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宮本浩次 ロマンスの夜 中之島

2023/11/21(火) 宮本浩次 ロマンスの夜 中之島・フェスティバルホール 二日目

日の暮れるのも早くなった11月下旬。街のイルミネーションが美しい中之島フェステバルホールで行われた、宮本浩次さんのソロコンサート「ロマンスの夜」へ行ってきた。

この「ロマンスの夜」と銘打って催されるコンサートは昨年に引き続き二年目。宮本さんがロマンスにまつわる名曲を披露する特別な夜。事前にINVITATIONと書かれた招待状が届きテンションはあがる。
そしてドレスコードが昨年同様に、「特別な夜です。すこしおしゃれをしておでかけ下さい」とある。

宮本さんも50代になられたころに「身奇麗」にしたいと言ってちょっとおしゃれしたりして、ネクタイ締めただけでファンはどよめいたのが懐かしい。それまではおしゃれなんて二の次の方だっただろうに、ドレスコードねぇ、ふふふ、なんてしみじみ思うが、おしゃれして出掛ける機会をもらえるのはうれしいことである。せっかくの機会を楽しみたいので、いそいそと着物を着ていく準備をした。

かなり久しぶりにフェスティバルホールでコンサート鑑賞をする。いつぶりだったかと思って自分のライブレポを遡ると2020年の1月、エレカシでの新春ライブだった。コロナ禍直前の頃。この年は宮本さんのソロ初ツアーが中止になったり、日比谷野音も人数制限しての開催、イベントもたくさん中止なった年だった。3年ぶりに訪れたフェスティバルホールは変わらず、赤い絨毯が敷き詰められた大階段で迎えてくれた。エスカレーターもあるが、ここはこの階段をゆっくり上がり、ゴージャスな空気を味わいたい。

今回の座席はやや上手寄りの12列目。わりと近かった。前回は一階最後列の一番端っこだった思い出。

18時30分を少し回って会場は暗転。
ステージ上のスクリーンに映像が映る。
宇宙、銀河系、地球、空、夜景、都会がしっとりとしたインスト曲と共に流れ、その合間にバンドメンバーと宮本さんが登場。会場は割れんばかりの拍手に包まれる

一曲目
ジョニィへの伝言

第一声を聴いてびっくりした。もう喉が温まっている。宮本さんの歌声が絶好調なのがよくわかった。二日目だからか疲れているとかそんなことはない。今夜はいいコンサートになると一曲目で感じた。

赤いスイートピー

歌いだしの美しいこと。ため息が出そうになる。
この「春色の汽車」とあるが、「汽車」の「き」の発音で少し空気が抜ける感じがすごくいい。宮本さんの歌い方で細かいことをいうとそういうところが好きである。

そして、この「汽車」というキーワード、赤いスイートピー、ジョニィへの伝言でも出てくるし、後で歌われる木綿のハンカチーフでも登場する。今は「汽車」が走っている場所は限られているので、代わるものとしては電車になるが多くの人が利用する電車。聴きなじみのあるその電車の音が曲間に差し込まれ、どこかの駅に止まる。観客は目の前に止まったロマンス列車に乗り込み出発するような気分になる。コンサート会場は鉄道の沿線にある中之島。ここはロマンスの夜が行われるぴったりの場所である。

うっとりするような気持ちで聴いていたら、最後は赤いライトを浴びながら、結構なガニ股赤いスイートピーになっていた。

ドラム玉田さんのカウントでまちぶせ

この日の宮本さんはうっすら不精ひげ。衣装は黒のジャケットに黒のつややかなボウタイブラウス。リボンの部分はクルリと一回まわしているだけなので前裾まで長いまま。

「好きだったのよあなた~」の部分でリボンがめくれ(なぜめくれる?)お腹がちらり。
ブラウスのボタン下3つ,4つ留めていないことがわかった。あざとすぎて天を仰いでしまった。

フェスティバルホールは音響もいいが、席がややスピーカーに近かったので方耳だけティッシュを詰めて自衛する。
セットで組まれたスクリーンも美しく、こういう映像の技術も数年で画期的に進歩するのだろう。この一年で見たコンサート会場のスクリーンの美しさは目を見張るものがあった。映し出される宮本さんがかっこいいのは言わずもがな。

