風に震える花は
吸い上げる葉脈の水音に
命の声を聞く
春の嵐の雲の切れ間に
太陽の
逆巻く髪を捜しながら
花よ 無情に延びている
直線の地平は
実は球体であなたを支えている
花よ いつか風にさらわれた
あなたの種子たちは
国境を越え
アスファルトの裂け目密かに
芽吹いている
花よ 激痛とともに手折られた
あなたの半身は
旅人の手の中で 今
彼の意固地な魂を
そっと癒していいる
花よ 泣いてはいけない
昨日の輝きが
ただ未熟さゆえのことと
知った今でも
時間の無い世界では
産声から念仏までの
生まれてから老いていく
命があるだけ
まして輪廻など
ただ一度きりの
自分がいるだけ
風に震える花は
その痛みの記憶を
愛の磁力に変え
強さに変える
自惚れた神々が
気まぐれにもたらした
その美しさを
なんとか 散らさまいとして
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