見出し画像

イーメイ騒動、これまでのまとめ

セルティクスが球団規定違反のため、ヘッドコーチのイーメイ・ウドーカに1年の停職処分を課しました。これでイーメイは2022-23シーズンはセルティクスをコーチできないことになります。セルティクスは7月あたりにイーメイの違反に気づき、第三者の弁護士事務所に調査を依頼したそうです。その調査が1ヶ月ほどかかったという事なので、発覚は7月末あたりだったと思われます。このように、球団内の規定違反で出てきたのが、人事部ではなく外部の弁護士事務所だったという事からも、昨シーズンにチームをNBAファイナルズまで導いたヘッドコーチを停職処分にするという事からも、何か相当なことがあったと推測されますが、具体的な規定違反はわからないままです。

イーメイの規定違反に関して、ニュースブレイカーのESPNのWojは、部下の女性との「合意ある大人の関係」、The Athleticのシャムズは「不適切な親密な大人の関係」な関係と呼んでいて、シャムズによると、球団はふたりの関係は合意のものと考えていましたが、女性が最近イーメイから「望んでいないコメント」を言われたことを非難してため調査をはじめたそうです。TMZはフロントオフィスの女性だと言っていました。しかし、「合意ある大人の関係」や「望んでいないコメント」などの表現が曖昧すぎて、これだけだとどう捉えていいかわかりません。確実にわかっているのは、「イーメイが女性スタッフと大人の関係を持ったため、罰則が与えられた」だけでした。

そのため、これを聞いたおそらく大勢の人は、大人の関係だっただけで1年停職というのは厳し過ぎると思ったのではないでしょうか。これに対し、オーナーのウィック・グロースベックは後述する記者会見で、罰則は「実質的な調査、証拠、および事実に裏付けられている」と話していますが、新しい情報を出さなかったので、何らかの理由でまだ何か言えない事を隠しているのは間違いありません。

このように、球団内でリークを封じようとしているのが伝わってくるので、イーメイの違反が何であれ、ただの「大人の関係」以上のことだと推測されます。

また、罰則の原因が曖昧だったため、ソーシャルメディアで、セルティックスの女性スタッフたちに対して根拠のない非難が浴びせられたようです。The Athleticのジャレット・ウェイスによると、「それは、その余波に巻き込まれた人々と、比較的小さなバスケットボール運営部門よりもはるかに多くの従業員がいる球団のすべての人にとって、トラウマ的な日を引き起こした」程だったそうです。

これに対し、プレジデントのブラッド・スティーヴンスは、「私たちの組織には才能のある女性がたくさんいて、(木曜日)は彼らにとって本当に大変だったいうことです。ツイッターでの憶測やブルシットの噂をコントロールすることは誰にもできませんが、多くの人々がそれに引きずり込まれました。しかし、私は組織として今彼女たちをサポートする責任があると思います」

このような過激な反応が起きたのはセルティクスのファンっぽいな、と思う反面、ファンたちが今シーズンのセルティクスにどれだけ大きな期待を寄せていたかの証明だと思います。

イーメイの代わりになるコーチは、NBAでヘッドコーチの経験があるコーチになる訳ではありません。あたらしいインテリム・コーチには34歳のアシスタントコーチのジョー・マズーラが抜擢されました。優勝を狙えるポジションにいるセルティクスにとって、ヘッドコーチの経験のない若いコーチを指名するのは大きな決断だったと思われます。36歳のアル・ホーフォードよりも若いマズーラに、はたして優勝を目指すチームをまとめることができるのでしょうか?理由もわからないままのファンがやきもきするのは仕方のないことだと思います。

