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【東方×宝塚】『ユメノヅカ・スタイル!!』についてのおしらせ

みなさま、毎度お世話になっております。
いえ、あるいは「ご無沙汰しております」かもしれません。
サークル「アトリエYUMEnoZUKA」主宰の嘉月なをです。

今日はとても大切な、そして寂しいおしらせをしなくてはなりません。
このたび、私たちアトリエYUMEnoZUKAのスタート地点でもあり、
前身となる作品の制作を含めれば、実に12年のあいだ創作の中心としてきた
東方projectキャラクターによる宝塚歌劇パロディ創作
『ユメノヅカ・スタイル!!』の連載を
一旦終了とさせていただくことになりました。

理由はとてもシンプルなものです。
先日、宝塚歌劇団公式サイトにこのようなQ&Aが掲載されました。

『ユメノヅカ・スタイル!!』では、
実在のタカラジェンヌのイラストは描写しておりません。
しかし、明らかに元ネタがそれとわかるパロディネタ、
さらには舞台装置や劇場内部のイラストは随所に登場します。
また、作品タイトルやポスター、歌詞の引用やパロディロゴなど、
公式の本見解に則れば問題となるであろう描写が多数含まれています。

以上のことから、本作品の連載をこのまま継続することは、
様々な事情を鑑みて適切ではない
ものと判断しました。
本発表をもって、『ユメノヅカ・スタイル!!』の連載・頒布は終了となります。

現在WEB上に掲載されているイラスト・漫画作品についても、
周知のための期間(4月末まで)を設けた後、
全て公開を停止いたします。
お楽しみいただいていた方に対しては大変心苦しい判断となりますが、
どうぞご容赦ください。

アトリエYUMEnoZUKA主宰
『ユメノヅカ・スタイル!!』設定・シナリオ担当
嘉月なを


以上が事務的なご報告となりますが、
この後は少しだけ、私の個人的な感想を書かせてください。
『ユメノヅカ・スタイル!!』のあとがきの代わりとして。
そして、サヨナラの挨拶の代わりとして……。



思えば、もう12年になったんですね。
はじまりは、私がまだ駆け出しの絵描きとして活動していたころ。
当時高校を卒業したばかりの私が、
スティッカムというサイトでお絵描き配信をしていたときのことでした。

リスナーさんのコメントに答えながら、自分の好きなタカラジェンヌやフィギュアスケーターのことを熱心に語っていた私に、一枚のイラストを贈ってくださった方が居ました。

(このイラスト集の1枚めの作品です)
鬼頭りんさん。彼女との出会いで、それまで漫然とイラストを描いているだけだった私の創作活動は大きく変化しました。

好きな東方projectのキャラクターで、好きな宝塚歌劇団の物語を描いてみたい。
その熱でもって、幻想郷に宝塚のような劇団があったら……そしてそこに東方のキャラクターたちが所属していたら……という壮大な群像劇が作られていきました。

いま思うと自分でもどうかしているのですが、当時すでに公式で登場していた全キャラクターの設定を一晩で練り上げ、組配属をし、
一週間もする頃には完結までの作中時間10年以上に及ぶ長大な物語の全体像が完成していました。
こうして2011年夏『ユメノヅカ』は誕生したわけです。
(当時サークル名は幻想ノ塚歌劇団と標榜していました)

懐かしの夜組トップコンビ

あまりの速度に鬼頭さんからドン引きされたことをよく覚えています。
ただ、こうした癖は、ウマ娘ジャンルで連載中の『ストレイガールズ』の制作にもしっかり引き継がれているあたり、私は何も変わっていないなあと感慨深い思いになります。

当初、私は自分の未熟な絵でニコニコ動画に紙芝居動画を投稿するという形で物語を連載していました。
その後、宝塚の広報誌である『歌劇』をパロディ化した『華劇』の制作が『ユメノヅカ』関連同人誌の走りとなりました。

それから五年ほどの月日が流れ、
私はイラスト制作から身を引くことになりました。
同人活動を始める以前、私は小説や戯曲を制作するのがメインでした。
元よりイラストや漫画の制作は不慣れで、思うような創作活動ができないことに対するもどかしさもありましたし、自信も失っていたからです。
これからは自分の得意なことで活動しよう。
そう心に決め、アトリエYUMEnoZUKAと改称したサークルでは
私は漫画のシナリオや小説を担当
鬼頭さんは漫画の作画やイラスト・挿絵を担当することになりました。

