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NBAメディアデー

今年のオフシーズンはいつものようなトレードや移籍情報だけではなく、NBAを代表する選手のちょっと変わったトレード要求やNBAの球団オーナーへの罰則、そして謎のヘッドコーチの1年停職処分などのバスケ以外のニュースが多い印象でした。しかし、それらがオフシーズン中に起きたため、選手たちがメディアその事についてどう考えているのか話す機会がなく、それを知るにはメディアデーまで待たなければいけませんでした。

オフシーズンに起きた事はそのまま今シーズンの課題になり、シーズン中に注目する要素にもなり得るので、シーズンが開幕する前にメディアデーを通してそれらをおさらいしておこうと思います。

今年は、オフシーズンに話題になっていた以下の4チーム+選手のコンディションを取り上げます。

  1. ブルックリン・ネッツ

  2. ボストン・セルティクス

  3. フェニックス・サンズ

  4. ロサンゼルス・レイカーズ

  5. 体重

ブルックリン・ネッツ

ネッツはこのオフシーズン、カイリー・アーヴィンの契約延長のもつれからはじまったカイリーのトレードやKDのトレード要求からのHCナッシュとGMマークス解雇要求など、リーグでいちばん多くのドラマを経験したチームです。しかも、ネッツにはまだメンタルヘルスと腰のケガを患ってい昨シーズン1試合も出場しなかったベン・シモンズもいます。そのため、ネッツはメディアデーでもっとも注目を集めたチームでした。

ケヴィン・デュラント

ネッツのメディアデーでいちばん最初に登場したのがKDです。KDは理由を発表しないままトレードを要求しました。その後の数ヶ月は、ネッツからなかなかトレードされる気配がない → 球団に自分を取るならナッシュとマークスを解雇するように最後通告し、更にトレードをプッシュ → それでもトレードがなかったので、すんなりネッツに戻る?と話題を振りまいてきました。

そこでKDは何があったかを素直に認めました。トレード要求した理由は、昨シーズン中にチームを信じられなくなったからだったそうです。

KD:「昨年チームまわりはとても不安定だった。私は昨年の夏に、セカンドラウンドまで行った同じグループがいると思ってこの球団に4年コミットした 。(その時は) あともう1年健康だったら、未来に向けて何かつくれると感じていた… シーズンが進み、ケガで選手がラインアップに出たり入ったり、不確実なことがたくさん出てきた。それで私の次の4年のキャリアについて疑念が浮かんだ。私は年を取っていく…私はチャンピオンシップ・カルチャーをつくり安定した場所にいたかった。だから(ネッツには)疑念があった。私はそれをジョー(オーナー)に伝えた」

KDが4年の契約延長をした時、KDはジェームズ・ハーデンとカイリーと一緒に優勝を目指せると思ってようです。しかしその後、コロナのパンデミックで、NY市のワクチン摂取要請がはじまり、カイリーが60年ではじめてホームではプレーできないパートタイム選手になってしまい、契約延長が持ち越されました。そして、ハーデンもシーズン中にネッツとの契約延長ではなく、シクサーズへのトレードを希望。ハーデンはベン・シモンズとのトレードっでネッツから去って行きました。そして、夏にはカイリーの契約延長交渉がこじれ、カイリーはオプトアウトしてFAになるかオプトインからのトレードという話も出てきました。

当時は、友人のカイリーの契約状況がKDのトレード要求に関係していたと考えられていましたが、KDはそれを否定しました。

KD:「私が彼らの契約状況に怒っていたと言うのを見たが、全然そうではない。私ははじめからGMのオフィスやコーチのオフィスへ行って、誰と契約しろとか私にどんなプレーをさせろなどと要求した事はない。私はここに指導されて懸命にプレーする選手として来ている。多くの人は私がネッツの全てをコントロールしていると思っていると思うが、私は自分の仕事のことしかコントロールしていない」

カイリーの契約よりも、KDにとってチームのあり方が問題だったようです。KDがケガで欠場していた時に10連敗をしてしまった時のチームの状態もトレード要求の要因だと明かしました。