そもそも、セルティクスが透明性を持って情報を開示していれば、こんなことにはならなかったのですが… 何か言えない理由がありそうです。

ちなみに去年、ウルブスのプレジデントのガーソン・ロサスが球団内のW不倫で首になっています。それに比べたらイーメイの処分は軽いのかもしれませんが、セルツとウルブスの球団規定は全く違うかもしれないので、判断しかねます。1年停職と言えば、セクハラやパワハラで多くの従業員の心に傷を残したサンズのオーナーのロバート・サーヴァーの処分です。もうNBAのサーヴァーへの罰則が軽すぎるのか、セルツのイーメイへの罰則が重すぎるのか訳がわからなくなってきます(笑)。

また、シャムズによると、イーメイの罰則の決定は、オーナーのウィック・グロースベックとプレジデントのブラッド・スティーヴンスを含む会議で決めたそうです。会議は数時間にも及ぶ長いものになり、その後、スティーヴンスが練習場で選手達にその説明をしたとのことです。スティーヴンズは後の記者会見で、選手たちやコーチたちとイーメイの間には絆があり、個人的にケアし合っている人たちもいるので、こうすることはきびしいものがあったと話しています。

スティーヴンス:「人間は人間です。チームやコーチ、組織内の誰かがコートに戻るだけですべてがうまくいくと思ってもそうはいきません。…これは本当に、本当にきびしい状況だと思いますが、火曜日に(トレーニングキャンプのために)新しいシーズンを開始するために、全員の準備ができるようにするために必要なことを前向きに取り組んでいきます… 私たちはそれができると信じていますが、人の感情は抑えが効かなくなるという事実を無視するつもりはありません」

イーメイはこの罰則に対し声明で「選手、ファン、セルティックスの球団全体、そして私の家族に失望させてしまったことを謝罪します。チームをこのような困難な状況に追い込んでしまい申し訳ありません。私はチームの決定を受け入れます。関係者の全員に敬意を表し、これ以上のコメントは差し控えさせていただきます」とだけ言っています。

記者会見

イーメイの罰則違反が曖昧のままだったため、米時間23日に行われたセルティクスのオーナーのウィック・グロースベックとプレジデントのブラッド・スティーヴンスが参加するこの件に関する会見には注目が集まりましたが、結局発表したことは、これまでにレポートされてきたものと同じような内容で、イーメイの罰則にいたるまでの経緯とこれからのセルティクスのみにとどまりました

主な内容は:

  • 7月にイーメイと女性スタッフの大人の関係のことがわかった

  • 外の弁護士事務所を雇って1ヶ月ほど調査をした

  • ウドーカは「複数」の違反だけでなく「大量の」違反をした

  • 調査が発展するにつれて「紆余曲折」を経た

  • 罰則を決めるため、外部の監査役たちや多様性のある人たちからの助言を得た

  • 球団には守秘義務があるため、答えられないことがある

  • 停職処分でイーメイには高額のペナルティーが与えられる

  • イーメイが再びHCに戻るのかは今後決めていく

  • ジョー・マズーラがインテリムコーチになり、スティーヴンスは彼を信用している

グロースベック:「私はこの状況とセルティックスの全員への影響を懸念しています。これが新しい章の始まりであり、ある程度はページをめくって物事を前進させるチャンスであることを願っています…これ(罰則)は正しいと感じます。これに関する明確なガイドラインはありません。それは良心と直感です」

また、サンズのオーナーのロバート・サーヴァーと違うなと感じたのは、グロースベックの次のような職場環境についての発言です:「ひとりの人間として、また組織のCEOとしての私の個人的な信念は、ハラスメントやその他の嫌がらせから守るため、職場でのリスペクトと自由というコアバリューで組織を運営するし、大きな努力をすることです」

これはイーメイの違反に関連したものだと思われます。このようなバリューファーストの話を聞くと、このイーメイへの違反を具体的に発表しないのは、この件には被害者がいて、セルツはその被害者を守ろうとしているのではないかと感じます。実際に、会見ではイーメイの振る舞いで誰かが傷ついたのかと聞かれた時に、ふたりはそれを否定せずにコメントを避けています。このことからも被害者が存在するのがわかります。

