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ハーデン・サガ Vol 3. 情報まとめ(8/27~10/22)

デミアン・リラードのトレードも終わり、プレシーズンも(ほぼ)終わり、NBAの大きな話題はジェームズ・ハーデンを残すのみとなりました。

このハーデンの長期間に及ぶシクサーズ・サガ篇はこれまで情報が出る度に断続的にレポートをしてきましたが、トレードなどのまた新しい情報が入ってきたのでまとめてお伝えしようと思います。

まず簡単に振り返ると、ハーデンは球団BOのプレジデントを「ウソつき」だと呼んで、「彼がいるチームでは2度とプレーしない」と発言しNBA界隈を騒がせていました。ロケッツやネッツの時はパーティーに行ったり、太ったり(?)、手を抜いたプレーをしたりとあの手この手を使ってトレードをプッシュしていた事があるので、今回はシクサーズではどういう手段に出るのかと見守られていました。

以前のハーデンの情報はこちらで整理しているので、ハーデンの過去を知らない人は見てください。

  1. Vol.1. ロケッツでのトレード要求

  2. Vol.2. ネッツでのトレード要求

  3. Vol.3. シクサーズでのトレード要求/トレード情報整理

そうこうしてトレードがないまま夏が終わりました。これまであった同じような状況から見れば、ハーデンがこのまま大人しく終わるとは思えません。案の定、ハーデンはトレーニングキャンプ前のメディアデーをスキップし、続くトレーニングキャンプの初日を休みました。そして、WojがESPNの番組の中で「彼はシクサーズを不快にさせたがっている。とても不快なため、最終的にシクサーズは彼の事を最大限に活かせずにトレードしなければいけない。」とレポートしたため、いよいよハーデンが何かしにやって来るのではないかと言われはじめました。しかし、チームに合流したハーデンは予想に反し、何の問題を起こす事なくチーム練習をこなしていました。シクサーズの主要なチームメンバーも、ベン・シモンズの件ですでにホールドアウトを経験しているからか、妙に落ち着いていて、ハーデンがどうしようが自分たちのやる事は変わらないというようなビジネスライクな対応をしており、最初の2週間はシモンズの時とは違う展開になっていました。

The Athleticのサム・エイミックによると、ハーデンはまだクリッパーズへのトレードの可能性があるため、今の所はやっかいな存在になるのは賢い選択肢ではないと考えていたそうです。また、罰金を回避しようとしているのも問題を起こしていない理由だとも言われていました。

しかし、ハーデンが水曜(10/18)の練習を無断で休んだため、再びメディアがざわつきはじめます。どうやら彼は日曜にチームのミーティングに参加した後にヒューストンに帰ってしまったようです。ひょっとしたら個人的に何かあったのかもしれませんが、ESPNのラモナ・シェルバーンがハーデンに近しい人から「これは彼がここでする計画のはじまりに過ぎない」と聞いていたそうなので、この無断欠勤はハーデンの個人的な問題ではないのかもしれません。またハーデンの母が病気のためヒューストンに帰っているという情報もあります。

ただ、ハーデンは契約の最後の年なので、今シーズン30日以上ホールドアウトするとシクサーズの許諾なしにフリーエージェントになれなくなり、いかなるプロチームとも契約できなくなってしまいます。そのため、長期的なホールドアウトはしないでしょう。そうなると、今後の焦点は、ハーデンがこのままチームと優勝を目指して一生懸命プレーをするのか、それともネッツ時代にやったように試合の手を抜くかどうかになりそうです。

