っていた。じっくり考えよう。多くの人がそれに同意しないことはわかっている。私たちは才能があるが、それは経験がある事を意味するのではなく、一緒に良くプレーできるという意味ではなく、いろいろな物事を妨害するようなパンチ(ドレイモンドの事だと思われます)がなかったという意味ではない。しかし、私は才能の層を言っているだけだ。とても若いプレーヤーもいるが、ロスターにいる全員にとても才能があるのは明らかだ。そして、シーズンが終わるまでに私たちはとても手ごわいチームになるだろうという大きな期待を持っていた」

「それで、私たちはどこにいる?… シーズンの半分が終わっている。私たちは素晴らしいホームスタンドをした。次のゲームで 2~3勝できれば、勝ち越しになる。どうシーズンが始まったかをみると、それは明らかに私たちが期待したものではなかった。ドレイモンドのパンチ(シーズン前の練習中にプールを殴った時)は、おそらく私たちを少し傷つけた。若者たちは、理由はわからないが、早い段階で一緒にプレーしたがうまくいかなかった。おそらく、セカンドユニットとしての準備ができていなかったのかもしれない。それもうまくいかなかった。クレイはシーズンの初めにはまだ準備ができていなかった。彼は明らかに今の方が良い」

「私は今の成績に失望しているか?イエスだ。しかし、私たちは正しい軌道に乗っている思う。そして、私たちには多くの才能があると思うし、優勝できると思う」

● ドレイモンドのパンチがシーズンを狂わせたか?

レイコブ:「正直に言うと、私は他の人ほど心配していなかった。でも、今それを見ると、映像があると、感情があわらになり、それは他の何かのように、すべてが増幅される。私たちはゴールデンステート・ウォリアーズだ。それは増幅された。それを見て心配になった。そして、それは確かに私たちに影響した。それに疑問の余地はないと思う。私は心配したか?正直、少し、ちょっと。でも私はきっと乗り越えられると感じていて、私たちはそれを乗り越えたと思う」

● ドレイモンドを出場停止処分にしようと検討したか

レイコブ:「私たちはすべてを議論した。しかし、それはとても複雑な状況だった。ただこれだけ言っておこう。それは悪いことだった。ドレイモンドは大きな過ちを犯した。彼はそれを認めた;彼は謝罪した。しかし、彼はこのチームにいて、長年この球団とチームの重要な一員として多くのポイントを獲得してきた。それほど素晴らしいものではない他のいくつかの事件もあったが、しかし、全体的に、彼はこの球団のとてもポジティブな要素だ」

「彼はチームの他の何人かのプレーヤーのリスペクトを得ていると思う。…確かに、球団の人々やコーチングスタッフも重要だ。しかし、彼はそれを得ていると思う。ドレイモンドはよく話す。もちろん、彼が最近静かになっていることに気がついているだろう(編集者注: このインタビューは、ドレイモンドがポッドキャストに戻り、新しいエピソードをリリースする前に行われた)。彼は今何をしているんだ?彼は彼の仕事をしていて、本当にそれを上手にやっている。そして、彼は手本を示している」

「私が言えることは、これはタフなビジネスだということだけだ。それらは脆い。何をするのが正しいのかを直感で判断する必要がある。これまでのところ、ドレイモンドは今年は本当に良いプレーをして、私たちを率いて、奈落の底とは言いたくないが、悪いスタートから戻してくれていると思う。彼はそのことで多くの信用を得ている。クレイが戻ってきて、より良いプレーをした。やっとまとまってきた。ステフが戻ってくる。ウィギンスが帰ってくる。とても良い感じだ」

Wojによると、マイヤーズの契約が切れるが交渉が中断していて、まだオファーはないそうだが?