きみに会いたいでジャケット脱ぐのはお約束になっているが、わかっていても照れてしまう。途中、手拍子の催促があったからか、会場は手拍子に包まれたが、どうも私は怖くて叩けず様子見。

白いパラソル
「夏のシャワー浴びて~」の箇所で腕を前で組み考え込むポーズ。
サビの部分ではお手振り誘導。アウトロではしばし高速ワイバー。
歌い終わりにリズムに合わせて飛び跳ねながらお尻ぺんぺん連発。投げキッス。
上機嫌な様子だった。

愛の戯れ
イントロで「大阪ベイベー!」
目が据わって、ちょっと勝気な愛の戯れ。目力は相変わらず強い。
これもサビで会場はワイパー。
歌い終わりに投げキッスして「ありがとうー!」

前ふりもなく、聴いたことのないイントロ。
ジュリーのロンリーウルフ。
私は初めて聴いたが、歌詞が大人だった。
57歳の宮本さんが歌うのだから、大人もなにもないのだが、背伸び感があり、青さすら覚えた。ジュリーの歌は特別だなと思った。

ジュリーの曲と対照的なFirst Loveを弾き語りで歌う。
途中からは小林さんのピアノが入るのだが、ピアノ旋律が美しく、精一杯に大人ぶった初恋の曲がより透明度が増すようだ。後半、宮本さんはギターを握り締め立ち上がって歌う。

一部終了。

休憩中、よくある拍手はないままに、静かに二部が始まる。

黒いテロンとした開襟シャツ。おそらくシルク。

やさしさ

エレファントカシマシのやさしさをロマンス仕様で歌う。今年の宮本さんのバースデーライブでは弾き語りで披露してくれたが、私はその時、やさしさがちゃんとラブソングだったことを確認でき感動した。その手ごたえみたいなものを宮本さんが感じていたかは分からないが、バンドでやるやさしさよりも少年っぽい歌声で驚いた。

飾りじゃないのよ涙は
歌っている途中だったか終わってからかはうろ覚えだが、イヤモニのコードが絡まっていてたいようでもぞもぞしていたら、スタッフさんが出てくる。ズボンのベルトを外しシャツ裾を持ち上げて、スタッフさんに直してもらう。直してもらった後、シャツを下ろすふりして、またちょっと持ち上げてお腹を見せるという巧妙な手つきに目がしぱしぱした。その後高速でベルトを締めていた。ベルトってあんなに高速に締められるものなのか。

名越さんのオリエンタルなギターの音色で始まる異邦人。
会場はイントロから大手拍子。
空と大地が~の箇所で宮本さんはステージに手の平を当てて触れ合っていた。
スクリーンが三分割されて、中央と両サイドで違うカメラの映像が映る。宮本さんが異なる角度で映し出されたり、バンドメンバーもよく映り見ていて楽しかった。

ロマンス
みんな総立ち。
ここまでずっと着席で見ていた。
「あなたお願いよ。席を立たないで」と歌えば歌うほどみんな席を立つという現象が面白く、こんなに拳突き上げロックなロマンスで岩崎さんもびっくりなことだろう。そしてきっと喜んでくださっていると思う。
両サイドの花道へ行き、「あなたが好きなんです」の「あなたが」の部分で壁に頬を寄せたのち「好きなんです」と歌う。見せ場である。

化粧
さっきまでも盛り上がりが嘘のような静かなステージ。客席もゆっくりと着席していく。
白いライトに照らされて、乙女のような歌声。いったいどういう歌唱なのだろうか。ささやくような、しぼり出すような、でも震えるほどに力強い歌声にこちらも心震える。
アウトロに重ねられる泣くようなコーラスが美しかった。

翳りゆく部屋
歌い出しはマイクスタンドに挿したマイクを両手で握り締め、目をつむり、歌に集中するように歌っていた
後半、ステージ上にブーツが脱ぎ捨てられていることに気付いた。
いつ、靴脱いだ??