今回はあらたに出て来たハーデンの情報にキャッチアップしていくと共に、クリッパーズのトレードの展開を考えて行きます。

まずはシクサーズ通のESPNのラモナ・シェルバーンが昨シーズンから夏にかけて、ハーデンとシクサーズの間に何があったのか書いた記事から紹介していきます。

ハーデンと犠牲

ハーデンは昨年の夏にプレーヤー・オプションをオプトアウトし、そのプレーヤー・オプションでもらえるはずだったサラリーからおよそ$14M低い金額でシクサーズと契約し、シクサーズがPJ・タッカー($10.5M)とダニエル・ハウス($4.1M)と契約するのを助けていたと言われていました。タッカーとハウスのサラリーを足すとちょうど$14Mになり、シクサーズがタックス回避できるので、タンパリングを疑われても仕方ありません。あまりにも疑わしいため、NBAはハーデンとシクサーズの間の事前交渉があったか調査に入りました。ハーデンとシクサーズの間の証拠は見つけられませんでしたが、タッカーとハウスの事前交渉の証拠を見つけ、シクサーズに2巡目指名権没収の罰則を与えています。

そのためか、ハーデンはシーズン通して「行けなかったところ(優勝)へ行くためには犠牲が必要だ。私はコートの中と外で本当に良い場所にいる。」などと「義務的に」犠牲という言葉を繰り返していたそうです。シェルバーンは、シクサーズはそのようなハーデンの行為を「犠牲」という美談に変えてPRをして擁護していた的な事を書いています。

シェルバーン:「そうやって”犠牲”のナレティブはつくられた。それは全員にとってうまくいっていた ― それが機能しなくなるまでは…」

本当のところは、ハーデンは金銭的な犠牲を払ったと言うよりもそうせざるを得なかったようです。シェルバーンは、「ハーデンはその時にシクサーズは新しく$270Mまでのマックス契約をオファーするのを気乗りがしないのをわかっていたそうだ。シクサーズはまだ彼を評価する途中だった。シクサーズはハーデンがマックスに値する選手か決めかねていた。ハーデンはシクサーズがそのように感じているのに感づいていた」とレポートしていて、シクサーズはハーデンが望むような契約をオファーをしていなかった事が伺えます。

オールスターのスナブ

ハーデンの「犠牲」がシクサーズから思っていたほど感謝されていなかった事がはじめて見て取れたのは、オールスター投票の時だったそうです。それまでハーデンは10年連続でオールスターになっていましたが、昨シーズンは選ばれませんでした。ネッツでチームメイトだったケヴィン・デュラントとカイリー・アーヴィンの2人はファン、メディア、選手達からスターターに投票されていましたが、ハーデンはイーストのガードでジェイレン・ブラウンに次いで4位でした。

それでもコミッショナーのアダム・シルヴァーは、ケガで出場できないデュラントの代わりにハーデンをオールスターに選ぼうとしていたそうです。NBAはハーデンにその旨を連絡をしましたが、ハーデンからは何日も返信がなかったとの事。シェルバーンによると、その時ハーデンはオールスターに投票で選ばれなかったため「すねていた」ため、即答しなかったそうです。

ハーデンがその招待を受けると返信した時には、シルヴァーはすでにラプターズのパスカル・シアカムを指名していました。

たしかCBAにはコミッショナーからオールスターに指名された時に選手は出場しなければいけない義務がある的な条項があると思いましたが、ハーデンと彼のエージェントはそれを知らなかったのでしょうか?それとも、このレポートが間違ったものなのでしょうか。

ちなみにハーデンは自身のインスタで、このレポートはウソだと投稿しています。

ただ、この話のポイントはその後のシクサーズのケアです。シクサーズはオールスタースナブ後のダメージコントロールにそれほど真剣に取り組まなかったそうです。彼らは公にハーデンのために声をあげましたが、それほどハーデン擁護にコミットしていなかったように見えていたようです。もしこの話が本当だったとすれば、ハーデンが$14Mの犠牲を払ったにも関わらずぞんざいな扱いを受けたと感じたとしても不思議ではありません。

ヘッドコーチとの確執

12月中旬、ロッタリーチームのロケッツとの結果ダブルオーバータイム戦で、ヘッドコーチのドック・リヴァースはレギュレーションの最後にタイムアウトを取らずにハーデンにオフェンスを任せていました。その試合FGが4-for-19と不調だったハーデンは39得点していてロケッツが止められなかったエンビードにボールを渡さずに、ラスト3ショットをシュートしました。試合はダブルオーバータイムにもつれ込み、結果敗けてしまいました。