レイコブ:「マスコミやメディアで交渉するつもりはないが、しかし、私はこれを言いたい:私たちはボブを愛している。彼は家族だ。彼はここに、どれくらいだろう、10年いる。彼はここで大きな成功を得て、それを最大限に活かし、彼が持つすべてはそれに値する。彼はこの時点でこのリーグのGMのトップ3になるくらいとても良く支払われている。私が言えるのは、彼が何もオファーされていないというのは正しくないということだけだ。この時点で2つのオファーがあった。私がアグレッシブではなかったことがあるか?…私はただはっきりさせたいだけだ。彼は何もオファーされていないというのは真実ではない。彼は自分の人生で何をしたいのかを決断しなければならない。私たちがフェアだと感じ、彼がフェアだとと感じる適切なサラリーは何か。それは本当にただの交渉だ」

「正直に言うと、ボブが戻ってくることを完全に期待している。彼はすばらしい交渉人だ。彼に何をしてもらいたいか?彼はそうする(交渉する=メディアにリークしてレバレッジをつくる)べきなんだ。私たちはボブを愛していて、私たちは彼に戻ってきて欲しいと思っている」

※ レイコブが言っているマイヤーズのリーグTOP3の報酬の件ですが、The Athleticのマーカス・トンプソン、アンソニー・スレイター、サム・エイミックによると、それは優勝のボーナスも含めての金額だったそうです。確かにレイコブはサラリーとは一言も言っていません。実は今のマイヤーズのサラリーは$8Mと言われいて、それはリーグで6~8位くらいになるそうです。

彼よりも年棒が高いエグゼクティブは...

  • ラプターズのマサイ・ウジリ($15M)

  • シクサーズのダリル・モリー($10~12M)

  • ヒートのパット・ライリー($11M)

  • スパーズのR.C.・ビュフォード($10M)

  • ニックスのレオン・ローズ($11M)

  • ウルブスのティム・コネリー($8M)

そして、ホークスのプレジデントを辞任したトラビス・シュレンクもリーグトップ3のサラリーで契約延長をしたと言われていました。ひょっとすると$10M以上もらっているのかもしれません。シュレンクは元々ウォリアーズでマイヤーズのアシスタントをしていた&ホークスで優勝もしていないので、マイヤーズが今のサラリー(または新オファー)に満足していないのも理解できます。

マイヤーズが上のトップ6人よりもベースサラリーが高くあるべきだと言っていると言う事は、ひょっとすると彼の最低ラインは$15Mなのかもしれません。

シクサーズは2018年にブライアン・コランジェロを首にしてからマイヤーズを口説いて、リーグトップのサラリーでむかえ入れようとしたそうですが、結局マイヤーズは故郷のチームのウォリアーズを選んだようです。しかし、今回は金でもめているので、マイヤーズがこの夏にGM/プレジデントのFAになった時は金払いの良いチームへ移籍するかもしれません。候補はクリッパーズ、ウィザーズ、サンズ、ニックスだと言われています。

また、マイヤーズだけではなく、スティーヴ・カーの契約も2023~24までだそうです。カリーの契約の方が長いですね。カーとの契約交渉は今シーズン終わってから本格的にはじまりそうです。

このように、ウォリアーズの球団内部が若干不安定なように見えます。前述したようにレイコブも今年プレーオフの決勝に行かないと赤字になると言っていただけに、マイヤーズのサラリーを少しでも節約しようとしているのではないしょうか。単にマイヤーズのサラリーを増やすだけで、それがそのまま赤字に加算されて行くという事もあり得ます。

ひょっとするかもですが、サラリーキャップのタックスを削れば、マイヤーズのサラリーが捻出されるような状況なのかもしれません。そうなると、マイヤーズは自分のサラリーを得るために、ワイズマンやドレイモンドのトレードをする可能性もなくはありません。マイヤーズはそんな利己的な事をするような人に見えないので、最終的にレイコブがマイヤーズを含めて誰を出して誰を残すのかにかかっていそうです。

ちょっとマイヤーズの話は面白いのでもっと取り上げたいのですが、本筋から外れてしまうためにこの辺でやめておきます。今後もっと交渉内容が出てきたら取り上げようと思います。

● なぜプールとあの契約をしたのか

レイコブ:「私たちはジョーダン・プールと契約しなければならなかった。彼は来年の夏にもっと大きな契約を得られると信じている。TOはさておき、最近、彼もTOに満足していないのは確かだと思うが、彼はバスケットボールを得点することができる。彼はエキサイティングなボックスオフィス的パフォーマーだ。おそらくマックス契約で彼と契約するであろうチームがいくつかあると言うこの私を信じるんだ。絶対ではないが、おそらくだ。だから私たちはそうしなければならないと感じた、そして私たちはそうしたかったんだ」

