はてなブログ DevBlog Meetup #1に参加して、技術発信について考えたこと
はじめに
こんにちは、メタルは全てを解決するです。ナビタイムジャパンでVPoEと経路探索の研究開発部門責任者を担当しています。昨日は一日中X JAPANを聴いていました。
2023/7/24に開催された「はてなブログ DevBlog Meetup #1 - 技術情報発信に取り組む企業の交流イベント -」に参加してきましたので、その参加レポートと、参加して改めて考えた「技術を発信するということ」についてしたためます。
はてなさんの話
トップバッターは、はてなさん。はてなブログの紹介、技術ブログの統計データなど興味深い内容が語られました。
はてなさんは企業技術ブログを集めたページを公開されたり、以前より技術発信そのものを後押しするような活動をされたりしています。
はてなブログを利用している企業ではGitHub上でブログ記事を管理しているところが多いようで、GitHubとの連携がスムーズになるような機能の紹介がなされていました。
個人的にとても興味深かったのが、技術ブログの統計データ。
各社がアドベントカレンダーを開催し投稿数が劇的に増加する12月はview数も盛り上がる
投稿頻度は月1回程度の投稿数が最頻値
Google検索から流入するとテールを獲得できる
SNSからの流入も多いがSNSアカウントの運営は大変
投稿数が多いほうが1記事あたりのPVベースラインは上がっているように思える
企業で技術ブログを運営している人間にとって大きなヒントとなる情報がちりばめられていました。
投稿頻度については月1回程度が最頻値で、「週に2本以上の頻度で出すにはすごくしっかり運営できていないと(できない)」というのが印象的でした。
パネルディスカッション
はてなの大西さんをモデレーターに、NTTコミュニケーションズの小倉さん、弁護士ドットコムの小宮山さん、そしてユーザベースの文字さんをパネリストに迎えてパネルディスカッションが開催されました。
ここではブログを書く目的、執筆者のインセンティブ設計、そして企業による技術ブログの価値とは…など様々な観点で議論が交わされました。以下、印象的だったポイントについて紹介します。
強いインセンティブは用意していない
どの企業も、明確なインセンティブは設けていないとのことでした。技術ブログを執筆するにあたっては内発的動機が重要なポイントでもあるので、強すぎるインセンティブを用意しないというのが大事なのかもしれません。
レビューのあり方はそれぞれ
気楽にやってもらっている、という企業もあれば、ランダムにレビュワーを選択してレビューしてもらう、などかっちり目のレビューをしている企業もありました。
記事はGitHubで管理、固有名称のゆらぎなどは自動検出、などテック企業らしい取り組みもいくつか見られました。
成果を追い求めすぎない
どの企業にも共通していたのが、KPIとしてアクセス数やブクマランキングなどは見ているけども厳密に追いすぎない、という姿勢でした。
ブログ執筆にはインナーブランディングや社内におけるチャレンジの機運醸成など数値化が難しい効果があるので、ブログ執筆そのものに価値があると信じ運営していく覚悟がある程度必要なのだと感じました。
自分たちもそういう気持ちで運営しているのですが、他の会社もそうだというのを知れたのはこの勉強会に参加して得られた大きな収穫のひとつです。
LT&懇親!
休憩を挟んで、LT大会が始まりました。
LT一発目ということで高らかに「乾杯!」を宣言した西馬さん、乾杯のテンションのまますばらしいLTを披露されていました。
アウトプット文化が成長機会を生み、セルフブランディングにつながること。「あなたの当たり前は誰かの学び」であること。わずか5分の中に、技術ブログ運営者が共感せずにはいられないポイントがギュッと詰まっていました。
Flatt Securityさんはスタートアップが技術発信にコミットする意義についてお話されていました。技術者同士の輪を広げるだけでなく、リード数増加や受注率増加にも繋がっているということで、もはや技術発信は技術者のためだけではなく、ビジネスにも効果的なものであるということがよくわかるお話でした。
Goalとしてノーベル平和賞を掲げる、とても野心的なヘンリーさんのLT。技術ブログの発信を始めてから日が浅いようですが、13投稿で613ブックマーク、106スターを獲得するなど一つ一つの投稿の質の高さが伺い知れる数字が躍っていました。こういった情報があると「どんな会社なんだろう…?」と気になってしまうので、やはり技術発信って大切ですね。
LT終了後は懇親会。何人かお話させていただきましたが、運営としてはコンスタントな投稿ペースを目指したいけどどうしてもムラができること、レビューはクオリティアップのためにやりたいけどレビューされる側のモチベーションに関わることもあるのでさじ加減が難しいことなど、運営者なら共感せずにはいられない話ばかりでとても盛り上がりました。
イベントを経て考えたこと
ナビタイムジャパンがNAVITIME_Techとして外部への技術発信を始めたのが2018年、noteでの発信を始めたのが2020年。2022年度には1年間でのnote投稿数が200本を超えるなど、社員のみなさんの協力によりかなり活発な発信が実現できています。これは当たり前のことではなく、全社で発信を盛り上げていこうという協力体制の賜物なのだ、ということを改めて実感しました。
技術ブログというのは不思議なものです。公開時にはあまり閲覧されなかったものがある日突然見られるようになったり、特定の層に刺さって取材につながったり(当社の場合、noteの記事がテレビ取材につながったことがあります)。
だから、短期的な閲覧数、スキ数に一喜一憂せず継続して発信し続けるということが何より大事なのだ。このイベントに参加して、改めてそう思いました。
もちろん、読んでいただく方にとって役立つ内容か、読んでほしい人に届くタイトルになっているか、そこは知恵を絞るべきポイントです。そこが達成できているかを確認するために、閲覧数やブクマ数という指標はある程度有効です。
クオリティを高めるために指標は追いつつ、指標に一喜一憂せず、自分たちの目指すところをまなざしながら発信を続ける。これからもそうありたいと思いました。