ヤングNazca海外出張 ソウル編㉒
ソウル事務所から車で約40分のややローカル感が残る街にそのお店はあった。
スタッフの柴田理恵似のミス・ボン曰く、このお店のサムゲタンは(参鶏湯)美味しくて有名だという。
実際にそのお店の外装、そして店内に入り内装を確認したが「本当に有名店なのか?」と思わせる佇まいだった。
日本で例えるならド田舎の町内会の会食、または法事等で利用される昭和の「蕎麦屋」のような感じがした。
僕と岩巻課長はスタッフの後について店内に入り、この店の女将のようなアジュモニ(おばさま)に挨拶し、その後座敷に誘導された。
席につき「ほっと」一息ついた時、僕はあることに気づいた。
それはこの店は「ハエ」が滅茶苦茶多いことだ。
めっちゃ飛んでいる。
しかもデカい奴。(銀蠅)
こんなに蠅が飛んでいる飲食店は日本では稀だろう。
なんでこんなに飛んでいるんだ?
この店の女将はきっと悪魔崇拝の「ベルゼバブの化身」に違いない。
繊細な僕の食欲は、このハエ達により一気に削り取られていった。
これで料理が不味かったらシャレにならない・・・
そう思いながら既に予約注文している「サムゲタン」の出来上がりを待っていた。
ミス・ボン
「Nazcaさん、サムゲタンは初めててすか?」
迎えの席のミス・ボンに話しかけられた。
「初めてなんです」
「どんな料理なんですか?」
ミス・ボン
「昔 国の偉い人が食べていたんてす」
「鶏肉とお米と高麗人参を使った料理てす」
「とっても栄養があるんてす」
ミス・ボンの能書きを聞くと、サムゲタンとは日本でいう「うな重」のような食べ物らしく韓国ではスタミナ食として夏場の暑い時期によく食べているそうだ。
またサムゲタンは人体に疲労回復という恩恵をもたらす為「薬膳料理」とも言われているそうだ。
そんなすごい料理なんだ・・・
僕はそのサムゲタンに少し興味が湧き、頭上に飛んでいるハエも気にならないでいた。
数分後
先程のアジュモニ女将が黒い大振りな鈍器鍋が乗ったトレイを持ってきた。
その黒い鈍器鍋が最初に僕と岩巻課長のテーブルの上に置かれていった。
アジュモニ女将
「どうぞ召し上がれ」(と言っている?)
黒い鈍器鍋を覗くと、身ぐるみ剥がされ、煮込まれ、真っ白くなった鳥が、白いスープの中に丸々1羽浸かっていた。
またそのお腹には「貯金箱」のような切り込みが入っており、中に「お米」らしき物が詰まっていた。
「よし、明日からヴィーガンになろう!」
勿論これは嘘だ。
<ナレーション>
店内はハエだらけ。
料理の見た目はグロテスク(考え方次第)
そして肝心のお味はいかに?
初めての海外でNazcaは
自身のDNAを思い知らされるのであった。
㉓へつづく
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