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改めて、L⇔Rと黒沢健一について語りたい

(2024年4月に追記あり。目次の最後の項目の部分です。)
 
 最近写真を全然整理していなくて、まとめたいことはいろいろあるんだけどスポーツ系の話はちょっと置いといて、今回は音楽の話。 

 先日、それぞれL⇔Rが30周年と黒沢健一さん没後5年になった、というのと、今までサブスク解禁してなかったソロアルバムが解禁になってたりっていうのでそのへんの話を。

 折に触れ書いてるから軽く(私のことだからあやしいが)自分目線の紹介。

 作りたいものにこだわりたかったバンドがL⇔Rで、その中心人物が黒沢健一、っていう紹介はだいぶ主観が入ってるかしら、でもそういうふうに捉えていて、今よりも音楽を創る人たちが売れるということと不可分の度合いが強かった時代にやろうと思ってることをやろうとしてた人たちだから好きである、という感じ。

 ポニーキャニオンから出てたソロアルバムがサブスク解禁になったことで、紹介しやすくなったのですよ、「この人の物事の捉え方が好きだな」っていうところ。音だけ聴いてても素敵なんだけど、歌詞にある言葉に結構ウエイトがあってそこを音と一緒に聴いてる感じでいろいろと自分の中の感情や葛藤を昇華できるところがある。


好きな曲リスト

↑ Spotifyのプレイリストを作ってみましたので紹介してみます。このあたりが自分の思う黒沢健一の好きな曲っていうか創作物(Spotifyで聴けるものだけだけど)

 この中で「肝」になってるのは3曲目と4曲目。3の「LIME LIGHT」はL⇔R時代の、テレビ見てもよく出てるなって思うくらいの人気の頃のアルバムの曲で、私は黒沢健一ソロを聴いてからL⇔Rを逆引きして聴いてったのでリアルタイムじゃなかったぶん、あんな人気のあった頃にこういう心境だったのか、ってある意味呆気にとられたような気持ちになった曲です。

 たぶんこのリストの中で一番、痛々しい感情が伝わってくる曲だと思うし、これは自分的には「この世で最も悲しいことを憂いてるときの心境」だと思う。

 自分自身が思うような、大切なこと、これはおろそかにしたくないなと思うようなことを全部封印して、とりあえずこういうふうにって言われたような形を人が褒めていつしか自分の本領みたいに見られるようになって、そういう風に扱われるようになった自分自身の本心が「自分はこっちにいる」と叫んでいても誰も、自分のことを好きでいてくれるはずの人たちも皆気づかない、みたいなことって悲しくない? 

 私は、上記みたいな一連の物事を頑張りすぎると必ずどこかにひずみができてしまってそれに気づかないで本領だと思ったまま進んでいくと争わなくていい人同士が争ったり本来関係なかった人まで渦に巻き込まれてぶつかりあうみたいな構図がこの世界で一番悲しいことだと思ってるので(説明はここでは省く)、これ聴いてると悲しくて仕方なくなる。だけど、ある意味そこが真骨頂だと思っていて。売れてるときに「なんかむなしい」って言いきっちゃってる感じ… 普通言えませんよ、これを目指してたって思う人がほとんどでしょ。ちなみに一曲目に持ってこようと思ったけどこれが最初だとこの曲のテンションになり切れないしリカバリーが難しくもなるからやめた。

 で、4曲目の「SHADOW STABBING」は、この曲を聴いたとき、「あ、この人単に売れ線に乗っかってたタイプのミュージシャンじゃなかった」って心の底から思って心の底から「いわゆる売れ線だった人」と思ってたことを詫びてそこから全部逆引きして聴いていくきっかけになった、そんな曲です。

