「寄生獣」

皆様ごきげんよう。

さて、今日は漫画「寄生獣」について話したいと思います。
読んだことが無いかたもいらっしゃると思うので、簡単にあらすじを話します。


ある夜、空からゆっくりと、無数の「いがぐり」のような物が落ちてきます。
地面にたどり着いたかと思うと、中から山蛭のような正体不明の生物が現れ、人の鼻や耳から頭へと侵入し、脳を支配します。
要はパラサイト(寄生生物)です。
寄生後の頭部は自在に変形し、一瞬で人間を切り裂き、捕食します。
また、高い知能で言葉を覚え、社会に紛れ込んでいきます。
この物語の主人公、新一は、この山蛭のような生物に寄生されかけましたが、何とか頭部への侵入は免れます。
ですが右腕を寄生されてしまいます。
この漫画は、右腕に寄生したパラサイト「ミギー」と新一の物語です。


まあ、ざっと説明しましたがこんな始まりです。
パラサイトは冷血動物で躊躇わず人間を捕食しますので、なんとなく昆虫のような冷たさを感じますが、脊椎動物のように情動(おもに恐怖など)もあります。


さて、この漫画の主要人物に、「田宮良子」という、女性に寄生したパラサイトがいます。
「田宮良子」は研究熱心で、なんと男性パラサイトとセックスを試み、人間の子供をみごもります。
彼女はパラサイトの中でも特に高い知能をもち、パラサイトによるコミュニティを作ります。
後、このコミュニティから「広川」が市長選に立候補・当選します。
そして市長側である立場を利用し、主にパラサイト達の"食堂"を確保します。

ただし、食料とされる人間側も、少しずつパラサイトへの反撃の狼煙を上げていきます。
そんな折、「田宮良子」は、ある意味深な言葉をコミュニティの同胞達へ発します。

「みんな少し人間をあなどりすぎてるわ
たしかに個体個体を見ればずいぶんとひ弱な動物にも思える
…けどそうじゃないのよ

我々が認識しなくてはならないこと
人間と我々が大きく違う点…

それは人間が何十 何百…
何万 何十万と集まって一つの生き物だということ

人間は自分の頭以外にもう一つの巨大な「脳」をもっている

それに逆らったとき
わたしたちは敗北するわ…」


この、
「人間は自分の頭以外にもう一つの巨大な「脳」をもっている」
に関して、皆様はどのように思いましたか。



「……地球上の誰かがふと思ったのだ………
みんなの未来を守らねばと……」
特殊部隊に包囲された中、市長・広川はそのように呟きます。
また、人間1種の繁栄よりも生物全体を考える、それが万物の霊長であると主張します。
そして、射殺される直前に言い放った広川の最後の言葉。
それはこの漫画のテーマの一つです。



私がこの漫画で重要だと感じたところは、冷血な動物であるパラサイトの「田宮良子」が、はじめ実験体ぐらいにしか思っていなかったわが子を不思議な存在として感じはじめる。
そして最期、銃弾の雨の中、母としてわが子を護り、犠牲となって死んでいく場面です。

「母のわが子への慈悲」
そして
「その母の死」
が、この漫画の重要な場面の一つになっています。



男である私は、慈悲だけは女性に勝てない。
私にも妻子ができ、今もたまに思います。



「田宮良子」の死後、物語は更に加速していきます。
皆様も是非読んでみてください。

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