翌日、リヴァースがフィルム・セッションでハーデンにそれを指摘すると、ハーデンは異議を唱え、ボールをエンビードに渡せなかっただけだと言っていたそうです。それからハーデンとリヴァースの間の「ボヤ騒ぎ」はシーズン中ずっと続いていたそうです。

ハーデンがセルティクスとのプレーオフのゲーム7に敗れた後、「私たちの関係はOKだ」とだけ言っていて、首になったリヴァースはハーデンをコーチする事について、「挑戦だった。というのも、私たちは2つのことを戦っていたからだ。ジェイムズはある特定のプレーがとてもうまかった。でも私が勝つために必要だと信じているプレーはある意味違う。なぜなら、それはたくさんボールをあきらめて、ボールを動かし、ボールに戻る事だからだ…だから、もし彼がもっと若くて、ドリブル・ハンドオフから、ダウンヒルに行ったりする事ができるような選手だったら面白かっただろう。彼はロケッツ時代よりもうまくフィニッシしていなかった。年をとったらそうなる。彼を動かして、彼にしてほしいプレーをさせていた時、その年の前半は私たちはベストチームだったと思う。その時はジェームズはパーフェクトなバスケットボールをしていたと思う。彼はまだ得点していたが、よりプレーメイキングと得点をしていた。その年の後半になると、彼はより点を取り始めて、もっと点を取ろうとしていて、私たちは時として停滞したと思う。私たちは変わったと思う。」と話して、あまり関係が良くなかった事が伺えます。

他にもハーデンとリヴァースがうまく行っていなかったエピソードがあります。

2/27にシクサーズはホームでヒートに101-99で負け、その2日前の夜にセルティクスにも110-107で負けてしまいました。そして2日後にはアウェーでヒート戦があり、優勝を狙うチームがライバルに負け続ける訳にはいきません。チームは再びシーズンに集中する必要がありましたが、ハーデンはフロントから許可をもらってマイアミにチームと一緒に移動せずに、マイアミでナイトライフを楽しんだそうです。このような事はNBAではあり得る事のようですが、リヴァースと何人かの選手はその事を良く思っていなかったそうです。

リヴァースはその事をチームミーティングで持ち出して、ハーデンの行動について懸念している選手たちの名前をあげてしまったのです。ハーデンに責任感を持たせようとするのは良いですが、名前を出された選手は気まずい思いをしたそうです。それでもハーデンのマイアミでのパーティーとその後のミーティングはコートでのプレーには影響しなかったようで、ヒートにはエンビードなしで119-96で勝っています。(ちなみにその試合でのハーデンの数字は、37分で得点が23点、FGが6-15、リバウンドが7本、アシストが5本、TOが3で+17でした)

結局、リヴァースはセルティクスとのプレーオフシリーズに負けた2日後に首になりました。理由は優勝に届かなかったというのが公式の発表ですが、非公式ではリヴァースのために再びプレーしたがらなかったハーデンのためだったと言われているそうです。

シェルバーン:「正しいバスケをしたがっていたリヴァースとハーデンの関係には時間と信用が必要だったが、シクサーズはそれを育まなかった」

フリーエージェンシーの交渉

モリーはハーデンとの再契約をチームの最優先事項にしていましたが、内部では彼にどれだけ何年の契約をオファーするべきか真剣に議論されていたそうです。この時のハーデンの再契約は最高4年$210Mまででした。シェルバーン:「マブスがカイリーにオファーした3年$126Mは適正か?」

Fox Sportsのヤーロン・ウェイツマンは、「モリーはハーデンに戻ってきて欲しがっていたけど、それは4年契約でもマックス契約でもなかった。彼と球団はそのような契約はオファーできない事で合意していた」とレポートしています。