KD:「誰が試合に出ているかに関係なく、負けた試合の中には負けるべきではない試合もあった。だから私は毎日どのようにバスケットボールチームとしてアプローチしているかを心配していた…ステフィン・カリーとウォリアーズを見ると、彼はプレーオフに行く前にケガをしたが、彼らのチームは戦ってまだ試合に勝っていた。ルカもケガをしたが、彼らのチームは戦ってまだ勝っていた。チャンピオンシップ・チームにはそれができる… 私たちにはそれをするのに十分な才能があると感じていた」

「そして、私の中で最も重要だったのは、逆境に見舞われたとき、私たちはそれを乗り越え続けることができるかということだった…勝ったり負けたり、それらは受け入れられる。ただ結果だけを気にしている訳ではない。私たちがそこへどうやって行くかが大切だ。私は、私たちがそこまで行けると感じなかった。私はシーズン中にそれを言って試合に影響を与えたくなかったので、オフシーズンまで待って自分の気持ちをみんなに伝えた」

このようなチームへの不信感が理由であれば、なぜKDがカイリーがオプトインしてネッツに戻る事になってもトレード要求を取り下げなかったのも説明がつきます。

KDは続けて:「また、私が求めているのは、チームとして、フロアの両サイドでのプレー、GMから機材マネージャーまでのNBAコミュニティーの中でのリスペクトだ。私はそのリスペクトが欲しい。それは毎日のワークの仕方で得られると思う。昨年はワクチンの義務化、みんなの不満、ケガなどの状況のために、1年を通して私たちがどのようにワークしたかのステップをスキップしてしまった。私は私たちは前に進むためにもっとプッシュし続けられたと感じた」

このようなKDの発言を聞くと、チームのまとめ方について不満があり、それがナッシュとマークスの解雇要求につながったのかもしれないと思えてきます。

結局KDがチームに残ることになったのは、KDという歴史的な選手に対するネッツのリターン要求が大き過ぎてトレードが成立できなかったためですが(ネッツはKDをキープするためにワザとリターンを大きく出して下げなかったとも言われています)、まだネッツに残っていることについて驚いているか聞かれて:「ノーだ。私は自分がただ手放せないほど良い選手なのかわかっている。だから、それは私がショーンとジョーに感謝したことのひとつだ:”あなたは私たちが簡単に手放すことができないほど素晴らしい” それだけだ。私は自分が誰だかわかっている」

また、ネッツに戻ってきた他の理由として、ネッツのオフシーズンの動きが良く、チームとしても気に入ったからだそうです。ネッツはFAで3&Dのロイス・オニール、ポイントゲッターのウィングのTJ・ウォーレン、スモールボールで5もプレーできるマーキーフ・モリスを獲得し、パティ・ミルズがオプトイン、シューターのジョー・ハリスがケガから復帰し、去年から戦力がアップしました。

KD:「私は私たちがつくったチームを気に入った。ショーンがまとめたチームは良かった」

しかし、チームのコーチもマネジメントも主力選手も変わっていません。それに対しての自信は「1年一緒に成長した。チームとしてファックアップしたのを鏡で見て成長した… 私は全員が同じものを求めていると信じている」

結局ネッツに残ることになりましたが、もしKDが思い描くようなチームカルチャーがつくれなかったり、思い通りの成績にならなくてもチームを見捨ててトレード要求をしたりはしないそうです。

KD:「私はこのチームと前進することにコミットしている」

カイリー・アーヴィン

カイリーは、自分の契約延長交渉やサイン&トレードでの移籍、KDのトレード要求から最終通告などでドラマ続きだったネッツのオフシーズンを振り返って「めちゃくちゃな状態」と称しました。

カイリー:「デュラントがオプトインした直後にトレードを要求したと聞いて気まずかった。親友がこのトレード要求によってメディアの嵐の反対側を進んでいるのを見た。その真ん中にいるのはクラスターファック(めちゃくちゃな状態)のようなものだった」

カイリーは契約延長交渉やトレード移籍の話題などがありましたが、会見ではリラックスをしていて、変に身構えたり、気負った様子は感じられませんでした。ESPNのニック・フリーデルとも「あなたと私はシーズンが終わるまでに親友になる」などジョークも飛ばしていました。

契約延長の交渉に関しては、「選択肢はあった。しかし、多くはなかったとは言える」「私たちはこの夏に正直な会話をする必要があった。そして私たちはそうした。その会話を持った」

