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【詩集】The Letter

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#自由詩

ローズマリーのお茶

音楽を聴きながらお茶を飲む それ以外にするべきことなんて 本当は何も無い 日々の忙しさだっ…

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死んだP.C(SX2885-54F)に

例えばファミレスを居酒屋代わりにして 昼間から一緒に飲んでいた友人が 突然、胸を押さえ倒れ…

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夜逃げもどき

船着場にて 櫂の柄は朽ち 水夫(かこ)は花町 女漁り 逃げましょうにも 女房 子連れじゃ 先の長…

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Nude

獣(けもの)の汗と 火照りとが去った後で 肌は 冬の陽のように白い 大理石の輝きを増す 未熟…

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二つの心

心の欠けた形を 埋めようとして 心をもう一つ 欲しがったわけじゃありません 私はただ見とれ…

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雪の絵筆  鬼怒楯岩大吊橋にて

雪の絵筆よ 描きかけのこの絵を染めて 二人の道行(たび)の足跡を消して <これは どんな眠…

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名札

日々の Detailの変化が重なって いつの間にか見知らぬ世界にいる 古い名前で呼んだとき応えてくれた女(ひと)を 新しい名前で呼んだら無視された 昔 読んだミステリーを再読したら 結末が違っていて いつも歩いている角を曲がった空き地に 先日まで何があったのか 思い出せない 父が消え、母が消え、家が消えた 友が消え、鳥が消え、猫が消えた 頼んだ覚えのないAmazonの小包が届く 誰かがペットボトルを踏み潰す音が聞こえる 電池切れの筈の時計が音声で時を告げ 台風予報の空は青

誕生日(Candle&Lighthouse)

マーマレードみたいと思っても 口に出しては言わないよ 陳腐な形容詞はいつだって きれいな朝…

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朝食

にわとりの鳴き声が響く 紫色の朝は失われ 生き残りの酔いどれが 亡霊のように漂っていく午前…

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