クリスマスからハーデン獲得の興味があると噂されていたロケッツはイーメイ・ウドーカをヘッドコーチに雇った後にの彼への興味を失っていたそうです。ウドーカはロケッツに過去に戻らずに新しいカルチャーを築こうとしていたためで、ハーデンよりもディフェンスもできるディロン・ブルックスやブルック・ロペスを欲しがっていたそうです。キャップのあるチームもありましたが、彼らのPGは足りており、ハーデンの再契約交渉のレバレッジはありませんでした。

ハーデンとロケッツの関係についてはESPNのザック・ロウが次のようにレポートしています。

ロウ:「新ヘッドコーチのイーメイ・ウドーカを含むロケッツの決定権を持っている人たちがハーデンよりヴァンヴリートを選んだ理由のひとつにヴァンヴリートのオフボールでプレーできる能力がある。ウドーカは『ジェームズに対して悪意はない。でもフレッドの方がフィットが良かった。私はブルックリンでジェームズをコーチした。彼は私が見てきた中でこれまでで最もスマートな選手のひとりだ。私の口から”イーメイがジェームズを欲しがっていない”という言葉が発せられた事はない。それは”ベストなフィットを見てみよう”だった。もし私たちがジェイレン(グリーン)と若い選手たちに次のステップに進もうとするなら、彼らにボールを持たせる必要がある。私がジェームズを欲しがっていないと言ったという事に関しては、そんな事はいちども言った事がない。それはフィットだった。』と言った」

ESPNのスティーヴン・A・スミスも同じような事をレポートしています。

SAS:「先週私がとても信頼がおけるヒューストンのソースからそこでで何があったか教えてくれた。ヒューストンはイーメイ・ウドーカを連れてきた後、ハーデンと話していた…ジェームズ・ハーデンは実は自分の口で自分をマックス契約から外してしまった。なぜなら、彼はそこでどうやって得点王に戻りたいのか話した。イーメイ・ウドーカは『ノー、私たちはここでそれをやろうとはしていない。私たちはそれとは少し違う事を築いて行く』と言った。」

ウェイツマン:「まず4月末にロケッツがイーメイ・ウドーカをヘッドコーチに雇った。ウドーカはハーデンがネッツにいた時にアシスタントだった。ウドーカの考えを知る人たちによると、その時ウドーカはハーデンのファンではなかった。それでハーデンのロケッツ行きはなくなった」

シェルバーン:「ハーデンには誰も興味がなかった。」

ロケッツを失った彼に残されたレバレッジはモリーだけになってしまいました。しかし、いちばん大切な時に、モリーはハーデン側からの電話には出る事はありませんでした。それについてハーデンに近いソースは、「ジェームズはダリルがバっくれたと感じている。彼は裏切られたと感じている」と言っていました。

ハーデンからすれば、$14Mも犠牲にして、プレーも犠牲にしてチームに尽くしたのに、この仕打ちはなんだ?という感じでしょうか。

モリーとシクサーズを待つ代わりに、ハーデンと彼のエージェントたちはプレーヤー・オプションの$35.6Mをピックアップして、トレード要求をしました。CBAでは契約延長は契約してから最低2年経っていなければならないので、今の契約からまだ1年しか経っていないハーデンは契約延長ができないので、最低3年の契約延長が条件のサイン&トレードはできません。そのため、ハーデンがシクサーズから出て優勝候補チームに行くのためには選択肢はトレードしかありませんでした。

シクサーズはハーデンの決断に驚き、彼と彼のエージェントにはNBA史上最大のタンパリング罰則をくらっていたため、距離を取っていただけで、すぐに再契約するつもりだったと伝えたそうです。シクサーズはバードライツを持つ自分だけがハーデンにいちばん高いサラリーをオファーできると安心しきっていたのかもしれません。

しかし、ハーデンの気持ちはすでに遠くに行っていました。別のハーデンに近いソースは、「ジェームズはそれらをとても個人的にとった。彼は間違ったように扱われたと感じた時、彼はとても頑固になる」と話しています。

モリーは次の数週間ハーデンをそっとしておく事にしました。モリーはハーデンを欲しがっているクリッパーズとニックスにトレードしようと話を持ちかけましたが、8月中旬になってもモリーが求めているリターンを与えてくれるようなチームは出てこなかったそうです。

