スポット検索ランキング2023から見えてきた検索ニーズのシフト
🎄この記事はNAVITIME JAPAN Advent Calendar 2023の13日目の記事です。
こんにちは、にんにくです。
ナビタイムジャパンの交通データ事業部で移動ビッグデータの分析・可視化を担当しています。
本年も『スポット検索ランキング2023』が公開されました。
2023年12月6日に配信したプレスリリースにて、書ききれなかった内容の一部を投稿します。
※『スポット検索ランキング2023』の作成過程および詳細につきましてはこちらの記事をご覧ください
はじめに
今回はスポット検索ランキングのメインコンテンツであるスポット総合ランキングTOP100に着目します。
ランキングの特徴として、「伏見稲荷大社」「奈良公園」など関西の観光スポットが順位を上げていた点があげられます。
その中でも大阪府にある「大阪城天守閣」「道頓堀」は昨年度圏外からランクインしています。
「この事象から何か言えることはないか」「背景に何があるのか」を経路検索条件データ(詳しくはこちら)を使って探ることにしました。
分析テーマ:スポット検索傾向はどのように変化したか。その背景は何か。
集計条件
本記事の集計条件は下記をベースにしています。
期間①:2022年1月1日~10月25日
期間②:2023年1月1日~10月25日
対象 :対象スポットを目的地に設定したルート検索
駅、バス停、空港などの交通結節点を目的地としたものは除外
仮説1:大阪府を目的地とした経路検索が2022年と比べて増加している
追加条件:目的地を大阪府内の任意のスポットに限定
まずは「大阪城天守閣」「道頓堀」といった大阪府のスポットを目的地に設定してルート検索をしたユーザー数を調べてみます。
ランキングでこれらの順位が上がっていることから合計の検索人数も増えているだろうという仮説を立てました。
結果はこちら
昨年と比較して検索人数が減少している結果が得られました。
いきなり予想と異なる結果ですので、条件を見直すことにしました。
ここまででわかっている事象は下記の2点です。
大阪府内を目的地とした検索者数は増えていない
大阪府内の定番観光スポットの順位が大きく伸びている
仮説2:大阪府を目的地とした府外からの経路検索が2022年と比べて増加している
追加条件:目的地を大阪府内の任意のスポットに限定
出発地が大阪府外のものに限定
スポット検索総合ランキングで順位を上げていたのは定番の観光スポットでした。
皆さんも「近場の観光地は意外と行かない」もしくは「調べない」というのは心当たりがあるかと思います。
出発地が大阪府外の検索に絞って集計を行えば、ランキングの傾向に近づくのではないかという仮説を立てました。
結果はこちら
出発地を大阪府外に限定して検索人数を比較すると2022年と比べて増加していることが確認できました。
ナビタイムジャパンのサービスは、初めて行く場所やおでかけ先を調べるためにより多く使われる傾向があります。
同一都道府県内からの検索は通勤通学など日常使いの用途が多くなるのに対し、都道府県外からの検索は旅行やお出かけでの用途が多くなります。
ここまでの調査で大阪府外から大阪府内へのスポット検索人数が増えていることが確認できました。次にこの傾向が大阪に限ったものなのか、全国的なものなのかを調べてみます。
仮説3:全国的に都道府県外からの検索が増加している
追加条件①:出発地と目的地が同じ都道府県
追加条件②:出発地と目的地が異なる都道府県
各都道府県を目的地とした対象に検索人数の増減を集計します。
以下、追加条件①での集計を県内のもの、追加条件②での集計を県外のものとして記します。
47都道府県の検索人数をそのまま比較してしまうと、絶対数が大きく異なるため、2022年比の順に並べて表示します。
結果はこちら
左が県内からの検索グラフ、右が県外からの検索グラフとなっています。
2022年比で増加したところを橙色、減少したところを青色で表現しています。
県内からの検索グラフでは1つの都道府県でのみ増加が確認できました。
沖縄県です。2023年は沖縄県に入域する人が増えている(※)ことからこのような結果になったと考えられます。「飛行機などで県内に移動したのち、あらためて現地で目的地への行き方を調べる」といった観光客の行動が推察されます。
※ 出典:令和5年(2023)10月入域観光客数概況(速報)
県外からの検索グラフは、39の都道府県で増加が確認できました。県境を跨いだ移動が活性化していることがうかがえます。
5月の新型コロナウイルスの5類移行を受けて、県境を跨いだお出かけ需要が増えたことが一因として考えられます。
以上、県内と県外で大きく異なる傾向が確認できました。これらの結果から2023年は2022年と比較して検索ニーズが、近場から遠くへシフトした年だったと言えるのではないでしょうか。
最後に県外からの検索が伸びていた、今注目を集めている可能性のある都道府県TOP3を発表して終わりたいと思います。
県外からの検索増加率ランキング
1位:広島県
2位:宮崎県
3位:高知県
これらの都道府県に何があるのか気になった方は、スポット検索ランキング2023 都道府県別TOP5をぜひご覧ください。
以上、毎年恒例となっているスポット検索ランキング分析の一例でした。
交通データ事業では引き続き、データ分析の観点から日本の観光戦略や新たな観光資源の発掘等に貢献できるように、分析事例の発信を続けていこうと思っております。
もし、同様のデータ分析に興味・関心がありましたら、お気軽に交通データ事業部までお問い合わせください。