手、あるいは静止した惑星 to Lucie Rie
轆轤(ろくろ)を楽器にして
独自のフォルムを奏で続けた手
<いや、違う
アルビオン・ミューズの
自宅兼工房のキッチンで
ケーキとコーヒーを準備する
老女のありふれた手 >
轆轤の回転は
惑星の自転に似ている
その時
作品を仕上げる彼女の手は
創世記の神の
それに似ている
<鉢や花器の形をした無数の星々>
伝統とは拒否するものではなく
服従するものでもない
それは生活の道具の中に
常に新しく在るべきもの
敬愛した物理学者への
オマージュである造形と
元素記号による暗号化