ワクチン接種に関しては:「私は4年$100M以上をあきらめて、ワクチン接種を受けないことを決めた。契約をしてワクチン接種をするか、ワクチンを接種せずに不確実の未来を受け入れるか。このリーグにいるかどうか、このチームにいるかどうか、私はこの決定のために仕事を失うという現実の状況に対応しなければならなかった」

去年の結果を受けてからの夏を見てきたファンにどうやって今シーズンはうまく行き優勝できるのか説明できるか聞かれ、他人の考えをどうにかしようとするのは労力の無駄だが「行動で見せていく」と答えていました。

ベン・シモンズ

このメディアデーの前に、JJ・レディックのポッドキャストですでにいろいろ話をしていたので、初のメディアとは言え、そんな久しぶりの感じもしませんでした。

また、ポッドキャストでは、2年前で最後にプレーしたプレーオフの試合でダンクをしなかった事も話や腰のケガのことを話していたので、話題は主にメンタルと腰になりました。

腰に関しては:「フィジカル的にすばらしく感じている」

メンタルに関しては:「私は自分自身にたくさんの時間と労力をつぎこんでいる。 …自分がプレーしたい場所にたどり着くために、多くの時間とエネルギーをつぎこんだ。私は誰もが暗い日々を過ごすこともあると思っている。でも、私たちはそれに対処し、必要な場所に到達するために努力することができる。それが私が今いる場所だ」

メンタル的にもフィジカル的にも試合に出れるようです。肝心なシュートに関してもレディックのポッドキャストでは「撃たなきゃいけない」と言っていただけに、今シーズン本当にシュートを撃つ事ができるのか気になるところです。

シモンズが今年スリーを何本撃つのか聞かれ:↓

スティーヴ・ナッシュ

KDから解雇しろと言われてしまっていたナッシュですが、その事について次のように答えています。

ナッシュ:「ケヴィンとは長い歴史がある。私は彼のことが大好きだ。ファミリーには問題がある。私たちにはひどい事もあったが、それはもう忘れた。それがあったことで、リーグではよくあることだ」

「ケヴィンのことは昔から知っていたので、みんなが思うほど気にはならなかった。それはコンペティターであることの一部だ。それほど驚かなかったし、すごく心配になったわけでもない」

「そのようなことが起こると、外の世界が大きく取り上げるが、内側ではそれを成長の機会と捉える」

渡邊雄太

ネッツとキャンプ契約を交わした渡邊選手はまだ開幕ロスター入りが決まっていませんでしたが、日本からはTVと紙媒体を含むメディアの15人が会場に来ていたそうです。3人のオーストラリア人がいるオーストラリアからはたった1人の記者しか来ていなかったそうで、日本からの期待の高さが伺えます。渡邊選手は日本メディアからの日本語での質問にもしっかりと日本語で答えていました。

このオフシーズンにいろいろあったネッツですが、今シーズンはたしてKDがトレード要求をするほど気にしていたチャンピオンシップ・カルチャーをうまくつくることができるでしょうか。

● メディアデーを通して見えてきた今シーズンのネッツの主な課題/話題は:

  • 去年崩れたチーム力を、フロント、コーチ、選手たちが一丸となってつくりなおせるか

  • ナッシュとKDのリーダーシップ

  • カイリーは試合に出場し続けられるのか

  • シュート力のないベン・シモンズのチームへのフィット

  • 渡邊選手の活躍

ボストン・セルティクス

メディアデーの3日前に、HCコーチのイーメイ・ウドーカが部下に暴力的な言葉を浴びせた&不倫関係になったため(誰も本当のことを知らない)、1年の停職処分を受けました。ウドーカとその部下が実際にどんな関係だったか明かされていないため、選手も含め、このチームをNBAファイナルズへと導いたヘッドコーチの処分が適切だったのかわからないままメディアデーを迎えました。

もちろん選手たちもそれに関してはじめて質問を受けました。以下、ブラウン、スマート、テイタムの答えです。

ジェイレン・ブラウン:「もっと詳細があればいい」

「私たちの知る限り、それが職場での合意に基づく関係なのかどうか決めるのはむずかしい。前には職場でそのような事があったことは知っている。でも、それ以上の可能性がありそうだけど、それは私にはわからない。私はすべての詳細を知らない。それは私とは共有されていない」