「コンサートって素晴らしい!
素晴らしい時間になっています!」
「みんなに捧げます」

悲しみの果て
靴下姿の悲しみの果て。
ブーツ履いてないのでステップは軽やかでまるで小鹿のような悲しみの果て。
でもやっぱり力強くて温かくて、涙出そうになった悲しみの果てだった。

二部終了。
袖に引っ込む時に小林さんが客席に向かって、親指を立ててイイネのポーズをしてくれた。

三部開始

白シャツに黒ジャケ、いつもの宮本さん。

あなた
美しい透き通る歌声。心が豊かに満たされてゆくようだ。

ほぼカバー曲。エレカシとソロの曲少しのロマンスしばりのステージ。
名だたる歌い手が歌い、また多くの人がカバーもしてきた名曲を歌い上げることは難しいことだと思う。原曲の世界を壊すことなく、宮本さんの息吹を吹き込む。歌い継がれた曲に新しい意味や別の解釈を気付かせてくれたり。そして何より、宮本さんは歌うことが本当に好きなんだなと改めて思った。昨年も味わうことのできた空間に再び触れることができて良かった。

「大阪―――!中之島ベイベーーーー!」

あなたのやさしさをオレは何に例えよう

袖から椅子を持ってきてステージの真ん中でその上に立つ。

名越さん、宮本さんの褒め口上にニコニコニコニコ。
でもギターはかっこよすぎ。
宮本さんはギター名人の真似をしようとするけど難しくてできない。

問答無用のドラム・玉田豊夢!
玉田さんも宮本さんの褒め口上が長いし溜め気味なので笑っていた。
そしてドラムかっこよすぎ。
宮本さん目を見開いて「スゲーーーーー!」

知的てかっこいい、ベースはこの人
須藤優!
ゆう!ゆう!ゆう!ベースマン!

尊敬する先輩。日本の音楽界をひっぱり続けるプロデューサー。
コンサートの司令塔。小林さーーーん!

歌は宮本でーーーす。
お見知りおきをっ。

「愛してるぜいーーーー!」

恋人がサンタクロース

「そういう私にウィンクして~」のところで宮本さんウィンクしていた。
キラキラの光の粒が飛び交い、とてもきれいでロマンチックで、宮本さんは魔法少女のようでした。

歌い終わりに、
「すてきな夢を、すてきな年末を、愛ある日々がやってきますように。
メリーーーークリスマーーーース!!!」

と言ったと思う。
私の聞き間違いじゃない?
ちょっとびっくりしたけど、うれしかったし、宮本さんも自分のコンサートに来てくれた人にそう伝えたくなるほど幸せで満たされた気持ちになったのだろう。

「好きな曲を聴いてください。
この曲から始まりました」

木綿のハンカチーフ
声がきらめいていました。

「ありがとうございます。
ほんとに素晴らしいコンサートになりました。
いい日になったなお互いに!」
「またコンサートで会おう!」

サムライ
ジュリーでお別れ。
宮本さん間奏の部分で「ジュリーーーー!」って叫ぶ。

お辞儀をして頭わしゃわしゃ。
バンドメンバーと握手してハグ。
穏やかで満足げな顔で帰ってゆかれました。

ロマンスの夜 中之島 フェスティバルホール
とても楽しいコンサートだった。
ありがとうございました。

2023/11/21(火) ロマンスの夜 中之島・フェスティバルホール セットリスト
01.ジョニィへの伝言
02.赤いスイートピー
03.まちぶせ
04.きみに会いたい -Dance with you-
05.白いパラソル
06.September
07.愛の戯れ
08.ロンリーウルフ
09.First Love
10.やさしさ
11.飾りじゃないのよ涙は
12.異邦人
13.ロマンス
14.DESIRE -情熱-
15.化粧
16.翳りゆく部屋
17.悲しみの果て
18.あなた
19.あなたのやさしさをオレは何に例えよう
20.恋人がサンタクロース
21.Woman "Wの悲劇"より
22.木綿のハンカチーフ
23.冬の花
24.サムライ

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