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プロミシング・ヤング・ウーマン

一応東京に住んでいるのでまたもや映画館に行きづらい感じになってきました。映画館の感染症対策はかなり安全だとは思うのですが映画館に行き着くまでの交通機関や駅構内の混雑がやっぱり心配です。平日の空いてる時間に行っても万一電車止まったら駅も車内も大変なことになるし…。

少し前に観ておいて本当によかった!と思える2本。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』
『17歳の瞳に映る世界』

この2本は映画のトーンこそかなり違うのですが根っこは同じで、一言で言うと「同意なきセックス」がもたらす結果が描かれています。コロナ禍で予期せぬ妊娠が増えているという問題を抱える日本にとっても他人事ではない。

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『プロミシング・ヤング・ウーマン』はキャリー・マリガン扮するカサンドラによる壮絶なリベンジもの。タイトルになっている「プロミシング・ヤング・ウーマン」は主にセックス関連の不祥事を起こした男性(エリート出身だったり良い大学に通っていたりする)を擁護する場合に使われる「プロミシング・ヤング・マン」をもじったタイトルだそう。「あの男性は前途有望な若者だったのにこんな些細なミスでつまずくなんて可哀想」みたいな使われ方?それは被害者にとってはセカンドレイプとして充分傷つけられる言葉な訳です。同時にこの映画ではカサンドラ自身と、彼女の幼馴染で親友だった女の子が医大で優秀な学生だった事も示唆しています。

この映画がすごいのはものすごい重いテーマを扱っているのに見た目がえらくポップなところ。ホラーと笑いは紙一重とよく言われるように、いつもネジが2、3本抜けてるような服装とメイクのカサンドラが起こすリベンジは一見突拍子がなく「えっっっ」と驚きながらも一瞬笑ってしまいそうになるんだけど、そのすぐ後には彼女の痛みが怒涛のごとく押し寄せてくる…そんな波状攻撃が映画ラストまで続きます。画面上に見えている彼女のリベンジは一部の人にとっては「ここまでする…?」と恐怖かもしれないけど復讐の元となった事件こそ「人間のすることなのか?」と恐怖と軽蔑の対象になるべき事で。途中で存在が明らかになる犯行の動画が映画の画面に映し出されれば「ここまでする…?」と思った人も「これはひどい」と思えたかも知れないけど、それをやらないところがこの映画最大の良心であり核だと思いました。殺人や交通事故の被害者を疑うことはまずないのに性犯罪はそれが普通にされるので、もし「動画を見るまで信じない」って人がいたら「お前マジか?」とド派手なウィッグとナースコスプレで聞きたい。

最後まで一見「痛快」でありながら、重い宿題を持ち帰らせてくれる映画で最高です。次は『17歳の瞳に映る世界』の感想を書きます。

公式サイト

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