マーカス・スマート:「私たちにとって地獄のようだった」

「私たちは球団が何を知っているかはわからない…私たちは彼らが知っている事を知らない。私たちは、彼らが私たちに何を伝えるべきなのか知らない…だからこそ、このような状況になっている。文字通り誰も何も知らない。私たちは他のみんなと同じようにまだ待っている」

「選手として、それを知らせてほしいと思っている。しかし同時に、それは私たちには関係ないことだ。実際に関わった人たちがいる。それは彼らの間のことだ。私たちは彼らのプライバシーをリスペクトするべきだ。選手として知りたいが、それは私たちの義務ではない」

ジェイソン・テイタム:「私はただ知らない」

「声明を読んで、記者会を見た;彼らには話せないことがたくさんあるらしい。私も同じ船に乗っているような感じだ。私は知らない。物事が正しい方法で解決されたのかどうか、私には答えることがむずかしい。 …私はただ知らない」

ジョー・マズーラ

また、イーメイの後を継いでヘッドコーチなった34歳ジョー・マズーラは、プレジデントのブラッド・スティーヴンスが自分をヘッドコーチに選んだ時は脳震盪を起こしたはずだとジョークを言っていましたが、このイーメイの問題に関しては:「傷を急いで癒すことはでいない。私たちはこれを一緒になってやらなければならないと思う。意思決定やアイデンティティをスピードアップする必要はないと思う。私たちは忍耐強くいなければならないと思う。人間関係に関しては、これまで築き上げてきたベースと、私たちがバスケットボールコートで築き上げてきたベースと習慣に頼らなければならない。なぜならそれらは成功してきているからだ」

バスケに関しては、昨シーズンNBAファイナルズまで行ったウードカが組み込んだシステムをそれほど変えることはないと話しました。

マズーラ:「昨年のチームについては、選手とスタッフの長所と短所をお互いに理解し合おうとしていて、いちどチームが噛み合ったら、私たちは前進することができた。チームとして自分自身に問う質問は、何がうまく機能したか、そして自分たちの目標にたどり着くために何を改善する必要があるかということだ」

コーチとしては:「もし私がセルティックスに成功してもらいたいのであれば、もし私が選手たちに成功してもらいたいのであれば、私は自分がやろうとしていることに集中すべきではない。それが私たちのプレーヤーにとってはベストだ。そして、私たちがそれに集中することができるのであれば、質問は”なぜ物事を変えなければならないのか”ということになる。昨年の成功したシーズンから何に焦点を当て、どうすればそれを改善できるか?」

ロバート・ウィリアムズ

また、昨シーズンのセルティクスの圧倒的なディフェンスを支え、今年はDPOYを狙えるのではないかと言われていたロバート・ウィリアムスが、左膝の関節鏡下手術を受けたためしばらくの間欠場になりました。回復には4~6週間かかるそうですが、コート復帰には8~12週間かかるとも言われています。しばらくの間欠場になりそうです。

ロバート・ウィリアムズ:「明らかに、精神的的にキツかった。私はコートに立ちたいが、でも今できることはリハビリに専念することだ…昨シーズンの終わりに私が怪我と戦っていたことは誰もが知っている。私は男としてプレーし続ける決心をした。ケガがいつ再発しようが、それは私の決断だった。しかし、私が言ったように、私にはかなり自信がある。昨年、タイミングよく復帰することを決めた。でも、今回はうまくいかせる」

ウィリアムズには両足に膝窩動脈捕捉症候群(Popliteal Artery Entrapment Syndrome=膝窩動脈が先天性の走行異常などにより腓腹筋などに捕捉され狭窄および閉塞をきたす疾患)があり、膝の窩動脈を圧迫し、血が下の方に流れにくくなり、足がつったりふくらはぎの痛みにつながるとの事。アスレチック・トレーナーのジェフ・ストッツは、それも回復に影響があるかもしれないと話していました。タイムロードの下半身の故障の多さはこれも原因のひとつになっているのかもしれません。

● メディアデーを通して見えてきた今シーズンのセルティクスの主な課題は:

  • イーメイの停職処分の透明性のなさが選手たちのパフォーマンスに影響するか?