そうして、散らかり気味だった『ユメノヅカ』物語をコミックスという形で再出発させるべく『ユメノヅカ・スタイル!!』の連載は始まったのです。
このタイトルには、様々な意味が込められていました。
宝塚ファンたちの楽しみ方、タカラジェンヌのキャリアの考え方、イメージ戦略、そして、私たち(アトリエYUMEnoZUKA)の制作の在り方。
すべてに対して「それぞれのスタイルがある」という思い。
それが「ユメノヅカ・スタイル」だったわけです。

みなさまにはひとつだけ、釈明しておきたいことがあります。
ここ2年間、アトリエYUMEnoZUKAはウマ娘ジャンルでの活動が多くなり、
東方projectでの活動、そして『ユメノヅカ・スタイル!!』の連載は途中で放り出してしまった……そんな風に思われた方も多かったかもしれません。
しかし、実際はそうではなかったということをお伝えしておきたいのです。

現在私はハーメルンにてウマ娘の二次創作小説『ストレイガールズ』を連載中です。
この連載開始にあたって、私はひとつのけじめを付けました。
つまり『ユメノヅカ・スタイル!!』のシナリオを書き上げないうちには、別ジャンルでの大々的な活動はできない。そう考え、完結までのシナリオをすべて書き上げていたのです。
全110話完結。それを作画担当の鬼頭さんにお渡ししたのが、2年前の夏。
2021年7月18日のことでした。
2011年に思い描いた完結までの道筋を、10年越しに仕上げられた。
それはそれは大きな達成感があったことを、いまでもよく覚えています。

それからは、別ジャンルでの活動をしながら
『ユメノヅカ・スタイル!!』という私が生み出し、鬼頭さんに育てていただいた作品が次々と表に出ていく姿を、シナリオ作者として、いち読者として、とても楽しみにしていました。

ですから、今回こうした形でその完成の形を見ないまま幕を下ろさざるをえなくなってしまったことについては、正直、とても寂しいです。
私がこの作品とともに歩んで来た12年間が、すべて水泡に帰してしまったよな、そんな気さえします。

12年。振り返ればあっという間でした。完結までの作中時間は、11年間。
幻想暦2010年から始まり、幻想暦2020年の年末、完結となるはずでした。
いつの間にか製作期間は作中経過時間を超え
私と同い年という設定だったみすちー(ミスティア)の物語完結時の歳も、連載開始当時年上だったひろみちゃん(衣玖さん)の年齢も、私は追い越してしまいました。
それだけこの作品と長く付き合ってきたという証でしょうね。

夢組のゴールデン・コンビ

——宝塚のことなんてまったく知らなかったけど『ユメノヅカ』のおかげで興味が出てきた。
——公演を見に行ってみようと思いました。
——実際に宝塚大劇場に行ってきました。
——コミケでタカラジェンヌのコスプレをして来ました……。
活動期間中に、こんなありがたいお声の数々をいただくことができました。
「オールドファンの母も楽しんでいます」なんて、もったいないお言葉まで。
もちろん、つらいことや大変なこともありましたが、それ以上にたくさんの幸せと出会いをいただいたなと思っています。
本当にありがとうございました。

私たちは細々ながら各々東方project作品での活動も続けていました。
現在私は『幻想四次のマエリベリー』という秘封俱楽部のボイスドラマ作品の再演を制作中です。夏ごろには公開できる予定です。

また、ウマ娘という別ジャンルでの活動にはなりますが、
架空サクセスストーリーという形では『ユメノヅカ』と共通する
ウマ娘二次創作小説『ストレイガールズ』を連載中です。
鬼頭さん作画のギャグマンガでも、引き続きシナリオを担当させていただいています。
今後の私たちアトリエYUMEnoZUKAの活動にもご声援をいただけましたら、
心強い限りです。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
そして、ありがとうございました。

鬼頭りんさんより

最後に、みすちー、お疲れ様。
やっと、ひとりの歌が大好きな夜雀に戻れるね。
本当はお話の完結の時にこの言葉を言いたかったけれど……。
もしも叶うのならば、どこかでまた会いましょう。
楽しかったよ。

嘉月なを より

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