 きれいな曲を書ける人はいっぱいいるよ。人が聴きたい言葉や音を上手に紡ぐ人もたくさんいる。けど、そこじゃなくて、「ああ、わかるわー」って思える言葉を持ってる人とか、自分の中うまくすっきりいかない感情なんかを表現してくれる人ってすごく多くいるわけじゃなくて。だからこれを聴いたとき、「この人、そんな思いしてたのか」って素直に思っちゃって。逆引きして聴いてるうちに「そういう思いを多くしてるのは嘘じゃないみたいだなー」と思えて信用できた(という表現が一番ふさわしい)というかんじです。葛藤してない人の葛藤してるっぽい言葉って、いざっていうときに毒になるもんだからあんまり体に入れたくないの。

 9曲目の「直線サイクリング」は傷ついた感じの曲じゃないけど、自分のことみたいだなって思った曲。ともすると落ち込みそうな自分の良くないとこをまあいいかと笑い飛ばせる心境になれるので良いです。

 10と11、「ALL I WANT IS YOU」「REMEMBER」は曲の良さと歌詞のマイルドさのバランスが良くて、軽い気持ちで聴けるけど自分が没入できる曲。REMEMBERなんかはだいぶ物事を明るい捉え方してるなって曲だよね。そのあと心が折れたのかもと思うとつらくてしょーがないけど。

 自分的になにこれすごい、って思ったのは12曲目の「Bye Bye Popsicle」なんですけど、何がすごいのって、この曲調で言ってることがもう挑戦的っていうか、これをデビューしてすぐみたいなとこに持ってくる度胸がすごい。さすが黒沢健一、と思ったらこれ、黒沢秀樹さん(は弟)との共作なんですね、つまり兄弟で確信犯か(誉め言葉です)良いバンドじゃないか。

 かなりやんわりした曲調なのに、私っぽい言い回しで表現すると、「わかってる風でそれっぽい言葉で喜んでんじゃねーよ」的なことばっかり書いてあるよ、この歌詞。精神がロックだよ。目の前に置いてある機材とか蹴り倒す勢いの言葉だよ。「Cheapな言葉つないでも」のとこはもう全否定でしかないじゃない、痛快。ほんと好き、ってなっちゃった。普通、デビューしたとこでもってくるっていったら「がんばります」とかじゃないのか、染まる気無いのかこれは応援したい、みたいな気持ちになった、リアルタイムで聴いてるんじゃないのに。

 と、まあ、そういうとこに良さを感じてしまう自分なんですけど、良いなあと思うのはこんな心境であってもだいたい光を見てるようなとこなのね。こうなったのは誰のせいだー誰か責任とれー っていう感じじゃなくて違うなと思ったら自分から移動しちゃお、みたいなのが根底にあって、がっかりしてても希望は失ってないの。だから気持ちの持って行き所のナビゲーターになってもらえる。

「信用できる」感性

 90年代って売れるが大正義だったと思うし、売れてるのにその状況に対してなんか違和感感じるっていうこの人たちの感性は人として信用できると思ってしまう(創作する人にとっては、評価や他人のこうあってほしいという気持ちが時にマイナスに働くことは少なくないと思っているので)。

 受け取り側のこちらとしては、どれだけ売れてるかは全然関係なくてただ良いなと思えるものを作ってくれればそれでいいわけで。生活できないから創作もできないって言うなら仕方ないかもだけど、できるだけ感性は削ったり歪めたり無理やり辻褄を合わせるようなことはしてほしくないものなので。

 自分の活動の場を広げるつもりでいつの間にかその源になるような感性が枯れるようなことしちゃってたら、意味ないじゃない。でも枯れたことに気づいても、そもそも何かに乗っかって活動しようとしてた人ってまずそれを隠すから。感性がなくなって、その活動をできるレベルじゃない状態になったとき、人はどうするか。やめちゃう人は正直な人だと思うけど、人によっては「感性があるふり」をしてどうにか収入や人脈を保持しようとします。その間にその人に感性があると思ってお客さんになった人ってかわいそうじゃない? 創作は受け手が気に入れば良いみたいなとこあるけど、それ以外の仕事ってそういうわけにいかない部分もあるよね。本来お客さんが欲しいと思ってるものじゃないものを「これです」と言いはって差し出すことって犯罪にならなくても人としては考えなくちゃいけないことだと思うんだよね。

