読書感想文『びっくり館の殺人』

綾辻行人『びっくり館の殺人』

館シリーズは十角館から順番に読んでいて、暗黒館で一段落したので(自分のなかで)御手洗潔やらワシントンポーシリーズを挟んでいましたが、続きを読みはじめました。
館シリーズは1個も読書感想文書けてなかった、、悔やまれる。

びっくり館は今までの館シリーズと毛色が違いました。
①タイトルが漢字じゃない。びっくり館ってなんか…ポップ。
②ボリュームが少なめ。1日で読み終われる。
③セリフの末尾に「。」が付いている。
④事件当時、語り手が小学生だったこともあってか、難しい言葉が少なく読みやすい。
⑤暗黒館から時代が少し進んでいる。2004年(事件は1994年)の設定。インターネットも出てくる。

あとがきを読んで知ったんですが、びっくり館は「かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド」という企画で書かれたものらしい。
タイトルがびっくり館なのも、ボリュームが少なめなのも、セリフの末尾に。がついてるのも難しい言葉が少ないのも、少年少女が読みやすいようにという意図があったのか〜と腑に落ちた。
私は完全に「かつて子供だったあなた」側の人間だが、楽しく読めた。

…いや、楽しく読めたというと語弊がある。
なぜならびっくり館はかなりホラーだから。ミステリーの要素はもちろんあるし、館シリーズだから当然「密室殺人」が起こっていて、中村青司が建築した館にからくりもちゃんとある。

でも全体的に不気味で、ホラー。映像で見たら夜寝れなくなるかも。とくに腹話術のシーン。
だから楽しく読めたかと言われると、全体的に暗い気持ちになった、というのが正直なところ。
まぁ館シリーズに明るい気持ちで読める作品なんて無いか。

短かったし、キャラが好みな島田潔(鹿谷門実)もあんまり出てこなかったので、他のシリーズと比べるとちょっと物足りなさはあるかも。

次はそのまま次作の奇面館の殺人を読もうか…もしくは1回ミステリーから離れるか。
少し悩もうと思います。

そういえば作中で新名さんが読んでいた中井英夫の『虚無への供物』。
これは綾辻先生から少年少女への「大人になったら読みなさいね」というメッセージだと思いますが、私はとっくに大人になっているにもかかわらずまだ読めていないので、これも読まなければと思っています。
ミステリー小説って読んでも読んでも宿題がどんどん増えるなぁ。
『モルグ街の殺人』は履修済みだったので、セーフ(?)。

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