藤の糸はなぜうまい?

※2023/9/9のギチの完全人間ランド大阪オフ会に併せて執筆しました。
怠惰なのに凝り性なので、ぎりぎりに上げているので読み直してないです。悪しからず。

好き嫌いがない私とそうめんの気まずい関係

自分には好き嫌いがほぼない。昆虫食など、経験がないゆえに忌避するものはあるが、食感や味が嫌でたまらないというものは思いつかない。
とはいえ、嫌いというほどでもないが、あえては選択しないものもある。
そうめんは、その1つだった。去年の8月までは。
それまでは、たとえば食卓に素麺があがると、蕎麦やうどんの備蓄があれば自分だけそれらを別口でゆでて、そうめんのためにあつらえられた薬味類だけを拝借していた。

しかし、去年の8月あるそうめんをを食べて認識が変わった。「これはうまい!」
本多兄弟商会さんの富士の糸だ。

ギチ完、そして藤の糸との出会い

Podcast番組、ギチの完全人間ランドを愛聴している方々ならおなじみの本多兄弟商会さん。知らない方のために念のため補足説明をしておくと、この番組では最低100円を支払うと、公序良俗に反さなければ、番組のスポンサーとして誰でも何でも宣伝活動をできる。
その中で、本多兄弟商会さんは最初期からスポンサーをされており、番組のMCのコンビであるギチの2人にもそうめんを贈り、その感想が番組内でも伝えられた。2人の感想は、一言で言えば大絶賛だった。

しかし、それを聴きながらも、私は半信半疑だった。上述の通り、素麺に対して良くない先入観を持っていたこともあるし、やはりある程度の忖度はあるのではないかと疑っていた。
しかして、それは、実食でくつがえされることになった。


実際に食べた時の印象は、やはり驚きだった。人生で初めて、素麺を食べて「おいしい!これは、また食べたい!」という感想を抱いた。
しかし、同時に困ったこともあった。
自分には料理の知識や技術はなくとも、何かを食べた時に自分が受けた印象や味わいを言語化するのは、まあまあ得意な方だと自負していた。
しかし、このそうめんの美味しさらうまく言葉にできなかった。
明らかに、これまでに自分が食べてきたそうめんとは一線を画すのに、それが何故だかわからない。
こんなに美味しいものが、自分のなかでうまく内面化できないのは、なかなかもどかしいものがあった。

同じく、この富士の糸を食べた人と、このうまさの理由を語り合ったこともある。当然、安物の500g100円とかで売られているものとは全く違う。「麺にコシがしっかりある」「小麦の香りが立ち上る」そういう意見は出た。しかし、それでも自分の中ではあまりしっくり来ていなかった。もう少し、この藤の糸を形容するのにピッタリとくる言葉があるはずだと思っていた。

手延べ式そうめん 3種食べ比べ

そこで、そうめん3製品を比較して食べ比べを試みた。ただし、藤の糸以外の2製品の商品名は伏せる。バレるかもしれないが。すべて手延べそうめんだ。
詳しい説明は、下の全国乾麺協同組合連合会の説明に譲るが、私の理解では、そうめんとは小麦粉で作られた乾麺のうち太さが1.3mm以下のもので、機械式と手延べ式があり、手延べ式の方が手間のかかる分高級で、グルテンの形成によるコシがあり美味しい。

選手入麺

この度用意したそうめんは以下の3種類。
細い順に紹介する。
比較写真は撮り忘れたので、あとで貼ります!

