「照明」の仕事について語らせて。 #こんな仕事です
久しぶりに投稿します。
「旦那さんどんな仕事をしているんですか?」
と嫁が聞かれて非常に困るらしい。
一言で言える分かりやすい仕事ではないからだ。
輸入代理店の技術担当?
照明設備の設計者?
プロジェクトマネージャー?
現場監督?
商品設計?
ざっくり言うと
プロジェクトをまとめ、それを完成させる。
あるプロジェクトを例にとると。
ある有名な外資系企業が日本ブランチをつくる計画。
事務所ではなく、クライアントお客様のために特化したプレゼンテーションルーム。大規模なカンファレンスルーム。特殊な?ミーティングルームがある。かなり大規模な計画だ。
ここでの私の仕事は、
その全ての照明器具とその電気配線と電力制御部の実施設計と施工。照明演出のプログラムをプロデュースする。
という概要がはっきりと分かったのはプロジェクトがかなり進んでからだっだ。
プロジェクトスタートの時点でその工事内容と対応する企業がきっちり決まっていることはまず無い。プロジェクトマネジメント会社もIT専門分野や照明や映像の専門分野はあまり知らなかったりする。数回の打ち合わせで形ができてくる。
実施計画 (ローカライズ)
基本的な設計(基本設計)はアメリカで終わっているのでそれに基づいて実際に施設を作り上げる計画を立てる。
言うわ易し、実際はこれがめっちゃ大変。
アメリカと日本で取り扱う商品が流通の都合で入手できなかったり、法律的に問題を確認、合理的な金額でなかったりするのでそれらを調整して妥当な計画を立ててデザイナーにオッケーを取る。
理想的には、実施設計完全OKで見積もり(入札) 工事着手となるのが理想だが、実際はそうは行かず施工工事しながら照明器具の確認をした。
一つの照明器具についての確認業務の流れはこんな感じ。
1.ローカライズプラン(実施設計)を立てる
2.デザイナーの確認をとる NG→1に戻る。OK→3に進む
3.見積もりをプロジェクトマネージャーに提出。 NG→デザイナーに報告後1に戻る。OK→4に進む
4.現場に手配をかける。
たったこれだけだが内装計画、照明メーカー、インテリア、照明器具、LEDの制御、照明の基礎アメリカと日本の違い、PSE、IECについて知識が必要になる英語も必要だったが、勉強不足で会話できず。
海外から商品を引っ張ると時間と手間がかかるので、ローカライズ案では特注照明器具を数点設計した。
アメリカからの基本設計が間違っていることが判明。
私が参画した時点ではすでに遅し、高層階から低層階まで電力ケーブルを2組配線済みだった。1組の電力ケーブルは使われることなくビルの中に眠っている。もっとも逆じゃなくてよかったと思う。
こんな間違いにもクライアントはお金を払っていると思うと、複雑な気持ちになる。
アメリカ国内でその専門メーカーがこのプロジェクトの設計をサポートした時点ではおそらく照明負荷(照明器具)の情報が無かったものと思われる。負荷(照明器具)の情報が無ければ安全を見て機能を100パーセント使えるものを提案するだろう。
それ以来、私はアメリカから来る図面を盲目に信じるのは辞めた。それは批判的に受け止めると言うことでは無く、一旦受け入れ、その機材やシステムを頭の中で電気を入れて動かしてみて問題がないかを確認する作業をして妥当性を検証している。
一番大事なことは、自分かかる火の粉を躱わすことでは無く、最適なソリューションをクライアントに提供することだと信じている。