琉球新報・文化面のエッセー「落ち穂」に掲載いただいた文章を転載しています。
2020.7〜12月。毎月2回載ります。
その度に、こちらでもUPしていこうと思います。
文章を書くに…
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2020年11月の記事一覧
琉球新報・落ち穂 第9回掲載エッセー
タイトル「光」
沖縄の、日々の日差しはとても強い。真夏など、光の強さで目の前が真っ白になる感覚がある。光の色は、わたしにとっては「白」だ。紅型染めでは、白という色は使わない。元々の生地の白地を活かすか、胡粉と朱の混色(薄桃色)を、白と表現していると学んだ。紅型では使用しない白を、わたしは敢えて使ったりする。光を表現したいからだ。白単色を使いはじめたのは、忘れもしない、東日本大震災の日から、だ。
琉球新報・落ち穂 第8回掲載エッセー
「命のバトン」
2016年の秋、わたしは母になった。
ぴったり十月十日で産まれた小さな娘は、精巧な作りの人形のような手をゆっくりと握ったり開いたりしていた。とても不思議だった。昨日までお腹にいた人が今、目の前に存在している。命がそこにある。まじまじと見つめながら、祖母に見せたかったと、心から思った。
同年5月、庭のつつじが咲き誇る日、祖母は逝ってしまった。享年110歳。6月が祖母の誕生日で