Wojはシクサーズはニックスと初期の段階で話をしていましたが、ニックスはハーデンの1年レンタルには興味がなかったと言っていました。そして8/12に、Wojがシクサーズはクリッパーズとの交渉を止めて、トレーニングキャンプに参加すると見込んでいるとレポートしました。

ハーデンはそのレポートが出る前に、チームの決定を伝えられたそうです。ハッピーではなかったハーデンは、8/14に中国でのアディダスのイベントで「ダリル・モリーは嘘つきで、彼がいる球団では二度とプレーしない」と声をあげるに至ったそうです。

クリッパーズとのトレードについて

ここからはクリッパーズのトレードにまつわる情報まとめです。

Wojによると、クリッパーズはまだジェームズ・ハーデンのトレードをやりたがっているようです。しかもそれを「できるだけ早く」終わらせたがっているとの事。クリッパーズのオフェンスはカワイ・レナードやポール・ジョージがボールを持つスタイルなので、更にユーセッジが高いハーデンがフィットするとは思えませんが(ディフェンスはスウィッチ多用になると思うのでフィットしそうですが)、The Athleticのロウ・マレーによると次の理由があげられるそうです。

  • オーナーのスティーヴ・バルマーにとってレナードとジョージのタイムラインにぴったりとハマるハーデンは魅力的だ。レナードとジョージは今シーズン後にプレーヤー・オプションがあり、契約延長が可能。ハーデンも来年の夏にはFAになって再契約ができる。

  • フロントオフィスはビッグガードを好んでいる。ハーデンは6’5”で220ポンドだ。それよりも大きなガードは滅多にいない。

  • ウェストブルックにもし何かあった時のための選択肢になり得る。

  • ヘッドコーチのルーはトラディショナルなPGを気に入っている。ルーは昨シーズン試合をウェストブルックではなくエリック・ゴードンでクローズする事もあった。ハーデンはリーグのアシスト王で、11年連続平均20点以上を記録している。

フィラデルフィア・インクワイアラーのキース・ポンペイは、クリッパーズはレナードとジョージの得点の負担を軽減させるために、レギュラーシーズンの得点力を欲しがっているとレポートしています。

クリッパーズのヘッドコーチのタイ・ルーは、トレードの噂になっているマンについて、「私たちは彼をポイントガードにつけて始められる。私たちは彼をステフとデイムやそのような選手たちにつけられる。それから私たちは彼をラウリ・マーカネンのような大きな選手につけてプレーできる選択肢もある」と言って、ルー的には2、3、4の他にもポイントガードを守れるマンのヴァーサティリティーを重宝している事が伺えます。若い(?)マンが相手PGを守ってくれればカワイやジョージの守備の負担が減りますし、繋ぎ役として今まで以上に重要な役割を担えるかもしれません。

それにThe Athleticのジョン・ホリンジャーのフォーミュラではマンをハーデンに変えると4勝プラスできるそうです。ひょっとすると、マンがロールプレーヤーとして使えるといいつつながらもまだハーデン獲得から引き下がっていないのは、クリッパーズのフォーミュラでも同じような数字が出ているからかもしれません。

またクリッパーズは来シーズンにいよいよ球団初のアリーナのお披露目が控えています。バルマーにすればアリーナに人を集めるために、ひとりでもオールスターレベルの選手が欲しいはずです。カワイ・レナード、ポール・ジョージ、ラッセル・ウェストブルックにジェームズ・ハーデンが加われば、アリーナの外の選手写真も盛り上がりそうです。

シクサーズの方はハーデンのトレードではそれ以上を望んでおり、クリッパーズからはテレンス・マンと複数の1巡目指名権を求めていたそうです。ポンペイは、「シクサーズはクリッパーズのパッケージではテレンス・マンと複数の1巡目指名権に興味を示しているそうだ。しかし、ダリル・モリーは、テレンス・マンがアンタッチャブルなのを知っている。シクサーズはハーデンのトレードでオールスターとアセットを欲しがっている。だからスワップは十分ではない。シクサーズは、ビッグマーケットでプレーオフチームでい続けようとするクリッパーズからの指名権は選ばないとの噂がある。」とレポートしています。