 最近上記みたいなことを目にする機会がよくあって、なんかね、こういうのって結果的にみんな不幸になっちゃう流れだから、気づいたらそのループから離れないといけないやつだって思うの。

 だから、うまくいってるようだけど違和感感じるとかっていう感覚は結構大事なんじゃないのかなーと思っている。故にそういう感覚持ってる人って人として信用できるな、って思っちゃうわけ。本来自分の思うタイミングでハンドル切れない状況って、リスクが大きいとしか表現できない状態ではあると思うし。

 最後に。
黒沢秀樹さんのインタビュー記事が面白かった。

 これ読んでから、改めてL⇔Rちゃんと聴きなおそうかと思いました。見てる側は あなただって雲の上の人じゃないってずっと思ってるんだけどご本人的には葛藤の連続なんですね。感覚的な表現を普通に通じる表現に「翻訳」できる人ってすごい大事だと思うし誰でもできることじゃないと思うんだ。



<追記>続・好きな曲 2024年版

 さて、ここから先は2024年4月に追加。
サブスクで聴ける曲が増えてるのでそれも含めてプレイリストにしたいなあということで…最初に挙げた曲と混ぜるかどうするかと考えたけど、混ぜずに新たにプレイリストを作成することにしました。10曲以上になっちゃったし、これはこれだけでいいんじゃないかということで。

 ↑テーマ。最初に挙げたプレイリストには入っていない曲。

 軽く(軽くで終わる?)自分の感想を連ねていきましょう。
最初に持ってきた「プラスティック・ソング」、(←上のリストの表記だとプラスチックになってますが、CDの方はプラスティックだった気がするんだけど)これ、めちゃめちゃ黒沢健一さんらしい曲だと思っていて。個人的にはこの曲を聴いて自分が泣けてきてたらメンタルがあんまり調子よくないなと判断します笑 そうでもないなと思ってるときはそんなに辛くないとき。自分には「世界で一番悲しいこと、むなしいこと」のような聞こえ方をする歌で、L⇔RのLIME LIGHTに匹敵する悲痛。でもね、最後の歌詞に救われるの。それがどう聴こえるかで自分のメンタルを推し量ってます。「誰かのためのPLASTIC」がどう聴こえるか。「どうにもうんざりするくらいの心境なんだけど、でも、これが一人の誰かのためにもしもなるのなら、気を取り直してそのためにがんばろっかな」に聴こえてるときは頑張れる心境のとき、みたいなかんじ。いっぱいいっぱいのときは普通に泣いてます。

 「SWEET WONDERING」はこの曲の主人公は自分かと思うような、親近感持てる曲なんだけど、これはまっすぐ通したいでしょ、って思うようなことがうまくそう繋がらない心境をどういう方向にもっていくかで「プラスティック・ソング」だったり「LIME LIGHT」だったりのような表現になったり、この曲のような表現になったり変わっていくように感じるんですよね。人に自分の話をするときにストレートにいうと「本気でやったってどうにもならない」と言うか「やー、自分こうだからどうもうまくいかなくってー」みたいに話すかで印象変わってくるけれど、その違い、のような感じなのかなあと思う。深刻に辛そうじゃないから気楽に笑って気を取り直せるような気にさせてもらえるかな。