  • イーメイがいなくなったチームのパフォーマンスはどうなるか?チームは若いマズーラヘッドコーチの元でまとまる事ができるか?

  • マズーラのコーチング

  • ロバート・ウィリアムズのケガからの復帰

フェニックス・サンズ

オーナーのロバート・サーヴァーが、パワハラ/セクハラ、人種差別、ミソジニー、球団カルチャーの問題でNBAから1年の停職処分+罰金を受け、その5日後に球団売却を発表しました。

お金にケチで問題のある行動をとってきたオーナーがいなくなるため、明るい未来を感じさせるようなメディアデーになるかと思いきや、その真逆の暗いメディアデーになってしまったそうです。

ESPNのブライアン・ウィンドーストも同じことを言っていて:「熱狂も興奮もまったくなかった。普通メディアデーはむずかしい状況にあるチームにとっても新たなはじまりなので多くの笑顔があるものだ…記者会見の最初の90分間で1つの笑顔しかなかった…私はこのような状況を見たことがない」

そんな重い雰囲気の中ではじまったサンズのメディアデーですが、選手たちがはじめてサーヴァー問題についてどう考えているのか聞けるため注目が集まりました。

クリス・ポール

まずは、NBAのサーヴァーへの罰則が軽いと非難をしたクリス・ポール。

CP3:「残念だった。職場で起こっていることは本当に不幸なことだ…すべての選手の代わりに話すことはできないが、それを読むのはつらく動揺するようなものだった」

またポールはクリッパーズ時代にも同じようにオーナーのドナルド・スターリンの人種差別問題からの永久追放も経験しています。サーヴァーとスターリンとの違いについては次のように話していました。

CP3:「面白いことに、当時はまったく違う状況でタイミングも違っていた… オーナーシップが変わるということに関しては状況は似ているところもある。でも、私たちはプレーオフシリーズの最中だった。当時、私はずっと若かった。今回は、みんなが家族と一緒にいる夏の間に起こった。だから状況が違う。今夜はじめてチームが実際に集まる機会を持てると思う」

また、クリスはこの件に関し、NBAコミッショナーのアダム・シルヴァーとは定期的に話していたと明かしました。クリスによると、ステフ・カリー、現在NBPAのプレジデントのCJ・マコラム、そしてカイル・ラウリーもシルヴァーと話していたそうです。

デヴィン・ブッカー

そしてチームのエースで、この夏に4年で$224Mのスーパーマックス契約延長をしたデヴィン・ブッカー:「私にとっては大変だった。なぜなら、それは私が知っているロバート・サーヴァーではなかったからだ」

意外にも批判的な反応ではありませんでした。ブッカーにとってはサーヴァーはひどい面も見せずに良い人だったようです。ウォリアーズのHCで元サンズのGMだったスティーヴ・カーも同じような事を言っていたので、サーヴァーはひどい事をする/言う人を選んでいたか、本当に天然で悪意がなかったのかもしれません。

ブッカー:「それ(報告書に書かれている)は私を両手を広げてフェニックスに歓迎してくれたロバート・サーヴァーではなかったが、同時に、私はこの状況に関わったすべての人の気持ちがわからない訳ではない。みんなの人との個々の経験はいつも違っているのはわかっている」

モンティー・ウィリアムス

リーグ内でもリスペクトのあるHCのモンティー・ウィリアムスはサーヴァーについて:「ショックを受けて、信じられなかった」

Nワードを使ったことに関しては、「どんな場合でも受け入れられない」と話しました。

同時にヘッドコーチとしては、この問題を選手たちのモチベーションにつなげたいと考えているようです。

ウィリアムス:「私たちの選手はこの状況に敏感だと信じている。彼らは影響を受けた人々にすごく同情しているが、カルチャーと良いプレーが彼らのその痛みを部分的に和らげることをわかっている… バスケットボール的には、シーズンはこれでそれほど変わらないだろうが、ひとつできることがあるとすれば、それは今年を違うものにするという事だ」