エイミックによると、シクサーズが望んでいたパッケージは次のような内容だそうです。

  • プロテクションなしの1巡目指名権

  • 1巡目指名権スワップ

  • サラリーマッチの選手

  • テレンス・マン

しかし、クリッパーズはマンをオファーしませんでした。彼らがオファーしたのは、「プロテクションなしの1巡目指名権」、「1巡目指名権スワップ」、「サラリーマッチの契約が切れる選手たち」だったそうです。彼らは市場で唯一オファーをしているチームのため、シクサーズには市場価値以上のオファーをする必要はないと考えているそうです。シェルバーンも「クリッパーズはジェームズ・ハーデンを取るために何が必要なのかわかっている。これは彼らがどこまでやろうとしているかだけだ…彼らの相手はどこまでシクサーズが妥協するかだ。」と言っていましたが、同時にクリッパーズは「その34歳のために払い過ぎる必要はない」と思っているそうです。しかもそのオファーが7月からあがってないようで、シェルバーンの「ハーデンには誰も興味がなかった。」という言葉が響きます。

これに対してモリーは「不信感を露わにし、クリッパーズを『真剣ではない』と非難した。もし劣るアセットをキープしたいなら、ポール・ジョージをトレードすべきだ」とジョークを言ってマンを要求しましたが、それはクリッパーズから「すぐに否定された」そうです。

Wojは「ダリル・モリーのモチベーションは、クリッパーズから得たものが何であれ、それをジェームズ・ハーデンの代わりになる他のオールスターレベルのガードに変える事だ。」とレポートしています。シクサーズはクリッパーズから得たアセットを、エンビードが優勝を争うのを助けるような「インパクトのある選手」に変えようとしているそうなので、モリーにとっては1巡目指名権に変えられるであろうマン、または1巡目指名権の数が重要そうです。

エイミックによると、シクサーズはマンをトレードで得た時のために、すでにマンと1巡目指名権のトレードを手配済みのようです。どのチームなのか気になりますね。

シクサーズの最終的な目標は、シーズンに入ってからそれらのアセットをオールスター級の選手にオファーする事です。彼らはハーデン級の選手にしてはクリッパーズからのリターンは低いと考えていますが、それが「関わるすべての人たちにとって公平なものだと信じている」ため、マンを取れさえすればトレードしても良いと考えているようです。おそらく、シクサーズは切れる契約と3つの1巡目指名権(自身の1巡目、クリッパーズの1巡目、他チームからの1巡目)などでオールスター級の選手を狙っているのでしょう。マンが全てを止めている事を考えると、不思議な感じもしますが、これも駆け引きでしょう。

クリッパーズもある程度の努力はしていて、1巡目指名権を複数の1巡目指名権に変えようと他チームと交渉しているそうです。おそらくクリッパーズは自分のプロテクションなしの1巡目指名権と他チームのプロテクションがかかった2つの1巡目指名権を得ようとしていると思われます。エイミックによると、「クリッパーズはオファーをテコ入れしてトレードを終わらせるために、いくつかのチームとスワップと追加の指名権を得ようとして交渉している」そうですが、あまりうまく行っていないようです。また、「モリーはクリッパーズのふたつの1巡目指名権―ひとつは自身の、もうひとつは他チームの―を拒否した。指名権の質が悪いためだ。モリーの興味はクリッパーズのアセットだけだ」そうです。クリッパーズはポール・ジョージのトレードでハマっていた「1巡目指名権地獄」からやっと抜け出したばかりなので、この状況下で2028年と2030年のふたつの1巡目指名権を出すのを躊躇っていると思われます。