 「F・A・T・M・L」はもうほんとずっと好きだなあと改めて思ったんだけど、黒沢健一さんの曲を聴きたくなる理由の大きなところに、「もううんざり」と思うようなことをなんか笑えるような心境に引き上げてくれるような表現が多いところ、だと自分で思います。この曲は「で、本当に大事なことってどこにあるの?」みたいな疑問というか問いというか、いかにも洗練されて機能してそうな物事なのに中に入ったら中身ないじゃないと思うときのあの感じというか…いかにも正しそうな"コレ"について行っても本当に大丈夫? みたいな心境というか…ある種の絶望的な物事を絶望しないように持ってく表現ができるのがすごいよなと今も思う。この曲が発表されてからもう20年とか経つけれど、世の中にある問題の根幹って変わらないよなと今になって思う。このリストには入れてないけど、L⇔Rの「TELEPHONE CRAZE」に歌われてることもそのまま今だよねと思う。電話が主題じゃなくなっただけで。まあどうせ、みんなは見た気になってればそれでいいんでしょ、本当は何も本当と言える部分に触れてなくてもさ、みたいなね。

 このリストに入れたライブバージョンの曲はいずれもアレンジが良すぎてため息が出るね、というものを選びました。心にのっかってくる何か、の幅がすごい曲たち。黒沢健一さんのLIVEバージョンのアルバムはいずれもアレンジが良くてオリジナルと別腹で良さを噛みしめて聴けるのが好き。

 一曲ずつ紹介してると何日かかるかわかんないな。アルバム「Focus」に入っている「Scene 39」「POP SONG」「Somewhere I can go」を聴いたとき思ったのは、それまでの「うんざり」を明るくとらえた表現が多くなってる、ということ。「まあそうは言っても気を取り直してみるか」的な表現がより強くなった気がする。思うようにつながらなくっても、何かは見えてくるかもしれないしさ、というような。Somewhere I can goは多分本質的に自分が一番好きくらいの曲だと思います。どういう状況下でも、この曲で自分の素のようなものに戻してもらえるような。順位つけるとしたら一番かもしれません。でも、数字を与えるならゼロ番だと思います。自分のフラットな状態にすっと戻してもらえるような貴重な曲なので。個人的に「好きな曲リストを作ってもこの曲が入ってないならウソになる」と思っていたのがこの曲でした。

 アルバム「HERE ME NOW」の中で一番好きで、音楽の好みが集約されてるのが「Please My Baby Tonight」かな。ああ、私ほんとこういう曲好きだよな、と思っちゃうのがこれ。「Northern Town」はすごく好きな曲だったけど、2016年12月からしばらくは「Norhtern Christmas」と共に聴くの辛かったから避けてたな。今になって改めてこれは名曲だよねと言って再び聴けるようになった曲です。

 リストの最後に入れたのは「1-2-3-4 MOTORWAY」。なんで最後に持ってきたのか、ということだけど、私サッカーを観に行くのが完全に生活の一部なんだけど、サッカー見るたび、自分の好きなチームを見るたびこの曲がぴったりとしか言いようがないな、と思うことが増えて。観戦記事作成して、はまるBGMって何って考えるとこれしかないじゃんって何試合に思ってるんだろうというくらいはまるので、これ、「過去に聞いた曲」じゃなくて自分の今考えてるのがこれだよね、つまり自分の今だ、ということで最後に。

 歌詞は石田ショーキチさん。曲が黒沢健一さんでメインボーカルも黒沢健一さん。サッカーファンの自分としてはこの曲の歌詞にあるようなことをほんと最近いつもそう思ってる感じで。(本音を言えば「今日も俺らの一人勝ち」みたいな歌がはまるチーム状況であってはほしいが…)観戦記事書いてリンクをインスタグラムのストーリーズに投稿するときのBGMがこれしかないと思ってしまうので複数回使っていつもこれ状態になりつつある感じ。ドンピシャっていうのはこういうときに使う言葉ですね。

 …という感じで、2024年も普通に聴き続けています。今一番聴いてるのってたぶんMOTORWORKSなんだよね。今になっても「自分の心境に合うのはこれだ!」と思うことが多いから、まあずっとこれからもそうなんだろうな。


誰かの心の平穏やきらきらを取り戻すお手伝いがしてみたい。