ジェームズ・ジョーンズ

GMのジェームズ・ジョーンズはどちらかと言うとサーヴァー否定派です。

ジョーンズ:「私はチームの売却には賛同していると思う。関係者全員、選手、スタッフ、そしてとても影響を受けたすべての人にとって最高の結果だと思う。それは、不快感と不安に包まれた長い期間の終焉をもたらす。しかし、それはまた、私たちの組織のスタンダードを高め、模範を示して行くことに引き続き注力するための重要な変換点を与えてくれた。調査結果を見て考えるに、私たちは至高の基準を満たしていなかった事に気づく。スポーツだけでなく、社会全般において、それらの行動は認めることができない」

まだサーヴァーの相棒で今回の件でもサーヴァーを支持していたサム・ガーヴィンがチームのインテリム・オーナーになっています。ジョーンズはこんな事を言ってしまっても大丈夫なのでしょうか。彼の今後の仕事に影響がないか心配になってしまいます。

また、サーヴァーが使ったNワードについては:「あらゆる場面で、その言葉が受け入れられることはないと信じている…その言葉は私に向けられたものではないが、もしそれが誰かに向けられたものなら、それはまちがっている。それは黒人のことではなく、人間のことだ。それは侮辱的だ。その言葉はどこでだろうと受け入れられない」

サンズのメディアデーで話題になったのはサーヴァー問題だけではありませんでした。

ディアンドレ・エイトン

この夏、サンズからの契約延長をもらえずにRFAになり、ペイサーズの4年$133Mのオファーシートにサインすることになったデアンドレ・エイトン(サーヴァーがエイトンの5年目を払いたくないために、RFAにしたそうです)が、HCのモンティー・ウィリアムスとプレーオフの最後の試合から話をしていないと明かしました。

エイトン:「彼とはあの試合以来、まったく話していない」

これは多くのレポーターたちを驚かせました。

なぜなら、エイトンとウィリアムスが最後に話したのは、プレーオフのマヴスとのシリーズでのゲーム7で5月です。噂ですが、ウィリアムスがエイトンをベンチに下げた時に彼にプレーしたいのか聞いたら、エイトンは「ノー」と返した後にふたりが衝突したと言われています。その試合ではエイトンは17分しかプレーできませんでした。それがふたりが話していない理由なのかもしれません。

ESPN のティム・マクマホンはエイトンとウィリアムズの話をしていない件について「オールスターたちが現れなかったゲーム7で実質スケープゴートにされたディアンドレ・エイトンがフェニックスにいることにどれだけ喜んでいるかわからない」と言っています。

試合中に揉めた上に、移籍間際だったエイトンが残留になったにも関わらず、ヘッドコーチであるウォリアムズがエイトンの事をケアせずに夏の間ずっと会話を持たなかったとは信じられなかったのでしょう。

ウィリアムスはその事について:「私はたくさんの選手と話していない。この夏の前にも言ったが、彼らには休息が必要だった…1対1の会話については、必要な人もいれば必要ない人もいる。シーズンが進むにつれてそれを見極める。キャンプ中はいつものようにみんなと話して行く。問題にはならない」

エイトンも「私は彼に話すよりも、行動で見せる方がうまくできる。それは人生だ。誰もその不快なこと(衝突のこと)については気にしていない。後はどのようにパフォーマンスし、何をもたらすかだ。言ったことはもう済んだことだ」と答えていました。

エイトンは、サンズからは5年目の契約をもらえませんでしたが、「自分はチームと自分の名前を背負っている、ここには働きに来ている」的なことを言って、まだモチベーションがあることを訴えていました。

ジョー・クラウダー

他にもサンズにはジョー・クラウダーのトレード要求も出てきています。

● メディアデーを通して見えてきた今シーズンのサンズの主な課題/話題:

  • 現在サンズはタックスラインを14人で$16.78Mを超えていて、タックスの支払いが$34.5M、サラリー+タックスの支払いが$201.6M。

  • サーヴァーがいなくなっても、クラウダーをトレードして彼よりも大きなサラリーを受け取る事ができるか。チーム売却がどうそれに影響して行くのか?

  • チームが優勝を目指すシーズン中にサーヴァーとオーナーシップグループはタックス節約に動くのか?