このようにシクサーズの売値とクリッパーズの買値の乖離が大きすぎて交渉がなかなか進んでいません。Wojも、「シーズンに入ってもスロー(な展開)になるかもしれない。」と時間がかかりそうだとレポートしていました。」

では具体的なトレードはどうなるのでしょうか。

ハーデンには15%のトレードキッカーがあるので、クリッパーズに入ってくるサラリーは$40.9Mになります。そのためクリッパーズは最低でも$37.26Mのサラリーをまとめて出さないといけません。そうなると、クリッパーズがこのトレードでパッケージに入れているのは、マーカス・モリス+ニコラス・バトゥーム+ロバート・コヴィントンです。おそらくシクサーズが求めているのは、マーカス・モリス+ロバート・コヴィントン+テレンス・マンだと思われます。

今後のトレードの展望に関しては、クリッパーズがトレードシーズンが実質的に明ける12/15までに勝てていればハーデンを必要ないと考えるかもしれませんし、逆に負けすぎていてもハーデンのために未来を削るような事はないかもしれません。または、12/15になれば、ハーデンがいれば勝てると思った他チームがオファーをしてくるかもしれません。そうなればクリッパーズもマンを交渉テーブルの上に置くかもしれません。いずれにせよ、このタイミングでのトレードはむずかしいでしょう。

気になる今後の展望

ハーデンはハーデンが今期はじめてインタビューを受けた時に、プレシーズンの最後の試合は出るかもしれないと言っていましたが、B/Sのクリス・ヘインズによると、ハーデンは最初からシクサーズで試合に出るつもりはないそうです。それでもハーデンはシーズンに向けて、昼間はシクサーズのドリルをこなして、夕方から夜に自分で練習をしていたとの事です。きっと今もヒューストンの自宅でワークアウトしているのでしょう。

ハーデンとシクサーズに関しては、インタビューでモリーとの関係修復について聞かれた時に「これはこのシチュエーションについてだけの事ではない。これは人生についての事だ。誰かの信用を失った時、それは結婚のようだ。わかるか?とても簡単な事だ。私とそのフロントオフィス(モレーの事)はとてもとても良い関係を10年続けた。コミュニケーションは常にあった。プレーオフで負けたら、コミュニケーションがなくなった」と言っていて、依然としてふたりの関係は修復しそうにありません。火曜の夜の時点では、ハーデンはモリーに激怒したままだそうで、チームとコミュニケーションはGMのエルトン・ブランドを通して話しをしているそうです。

ハーデンもこのトレードの状況を理解していて、クリッパーズはすでにトレードの基準をすでにクリアしているので、「モリーの方が条件を変えるべきだと信じている」そうです。逆にシクサーズの方は、「ハーデンの怒りはクリッパーズに向けられるべきだと信じている。もしクリッパーズがマンをトレードに含めれば、ハーデンの望みはかなっているはずだ」と思っているそうです。火曜(10/17)の夜の時点では、ハーデンはモリーに激怒したままだったそうで、このまますれ違いでシーズンを迎えそうです。

シクサーズはもしハーデンが手を抜いたプレーした場合には試合には出さないようにするそうです。新ヘッドコーチのニック・ナースもフィルム・セッションでそれを指摘しなければならず、もし指摘してもハーデンが直す気がなければチームの「癌」になり、ナースが指摘しなかった場合でも他の選手たちから不満の声があがるはずです。そのような「不快な環境」を避ける意味でもハーデンを休ませるのでしょう。その方がトレードに備えてケガも防げます。バスケに関しても、昨シーズンのハーデンなしのエンビード&マキシィコンビはオフェンスが120点以上というNBAトップレベルの数字を叩き出しているので、ハーデンがいなくてもあまりデメリットはないと考えるかもしれません。

Yahoo Sportsのジェイク・フィッシャー:「今夜ひとりのソースから、クリッパーズはシクサーズとの最近の交渉で、まだテレンス・マンと指名権を含めるつもりはないと聞いた。ジェームズ・ハーデンは来週の木曜のバックスとの開幕戦でシクサーズのロスターにいる可能性がますます高くなっている。」


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