①そうめんA。
全国的に流通している有名な手延べ式そうめん。
近所のスーパーで買った。
3種の中で最も細く、1本を取り出して持つと、しなるほど。
ゆで時間は、1.5分~2分

②藤の糸
われらが本多兄弟商会さん。
3種の中では中くらいの太さ。
ゆで時間はたっぷりのお湯で1.5分。

③そうめんC
三重県の製麺所のそうめん。
たまたまお中元でもらった。
3種の中で最も太い。
ちゃんと測ってないけど、たぶん冷や麦に近い結構ぎりぎりの太さ。
ゆで時間は、驚異の4分。

実食の感想

①そうめんA
この製品は、何度か食べたことがあった。
だが、集中しながら、そしてほかのそうめんと食べ比べてみるといろいろなことが分かった。やはり、とにかく細い。小麦の香りとうまみはしっかりする。
コシはあるのだが、その細さゆえか歯ごたえと呼ぶほどの抵抗はなく、その分のどごしがすばらしく良い。
なんというか、儚げ。
食欲がない時でもスルリといけそう。そうめんといえばこのタイプって感じの印象。

②藤の糸
小麦の香りがかなり強く出ている。口に入れた瞬間に立ち上る。
滑らかでそのままの見込めるほどにのどごしが良いのだが、それでいてしっかりコシがある噛み応え。
食べ応えと滑りの良さが両立されている。
前述の①のように消えゆくような感じではなく、しっかりとした食後感がある。めんつゆだけではなく、強い薬味やほかの味の濃い具材を入れても負けない印象。

③そうめんC
ほかの2つとは一線を画す太さ。
冷や麦を食べないのでよくわからないが、かなりそうめんの定義のぎりぎりの太さを責めているのではないか?
比較対象のほかの2つとは明確に違うのは、麺の外側の部分にもちもちとした層があること。太い分、その層がの食感が際立っている。
かなり特徴的で、食べ応えがある。めんつゆだけではなく、クリーム系のパスタソースやチャンプルーでもおいしそう。
ただ、一般的にそうめんと呼ばれるものとはかなり違う印象を受けた。

食べ比べてみて

ここからは、完全な主観になるので、それを差し引いて読んでほしいです。
恐らく、①そうめんAのタイプのそうめんが広く流通していることが、自分がそうめんに対してあまりいい印象を持っていなかった1つの理由だったのではないか?
乱暴に言えば、①そうめんAはステレオタイプ的なそうめんだ。細く、のどごしは良いのだが、その分腹にたまる感じはない。

正直、この系統のそうめんが(食いしん坊の)自分にはあまり好みではない。
また、そうめん廉価で売られているそうめんも、このそうめんAが持つ一般的なそうめんのイメージに寄せて作られているのではないか。しかし、それらより廉価な製品ではコストカットのせいでコシやのどごしが失われ、儚げというより虚無感をたたえてしまう。
そして、幼少期にそういうタイプの廉価なものを口にした結果、そうめん全般にあまり良いイメージが持てず、侮ってしまっていたように感じる。

加えて、たまに食べる高級な素麺も、今回の食べ比べの系統では①そうめんAに分類されるきわめて細いものが多かったので、悪印象とまではいかずとも、あまり良いイメージがを持っていなかった。

藤の糸との出会いは、それを覆した。
私はそうめんに対して、「淡く儚い」という先入観があった。しかし、藤の糸はそのコシで確かな実在感を主張し、それでいてするりと消えていく。こうして先入観を破壊されたのが、自分にとっては驚きだったのだろう。

1.3mm以下の世界

本多さんご夫妻とはオンライン上で度々お話しさせていただくのだが、この食べ比べをしていることを伝えた時に旦那さんがおっしゃった一言が印象深い
「そうめんはそれぞれの好みですから」
それは、文字通りの意味だけではなく、素麺と呼ばれる1.3mm以下の世界に、どのような好みの人にも合う逸品があることを分かっているからこその言葉だったのだろう。

そんな本多兄弟商会さんの手延べそうめんは、ここで買える。
2023/9/9現在は、南島原市産の小麦をつかった限定品も発売中だ。ギチの完全人間ランドの大阪オフ会ではこの限定生産品も買えるとのこと。

オフ会に来れない方や、リスナーさんで、まだ食べたことがない方はぜひネット通販で買ってみて!


最後はもちろん

食べてみんね! 島原 手延べそうめん!


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