  • エイトンのケミストリー問題

  • クラウダーの代わりになるウィング問題

  • シーズン中に球団売却が決まるか

ロサンゼルス・レイカーズ

オフシーズン中もラッセル・ウェストブルックのトレードの話題が続いていたレイカーズです。そんな中、新ヘッドコーチのダーヴィン・ハムの就任、レブロンの契約延長、ウェストブルックの宿敵だったパトリック・ビヴァリーのトレード、ウェストブルックとエージェントの決別、レイカーズのドキュメンタリーのリリースなど、レイカーズらしく夏中ずっと話題がつきませんでした。また、サマーリーグではレブロンとウェストブルックが言葉を交わさず確執のようなものも感じられていました。

まずはこの夏にトレードの噂話がつきなかったラッセル・ウェストブルックのメディアデーから見て行きます。

ラッセル・ウェストブルック

レイカーズから求められていると感じているかと聞かれたラッセル・ウェストブルック:「その必要はない。私はただ私の仕事をするだけだ。求められていようが関係ない。最も重要な事は仕事に現れて、いつもやってきたように仕事をする事だ:プロでいて、一生懸命にプレーしてコンピートする」

スタートするかベンチスタートになるかに関しては、「このチームが勝つために必要なことは何であれオールインする。私は自分の進む道に何が起ころうと準備ができている」と答えています。

夏の間、ウェストブルックはHCのハムとかなり話していたようですし、オーナーのジニー・バスやGMのロブ・ペリンカらにもチームのために何でもすると個別に話していたようです。

ハムはウェストブルックがローテーションに入る唯一の道は、彼が昨シーズン一度もやったことがないやり方でディフェンスに完全にコミットすることだと言っています。当然、ウェストブルックにも伝えているでしょう。ラスは昨シーズン、HCのフランク・ヴォーゲルの言う事を聞かずにディフェンスをしませんでしたが、今シーズンは期待が持てそうです。

また、レブロンとADとも何回か「とても有益」な会話をして、昨シーズン何がうまくいったかいかなかったのかを分析できたと言っています。

ウェストブルック:「どうすれば私たちがすばらしくなれるか、どうすればAD、レブロン、私自身がアンストッパブルになれるのか、とても楽観している」

ウェストブルックは頑固で知られていますが、はたして今年は変わることができるでしょうか。変わらなかったり、チームの開幕からの成績が悪ければトレードの噂が再燃するでしょう。

アンソニー・デイヴィス

バブルの時のような支配的なADの復活はなるのでしょうか。夏のアプローチについては:「昨シーズンとまったく同じことをした…私は自分ではどうしようもできない怪我を2つした。選手が私の膝に落ちてきて、私の足に着地した…私の体を休ませて治療する時間が少し持てた」

やはり、ADにとってはケガをせずにシーズンを乗り切ることが重要なポイントのようです。

AD:「私とブロンの怪我で、私たちが一緒にフロアにいる時間はとても限られたが、本当にそれだけだったと思う。レップが足りず、一緒の時間が十分ではなく… 誰も怪我をしなければいい。そして、私たち全員が健康で、練習で毎日それを達成し、優勝を願って競争できればいい…(重要なのは) 私たちがケミストリーを構築し、私たち全員が健康をキープできるようにすることだと思う」

また、(昨シーズン、レブロンとADが「ラスにラスでいさせろ」と言っていたことについてウェストブルックが「それは本当のことではなかった。正直になろう」と言ったイグジットインタビューのコメントに関して):「昨シーズン、いくつかの試合の前に、ラスに自分らしくいるように伝えた」と話しています。

また、ADはウェストブルックと何がうまくいき、何がうまくいかなかったかについて話し合ったそうです。それについては:「どうなるか興味がある」

昨シーズンは手首のケガでフォロースルーもできなかったそうで、それがスリーポイント%やプレーに影響していたとの事。レイカーズの運命はADが再びトップ10プレーヤーになれるかどうかにかかっているのではないでしょうか。また優勝した時のような支配的なプレーで試合を沸かしてくれることを願います。

レブロン・ジェームズ

20シーズン目に突入するレブロン・ジェームズは、今年はNBA史上最高得点記録更新がかかっています。NBA史上最高得点は、現在カリーム・アブドル - ジャバーの持つ38,387得点で、レブロンはそれまであと1,326得点のところまできています。レブロンが1試合平均25点でいければ、その新記録樹立は1月後半か2月上旬になるとの事。

