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「足のレブロン・ジェームズ」とは何者か?

右足腱損傷のため、3週間は欠場すると言われていたレブロン・ジェームズが突然復帰しました。

その2日前にNBAレポーターを代表するシャムズ、Woj、クリス・ヘインズの3人が「レブロンはオンコートの練習をはじめ、レギュラーシーズンのラスト3~4試合で復帰できる見込みがある」的な事をレポートし、レイカーズも「レブロンの復帰のタイムテーブルはまだない」と言っていたばかりだったので、その復帰の速さは電撃的でした。

そして、その復帰試合後に話題になったのは彼のプレーではなく、この一言でした。

「私は足のレブロン・ジェームズに診に行った」

「足のレブロン」とはどんな医者なのでしょうか?ちょっとツッコミどころ満載なので、「その医者はメディカル・スクールには行かないで、高校から直で医者になったヤツの事か」とか、「マイアミから生まれ故郷に帰ってからロスに行った医者の事か」などの多くのジョークが飛び交いました。

また、レブロンはケガについてふたりの医者から手術を勧めらたそうですが、この「足のレブロン」から手術の必要ないと診断されてため、今は手術をしない事にしたと話しています。

では、この「足のレブロン」とはいったい誰なのでしょうか?

そのヒントはデニス・シュルーダーが話していました。

シュルーダーは2週間ほど前に、レブロンの復帰のタイムラインについて聞かれた時、「知っている。多くは言えない…でもドイツ人の医者はすばらしい。私が言えるのはそれだけだ」と答えていました。

そのためか、レブロンが3/6~15までチームを離れていた間、彼はドイツまで行って足を診てもらったとの噂も出てきました。

しかし、レブロンと同じエージェンシーに所属するThe Athleticのシャムズが、その噂を「私が得た情報では彼はドイツに行っていない。彼は出ていったが、ドイツへは行っていない」と否定しました。

ドイツへは行っていない?他の国には行ったという意味でしょうか?

シュルーダーもシャムズもそこはかとなくドイツ臭を漂わせながら、何か知っているかのような言い回しです。おそらくその医者はドイツに関係しているのでしょう。

すると、Meadowlark Mediaのトム・ハバストローが、シュルーダーが自身のYoutubeチャンネルでドイツ人の医者がロスにいると言っているのを見つけました。

シュルーダーはそのyoutubeで「練習場に行く途中で医者に治療してもらう。彼はロスにいて、昨日試合も観に来ていた。その後一緒にRolling Loud(hip popのフェス)に行く」とか「 私がすでに言っているように、今日私は医者に会う。彼は家に治療しに来て、私たちはその後コンサートに行く」と言っているのです。

そのドイツ人の医者の名前は「Dr. ミュラー・ウォールファート」。

Wikiによると、ウォールファートは、ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘンで40年以上チームドクターを務めていたヒーリング・ハンズ(ハンドとドイツ語のハンスをかけている)と呼ばれている有名な整形外科医だそうです。

(バイエルン・ミュンヘンのチームドクターだったDr. ミュラー・ウォールファート)

彼が治療したアスリートの中には、バイエルン・ミュンヘンの選手の他にも、ユルゲン・クリンスマン、ボリス・ベッカー、ロナウド、ウサイン・ボルトらがいるそうです。歌手のBonoもウォールファートのお世話になったとか。

NBAではコービー・ブライアントがドイツまで右膝にPRP治療を受けにウォールファートの元を何度も訪れていたのは有名な話です。

2003年にコービーのレイプ容疑事件がありましたが、それはコービーがコロラドにあるウォールファートとコラボしているステッドマン・クリニックに膝の手術を受けに行った時の事だったそうです。そんな訳で、ウォールファートは昔からコービーを通してレイカーズと繋がりがあったようです。

このレベルまでくると、ヨーロッパのスポーツ界では彼はトップレベルの医者ではないでしょうか。まさにレブロンが「足のレブロン(史上ベストドクターのひとり)」と呼ぶに相応しい人物です。

また、ESPNのウォールファートを特集した記事によると、ウォールファートは「手術を避ける事を信じている」そうで、またウォールファートはケガを早く治すために、自分で開発したアクトベギンが含まれる注射を射つそうです。アクトベギンを射つと、メタボリズムや血行が良くなり、より早い再生につながるため筋肉系のケガに効くとの事。

レブロンが当初のタイムラインよりも「早く復帰」でき、「手術の必要はない」と言われている事はウォールファートの診断&治療方針に合致します。

これはもうウォールファートこそが「足のレブロン・ジェームズ」で間違いなさそうです。

それでもひとつ気になる事があります。どうやらアクトベギンはアメリカとカナダではFDAから承認されていないみたいなのです。軽く調べたところ、少なくても2011年時点では承認されていません。今も承認されていなければ、レブロンはチームを離れている間にそれが承認されているヨーロッパの国(*ドイツ以外)やメキシコに行って治療を受けたのかもしれません。もちろんウォールファートがレブロンにアクトベギン治療をしたと言うのは完全な憶測です。でもシャムズの「ドイツへは行っていない」という言葉が妙にひっかかるのです。

ちなみにアクトベギンはFDAでは承認されていませんが、世界アンチ・ドーピング機構では禁止されていないようです。



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