ウォリアーズはシーズン前に、ジョーダン・プールと4年で$123M+インセンティブの$13Mの契約延長をしています。

レイコブの話をまとめると…

  • 勝つためならタックスも払う。お金で勝つ可能性を犠牲にしたくない。しかし、それには限度がある。

  • ウォリアーズの財政は思ったより悪く、NBAファイナルズへ行かないと赤字。サラリー+タックスが$380Mなので仕方ない。

  • ドレイモンドは様子見だが、財政+衰えのため将来的にクレイやドレイモンドがいなくなる事も示唆。スポーツに永遠はない。

  • ワイズマンは気持ち的にはキープしたい。いつまで待てるものなのか。

  • マイヤーズやカーの契約の心配はしていないとはいいつつも、交渉は上手く行っていない。

  • トレードに関しては、勝つためのもの+財政的にも正解のトレードを望んでいる。予算的には選手のサラリーを増やすよりは削るフェーズに来ている。

そもそも「勝つためのもの+財政的にも正解のトレード」は実際に存在するのでしょうか?

ウォリアーズのトレード・デッドラインに向けての動きをThe Athleticのアンソニー・スレイターが取り上げていたので紹介します。

スレイターによると、現在、ウォリアーズのフロントは大きなトレードは考えておらず、もしトレードするなら、ビッグよりも、カーにロスターの自由度を与えられるウィングを求めるようです。この方針は昨シーズンから変わっていないように思います。

また、財政的な問題に関しては、今シーズンと同じように22勝22敗だった一昨年の2020-21シーズンに、ウォリアーズはタックス節約のためにお金を払ってブラッド・ワナメイカーとマーキース・クリスをサラリーダンプし、その後2WayだったJTAと契約し、ゲーリー・ペイトンと契約しました。

今シーズンもその時と同じく、あまりプレー時間が多くないJ・グリーンをサラリーダンプして、2Wayがもうすぐ切れるラムと14人目の契約をするような小さなトレードをするかもしれないとの事。

ウォリアーズのトレード候補に良くあがるのが、ストレッチビッグのケリー・オリニクのトレードが出てきますが、オリニクはディフェンスがあまり良くないため、プレーオフの試合にはあまり出場できないと見られています。ローテーション的にも、プール、クミンガ、ディヴィンチェンゾ、イグォダラの後になりなります。そのような選手のために、まだポテンシャルがあるワイズマンを犠牲するのでしょうか?

また、現在ウォリアーズは来シーズン12人(ドレイモンドがオプトイン&ディヴィンチェンゾがオプトアウトしても)でサラリーが$212.5Mとすでにタックスラインを超えています。今期ワイズマン+ムーディーをトレードしてオリニクを2ヶ月レンタルしても、タックスラインは超えたままです。ワイズマンを手放しても、戦力アップするためには$7MのミニMLEやBAEしか使う事ができない状態に変わりはありません。

それに、ディヴィンチェンゾやオットー・ポーターのようなウォリアーズにフィットする選手が安いサラリーで来てくれる保証もありません。どちらかと言うと、ワイズマンなどの若手をトレードすると、未来の優勝や勝ち星が遠のいてしまう気もします。そうなると、ウォリアーズはこのまま2タイムラインを続ける事になりそうです。

マイヤーズはサンホゼ・マーキュリーでのインタビューで、「私たちが基本的に5割チームなのはなぜなのかはっきりした答えはあれば、デッドラインに対してどのようなトレードをすればいいのか簡単にわかるが、今シーズンに関して言えば、継続性を見つけるのも、はっきりとわかるものを見つけるのもむずかしい…私たちが勝つのを助けてメイクセンスな動きがあれば、私たちはそれをする。しかし、私は明らかに欠けているものがあるとは思わない」と話しています。

ただ、スレイター/トンプソン/エイミックによると、「現ファイナルズのMVPは彼のWin-nowの視点について次第に主張しはじめている」と言っています。カリーは戦力補強を望んでいるという事です。カリーとマイヤーズは、ESPNではじまったマイヤーズのポッドキャストを聞いてもわかるように関係は良好そうです。マイヤーズはカリーのためにレイコブを説得してトレードで補強するのか、それとも2タイムラインを継続して今シーズンは様子を見るのか?それを見極める時間はあと10日です。


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