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大地の悪魔とは何だったのか【進撃の巨人】

初noteになります。
note機能を使った試しがなかったため、この機会に触れてみようという実験的な意味合いも込めて作成してみました。全てスマホからの文章です。
キモ・オタクの好きな作品考察、まずは標題の通りですが……

『進撃の巨人』における"大地の悪魔"とは何だったのか

人はそれをライディングデュエルと呼ぶ


エレンと一体化したラスボスみたいな何か、ではあるのですが諸悪の根源であること以外特に何もわからない、どこか愛嬌すらあるアイツです。
アイツとしか言えない。
ちなみにキャラで作品をあまり見ない私にとって進撃で一番好きなキャラの一人(?)です。

進撃の作中でもジークによって説明されている通り、キャラクターのモデル……キャラクターなのかよくわかりませんが……兎に角、姿形のモデルは間違いなくハルキゲニアです。
作中では「大地の悪魔」「光るムカデ」「有機生物の起源」「神」などと呼ばれ、始祖ユミルに巨人の力を与えた存在として度々登場しています。

こいついつも指さされてんな

作中の科学力ではまだ化石の発見もできていないと思われるので、ジークの説明で描かれたものは読者に理解してもらうためのイメージ映像ということになるはずです。進撃世界の住人ではハルキゲニアがそもそも何なのか誰もわかっていないと思います。

まずは現実世界のハルキゲニアがどんな生物だったのか軽く見ておきます。

ハルキゲニア(学名Hallucigenia)は、約5億年前のカンブリア紀に生息した葉足動物の一[7]。細長いと7対の発達したをもつ。カナダバージェス動物群で見つかった Hallucigenia sparsa によって知られ、中国からも複数のが発見されている。アイシェアイアと同様、最初に記載された葉足動物として代表的な種類の一つである。

サンキューウィッキ。
ルイズコピペの最後の方に出てくる奴(ハルケギニア)
村上春樹の読者という説もあります(ハルキスト)

簡単に言えば大昔の海に居た小さいトゲトゲ生物です。異形なので最初は頭とケツ、腹と背が逆で考えられていた逸話で有名ですね。
大昔の生物ゆえにまだまだ謎の多いハルキゲニアくん。その未解明という穴を突いて、進撃世界ではファンタジーとしての設定を詰め込んでいるわけです。
ローファンタジーが最終的に宇宙に行きがちなのは、現実世界においてファンタジーが許される最終防衛線だから。深海もまた然り。ここから先は現実でありながら未知の領域、ファンタジーが許容されるのです。

進撃の原作者・諫山先生がハルキゲニアくんに盛った設定は以下の通り。

  • ヒトを宿主とする寄生生物

  • 宿主を巨大化させる

  • 宿主が巨大なほど自身も巨大化する

  • 宿主の子孫に巨大化能力を継承(遺伝)させる

記憶や身体の操作はおそらく始祖の巨人としての固有能力なので省略。
これらが進撃世界におけるハルキゲニアくんに追加された設定となります。最終回直前にハッピーエンドの流れをブチ壊した、対話で解決できない純粋悪で笑った覚えがあります。散々悪魔は人間の中に居るって言ってきたのに……。
まあ、そんな型破りな所も好き❤️

これは方々で言われていることではありますが、古代生物の中で敢えてハルキゲニアくんが抜擢されたのはデザインの都合と思われます。
ヒトの脊髄とハルキゲニアの姿形をミックスさせたエレン最終形態(終尾の巨人)のデザインは秀逸ですね。


では本題。ハルキゲニアくんとは結局ナニモンで、どうして絶滅済みのような生物でなければいけなかったのでしょうか。
順に私の考察を晒していきます。

①ファンタジーの入り込む余地が必要だったから
これは先に述べた通り。未知の領域が残る存在でなければ、ファンタジー要素を付随できません。かといって完全オリジナル生物にしてしまうと、かなり現実に近い進撃の世界設定に合いません。

