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新線開業後、新横浜駅の検索がいちばん伸びているのは○○県だった

 こんにちは、いぬです。ナビタイムジャパンでマーケティングを担当しています。
 4月26日に、とあるデータ分析のプレスリリースを配信しました。
 今回はそのプレスリリースの分析内容が、どのような経緯をたどってあの結論に至ったかを投稿します。


 ナビタイムジャパンには、データ分析を生業としている部署があることをご存知だろうか。
 『NAVITIME』『カーナビタイム』『ツーリングサポーター』等、様々な移動手段に適したサービスを提供しているナビタイムジャパンでは、日々とんでもない量のデータが蓄積されている。それらのデータからは、例えば「訪日外国人がよく調べているスポット」や、あるいは「数年前と比較して明らかに検索されている、バイク乗りに人気のエリア」が分かったりもする。
 今回はそんなデータを活用して、データ分析担当部署の「交通データ事業部」にて、以下のテーマで分析を行ってみた。

【分析テーマ】

2023年3月18日に開業した「相鉄新横浜線・東急新横浜線」は、人々の移動にどのような変化をもたらしたか?

該当の新線は太線部分

 上の図の太線で示されているところが、新しく開業した路線である。
 公式HP等を確認したところ、この路線が開業することで色々とメリットがあるらしい。新横浜駅からの新幹線へのアクセスが楽になったり、渋谷まで乗り換えなしで行けたり、場所によっては目黒まで行く時間が短くなったりするようだ。
 これだけメリットがあるのだから、おそらくユーザーの移動にも、何かしらの変化を起こしたり、影響を与えている可能性が高い。きっとそれがデータにも表れているはずだ。

仮説1

東海道新幹線に乗る際は品川駅を利用していた人が、新横浜駅から乗るようになったのではないか

 これはとても顕著にデータに表れているのではないだろうか。最近は旅行や遠出をする人も増えてきているし、あわせて新幹線の利用も活発になってきているからだ。
 特に武蔵小杉や田園調布、自由が丘といった駅周辺のユーザーにとって、関西方面に向かう新幹線を利用する場合は、品川より新横浜に向かったほうが早く着くことになる。

 したがって「対象範囲の駅のユーザーは、新路線開業後は品川駅の検索数が減っている」はずだ。

渋谷や目黒に行く手前の駅を対象として抽出

データの抽出条件は、以下のとおり。

  • ↑の緑の範囲内に含まれる駅が出発地で、

  • 品川駅を目的地として検索された、

  • 新路線開業前と開業後のデータ

そして抽出したデータがこちら。

ランクインしたのは、該当駅の中では武蔵小杉のみ

 特に変わっていなかった。

 なんなら逆にちょっと増えている。
 これは恐らく、前述のお出かけ需要の活発化によるものなのではないかと思うが、そこまで明確に違いが出ているわけではないので断言ができない。
 何しろ品川駅全体のデータ量が多すぎて「こんなに変化しました!」と言い切るには、変動量があまりにもささやかだからだ。

 残念ながら、仮説1をデータから立証することはできなかった。

 

仮説2

新横浜エリアのスポットの検索件数が増えているのではないか

 気を取り直してもう一つの仮説を検証したい。
 こんなに行きやすく便利になったと言われている新横浜であれば、遊びにでかけている人も増えているのでは。もちろん、仕事で向かう人も多くいるに違いない。東海道新幹線のアクセスといった中継地点としての役割だけでなく、新横浜エリアそのものを目的地とする人が増えていると考えられる。

 したがって「新横浜エリアのスポットは、新路線開業後は目的地検索数が増えている」はずだ。

データの抽出条件は、以下のとおり。

  • 新横浜駅のあるエリア「横浜市港北区内」にあるスポットのうち、

  • 目的地として検索された、

  • 新路線開業前と開業後の都道府県別データ

 そして抽出したデータがこちら。

色が濃いほど「横浜市港北区内」を目的地として検索したことになる

 埼玉からの検索が圧倒的に増えている。

 上の図を補足すると、都道府県の色が濃いほど横浜市港北区内のスポットを検索していることになる。見てわかる通り、どこよりも段違いで埼玉の存在感が濃い。
 ちなみに「都道府県別に横浜市港北区内のスポット検索数が何倍増えたか」をグラフにしたものも下に載せるのでご覧いただきたい。

 

 1.5倍増。増え方に説得力がありすぎる。

 もう少し細かくデータを見てみると、埼玉の市区町村の中でも、特に直通沿線がある川口市・川越市で新横浜駅への検索が増えていることがわかる。

上段が新横浜駅以外のスポット検索状況。下段が新横浜駅のみのスポット検索状況

 こうなってくると、仮説1で儚く散った「品川より新横浜で新幹線に乗ってるんじゃないか説」をもう一度検証してみたくなってきたため「埼玉県内市区町村を対象に、東海道新幹線乗車駅を目的地とした検索傾向」の変化を確認してみた。

 データの抽出条件は、以下のとおり。

  • 出発地は埼玉県内市区町村で、

  • 目的地は東海道新幹線が通る駅として検索された、

  • 新路線開業前と開業後のデータ

 そして抽出したデータがこちら。

 
 

 上段のグラフは川越市、下段のグラフは川口市の目的地検索結果となる。
 グラフの青い線が新横浜駅の数値になるのだが、開業直後である2023年3月18日に、特に川口市の検索数が突出して増加していることがわかる。
 開業前の検索平均値と比較すると、その実9.8倍増。
赤い線の品川駅の推移は特に変化がないため、新横浜駅の増え方がより際立っている。
 川越市のほうは、新横浜駅に直通している上に乗換が容易であることから、新幹線利用目的で新横浜駅乗車が増えた可能性は充分に見て取れる。
 とはいえ4月までのデータを見てみると品川駅が優位に戻ってはいるが、新横浜駅のベースラインは上がっていることがわかる。

 

 このように、ナビタイムジャパンでは色々な切り口から様々なデータを用いて、データ分析を行うことが可能です。
 ときには仮説とは全く異なる結果が出たり、予想もしていなかった変動をデータから読み取れるかもしれません。
 それもまたデータ分析の奥深さであるとして、ナビタイムジャパンのデータを活用していただければ嬉しく思います。

 また、データ分析を行うためのツールを各種ご用意していますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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