その事についてレブロンは:「おそらく決して達成できないと言われているNBAで最も人気ある記録を私が破る直前なのは、とてもハンブル (humbl)なことだと思う」

他にもカリームの神聖な最高得点記録を塗り替えることは「スーパードープ」で「スーパーハンブル」と言ったりしているので、本人もかなり意識しているのが感じられます。その試合はカリームも招待され、NBAも盛り上がるでしょう。

夏のレイカーズとの2年$97.1Mの契約延長に関しては:「文字通りとてもシンプルなことだ。自分のキャリアと契約期間が続く限り、私は球団にコミットする。明日、レイカーズで新たなシーズンをはじめるのを楽しみにしてる」

ウェストブルックについては:「今年、彼と一緒にこのジャーニーの一部でいることを楽しみにしている。彼にとってすばらしい年になる。私たちは彼と一緒にここにいる」とウェストブルックを支持する姿勢を見せていています。

GMのロブ・ペリンカ

やはりウェストブルックのトレードについて聞かれています。

ペリンカ:「たくさんの憶測があるが、明確にする必要がある事のひとつに、レイカーズは指名権をトレードするか? 彼らは指名権をトレードしないか? (というものがあると思う) ハッキリさせておく。私たちのチームにはこのゲームをプレーしてきた選手の中でももっとも偉大な選手のひとりのレブロン・ジェームズがいる。彼は私たちと長期契約、3年契約にコミットした。だからレブロンが最後までやり遂げる事を助けるためのトレードに必要な指名権を含め、私たちはもちろんできる限りのすべてをしていく。彼は私たちの球団にコミットした。それは両者のコミットメントでなければならない」

また、戦力アップのために2027年と2029年の指名権を使うのかについては:「複数の指名権でのトレードのチャンスは一度しかない。だからそのトレードをする場合、このチームにいる特定のプレーヤーについて話しているわけではないが、もしそのトレードをするなら、それは正しいものではないといけない。それができるのは一度きりだ。だからロスターを改善するためにドラフト資本をいつ、そしてどのように使うかはとても慎重に検討している」

まだトレード市場にペイサーズのマイルス・ターナーやバディー・ヒールドよりも良いカイリーのような選手が出てくるかもしれません。それがシーズン中なのかオフシーズンになるのかわかりませんが、その時のためにも指名権を軽々しく使う気はないと言うことでしょう。

● メディアデーを通して見えてきた今シーズンのレイカーズの主な課題/話題:

  • チームの成績とそれに連動して出てくるウェストブルックのトレード

  • ウェストブルックのディフェンス

  • ADの健康

  • レブロンの最高得点新記録樹立

  • ドラフト指名権を使うか?

  • ヘッドコーチ1年目のハムの采配

体重

今年は話題になった体重の話が3つありました。

ジェームズ・ハーデン

まずは昨シーズンに太ってキャンプに入ってKDをがっかりさせたと言われていたハーデンです。ロケッツ時代からコンディショニングが良くない事で知られていますが、今シーズンは悩まされていたハムストリングのケガも治り、夏の間もワークアウトもしっかりできたようで、体重を落としてキャンプを迎えます。

落とした体重はなんと100ポンドだそうです。

ハーデン:「100ポンドだ。ツィートしてくれ」

もちろん100ポンドは冗談でしょうが、今年は体重の他にもサラリーを削って復活への並々ならぬ決意を感じさせられます。

デリック・ローズ

デリック・ローズは、HCのトム・ティボドーから体重を落とすように言われて、それを個人的にとらえたそうです。そのため、ローズはオフシーズンに体重を20ポンド落としたようで、メディアデーではシャツを着ずに現れました。

ザイオン・ウィリアムソン

このオフシーズンに5年で$193M(インセンティブで$231Mまであがる)の契約延長にサインしたザイオンも体を絞ってきました。なぜなら、その契約延長には体重制限条項がもりこまれていて、体重+体脂肪率が295を超えてはいけない事になっているからです。

去年は体重が330ポンドまで行ってしまったと言われていましたが、今は284ポンドのようで「より速く動け、より高く飛べる」ようになったそうです。契約パワーと言うことでしょうか。この調子でケガをせずにシーズンを乗り切って欲しいです。


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