TMZ砲炸裂

また、イーメイのフィアンセのニア・ロングが女優だったことから、タブロイド系最大手メディアのTMZも取材を開始し、イーメイの「親密な関係をもった女性スタッフ」とはフロントオフィスで働く既婚女性だったとスッパ抜いています。球団はふたりの不倫関係を7月には知っていたそうです。

(2017年のイーメイとニア。TMZから)

TMZによると、その女性の義務は「ウドーカのチーム関連の移動を計画する」ことだそうです。チームごとに役職の名前や枠割が違う時もありますが、彼女の仕事はチームのトラベル・コーディネーターではないでしょうか。

また、その女性は、ニアがボストンやロードでの試合を観に来るための移動の手配にも関わっていたそうです。

イーメイはNBA現役のころから7歳年上のニア・ロングと交際し、2015年に婚約。ふたりの間には10歳の息子のケズがいます。ニアとケズはなんとたった2週間前にボストンに引っ越して来て、イーメイと住む家を探していたそうです。イーメイは不倫がバレて、それがいずれ公になるとわかっていましたが、ニアには黙っていたようです。

そして、その女性は、ニアと息子がボストンに引っ越す手配にも関わっていたそうです。

(ニアとケズ、TMZから)

そして、ETのケヴィン・フレイジャーが、イーメイの不倫がバレたきっかけを明かしました。複数のソースによると、その女性がイーメイの電話を家の外で受けた時に、彼女の夫がふたりの会話をドアベルカメラ(セキュリティーカメラ)で聞いて不倫が発覚したそうです。

(ニアとケズ)

ニアはレップを通してTMZに:「この困難な時期に、家族、友人、コミュニティーからの溢れ出す愛とサポートは、私にとって大きな意味があります。最近の出来事をどうするべきか考えているので、私のプライバシーが尊重されるようお願いします。何よりも、私は母であり、これからも子供たちに集中していきます」と伝えています。

イーメイは1年の停職から復帰できるか

イーメイの1年停職処分で曖昧なのは、具体的な違反内容だけではなく、処分自体も曖昧なものになっています。今までわかっているのは、イーメイが既婚女性と不倫したという事だけです。

前述したように、セルティクスは、イーメイの今後については「後日決めていく」そうで、復帰が確実に決まっているとは言えないようです。むしろ、最終的に首になる可能性もありそうです。

セルティクスが不倫調査のために弁護士事務所を1ヶ月も雇ったという事は、イーメイに課す罰則で球団とこの件に関わった関係者にどのような損失が出るかを測りたかったのだとも思われます。罰則が解雇ではなく1年の停職処分だったのは、単に解雇すると、通常の解雇と同じように残りの億単位のサラリーを払わなければならなかったからかもしれません。1年待てば、イーメイはどこかのチームに雇われるかもしれず、そうすればセルティクスは契約上の残りのサラリーを払わなくてよくなります。

イーメイの1年のサラリーは$3Mとも言われておりESPNのスティーヴン・A・スミスは、この停職でイーメイはサラリーの半分を失うかもしれないと話していました。

復帰については、SIのハワード・ベックは、この1年の停職処分は実質首なのではないかと推測していました。Wojも「ウドーカの未来がどうなるか、1年経っても何の保証はない」し、シーズン中に他のチームのヘッドコーチ枠が空いたら移る可能性もあると話しています。

ESPNのマット・バーンズは、この件については「このボストンのシチュエーションはディープだ。どろどろとしている。私たちが思っていたものより100倍醜悪なものだ」と話しています。ESPNでこの件で動いているザック・ロウも同じことを言っていました。

こういうソースに近い人たちの話を聞くと、何があったのかますます気になりますね。やはり、ただの部下の既婚女性との不倫だけではなさそうです。

ただ、このような曖昧な状況の中でも、明らかになったことがあります。それはセルティクスがこれからもハラスメント根絶に向けて戦って行くということです。

グロースベック:「セルティクスは、ハラスメントやいかなる嫌がらせからも自由な職場を育んでいく…これは私の個人的信念だが、実証していかなければならない」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?