②諸悪の根源として敵意の分散を図るため
言ってしまえば進撃って、この糞虫さえいなければ誰も不幸にならなかった世界ですよ(急に暴言)
そんなラスボスがコイツです、と名指しで明示されたら読者・視聴者としましては「このキャラ嫌い!」「擁護できない!」「こんな奴1匹のために人類は滅びかけたのかよ!」「56してしまえ!」「生き汚いの好き❤️」「すぐ死にたがるライナーの対義語」となるのは必至なわけです。

それは進撃のテーマとして非常に良くない。特定の大悪人、大魔王みたいな理由の要らない悪役ならこれでいいのですが、誰でも悪魔になり得るという話をした後にそんなキャラを出すわけにもいきません。
その答えとして、そもそも人間と意思疎通の不可能なキャラクター性もほぼ無いに等しいハルキゲニアくんが必要だったんですね。
現実では死滅済みなので鬱憤を現実の何かに向けてしまうこともありません。意味不明生物なくらいが丁度いい。

③弱者の生存戦略
ハルキゲニアを大昔の小さいトゲトゲ生物と書きましたが、カンブリア期にはアノマノカリス等のクソデカ捕食者がウヨウヨ現れ始めた時期でもあります。そんな中で現実のハルキゲニアくんは数センチで海底を這っていたらしいのです。もしかして:雑魚
進撃では閉ざされた壁の中の、それもいじめられっ子だったアルミンが壁外に思いを馳せる所がスタート地点となっています。

生物の強さとは体躯の差でもあります。ヒトはクマに勝てませんし、陸海を抜きにしてもクマではシャチやクジラの一撃で吹っ飛ぶでしょう。
進撃作中のハルキゲニアくんの目的は生物として当たり前の単純に「生きたい」それのみだと感じられます。
生存競争に生き残るためには恵体になりたい。大きくなれば捕食者に食べられない。大きさとは強さ。

エレンから最後に出てきたハルキゲニアくんは、始祖ユミルの時より遥かに巨大化していました。つまりあれはどうしようもないほどの弱者の生存戦略だったと見ることができるのではないでしょうか。
ヒトにはあまりにも原始的欲求に忠実すぎて、ハルキゲニアくんがただ生きたいのを「生き汚い」と見えてしまう……これが真相だと思います。でも本当に生き汚いよ❤️


ハルキゲニアくんというキャラクターになりきれなかった、なってはいけなかった哀しき害虫を少しでもご理解頂ければ幸いです。
そう考えるとヒトって物凄く繁栄に適した宿主を選びましたよね。というのも、おそらくハルキゲニアくんはヒト以外にも寄生できるはずなんです。

作中のパラディ島となる場所には巨大樹の森というものがあります。始祖ユミルがハルキゲニアくんと運命の出逢いを果たしたのも変な形の巨大樹でした。あれは遥か2000年前のパラディ島であり、現代では巨大樹の森がある……。
あっ(察し)

害虫はよく増えますからね、仕方ないね。仕方なくねえよ。
巨大樹の森が何なのか、作中では最後まで明らかにせず終わりました。しかしアレ全部にハルキゲニアくんの親戚が寄生しているって可能性も……。メリーバッドエンドのように終わった進撃ですが、人類がこれに気付いて森を燃やすまで実は何も解決しておらず普通に巨人の元が残りまくっているのかもしれません。
最後の未来の少年がエレンの木に入っていく。暗示しているだけなのも諫山先生っぽいです。


今回は以上となります。こんな所まで読んでいただきありがとうございました。
初noteと言っておきながらネタも交えていたら約3000文字になってしまいました。
進撃の巨人は"これ以上の芸術作品は存在しえない"と自他ともに言われる作品ですので語りたくなってしまいますね。

最後に、10年に及ぶアニメ完結おめでとうございます。

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