履歴書で何がわかる
人事
「面白い奴を入れようと思っているんだ。」
―――― どのような方なんですか?
人事
「島で育ったかのような純粋無垢な青年だよ。」
―――― 扱い易そうな方なのですね?
人事
「指導係はキミに任せる。」
―――― かしこまりました。
突然人事から中途新入社員の指導係を任されてしまった。
いったいどんな人なんだろう・・・
私は早速その方の顔と経歴が知りたく
人事を訪ね履歴書を見せてもらった。
年齢は○○歳
性別は〇
学歴は某大学を中退
前職は○○業を半年で退社。
若いな・・・
そして
この履歴書を拝見した後に
「おや?」と思うことが何点かあった。
<気づいた点>
①履歴書に空白が多い
②字が殴り書き
③鉛筆で書いた跡がほとんど残っている
まずは①の「履歴書の空白が多い」
普通の考え方としては空白が多いことはアピール不足を生じてしまうのでマイナスと捉えられてしまうだろう。
だがこの方は大胆にも「学歴」を省略し、資格免許も1つ
そして志望の動機がたったの1行で構成されていた。
逆の考え方として見やすく読みやすく「シンプル」を敢えて狙っているのであれば100歩譲って理解はできる。
だが、この履歴書の出来上がりはそのような「インテリジェンス感」をまるで感じられなかった。
「Thanks.」ではなく少しでも長く思いを込めて「Thank you very much.」と書くべきではないだろうかと思う内容だった。
②の「字が殴り書き」
自分の書く字に対しコンプレックスを抱えている人は意外と多いのでないだろうか。
私もけして字が上手い方ではない。
これは特に履歴書のような物を書くときに感じてしまう。
だが、字が汚いなら汚いなりに上手く見せようと努力するのは普通の考えだと思う。
拝見した履歴書はそのような「努力」の欠片が1つも見られなかった。
この履歴書をどのような想いで書いたのか、
懸命に作成した姿/背景が残念ながら私の眼には映り込んでこなかった。
逆の考え方として「ありのままの自分」を観て貰うという考えも1000歩譲って理解はできるが、そのような「ストリップ感」をまるで感じられなかった。
③の「鉛筆で書いた跡がほとんど残っている」
この方は履歴書を書き直すという行為を絶対にしたくないという思いが伝わる。
最初に鉛筆で仮の「たたき台」を作り、その後仕上げている。
その行為自体はけして悪くはない。
だが、仕上げた後の確認処理が出来ていなかった。
これは仕事上において非常に問題なことである。
1発で仕上げた物が完璧だと思っている。
その後のエラーは無いかの再確認がまったく出来ていない。
個人的にこの点が一番問題だと思っている。
逆の考え方として「私はこのような段階を踏んで履歴書を作成しました」と努力をアピールしているのであれば10000歩譲って理解はできるが、この履歴書はそのような「策士感」をまるで感じられなかった。
昔、TVドラマ等の就職活動シーンで
「履歴書で僕の何がわかるんだよ!」
というセリフを耳にしたことがある。
確かに履歴書だけでは人を判断できないと思う。
だが
今回の件はその人の性格や考え方等が大まかながら分かってしまう内容だった。
人事担当者は
このような履歴書に長年見慣れてしまって「麻痺」を起こしているのだろうか?
私が気づいた点を人事も知った上で「採用」するのであれば、ウチの会社はまるで「更生施設」のようである。
嫌な予感がしてならない。
終わり
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