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マンガのお仕事!動物実験は本当に必要なの?

こんにちは。ノーチのしっぽ研究所の¥0sukeです。
今日はマンガのお仕事のお話です。
ある日、フォロワーさんの実験動物獣医師の方から、こんな依頼が。

(意訳)
私の実験動物獣医師としての今の考えを多くの方に届けたいので、漫画やイラストで図解していただけませんか?

ご依頼主の獣医師のあるぱかさん(Twitter)は、主に製薬の現場で実験動物の健康管理に従事されており、動物福祉について普及啓発する活動にも力を入れていらっしゃる方です。
我々も、学業やお仕事で実験動物と深い関わりを持っていた経験があり、あるぱかさんとは直接お会いしてお話を伺ったことがありました。

冒頭では、あたかも直接あるぱかさんからご指名を受けたかのように書いてしまいましたが、正確には、「漫画にしてくれたらいいのにな〜」と呟かれているところを拝見して、我々の方から、是非やらせてくださいと立候補し、制作に至りました。

実験動物や動物福祉については、世間でも活発に議論がなされている話題でもあり、気安く取り扱ったり、浅い知識で意見したりすべきではないことは理解していました。
動物実験は、無い方が良いに決まってる。
これは誰しもの共通認識であり、中には動物実験に関する情報を不快に感じる方もいらっしゃると思います。
動物実験の話題自体がセンシティブであり、インターネット上では触れることをタブー視する風潮すらあります。

しかしそれゆえに、特定の立場からの意見が目立ちやすくなったり、間違った情報が広まりやすくなったりするのも事実です。
あるぱかさんは、実験動物業界に携わる当事者として、外部からは知ることができない景色を、誤解を生まないよう冷静な言葉で、世の中に発信されていました。
我々もそのお手伝いできる可能性があるならば、ぜひできる限りご協力したいと考えました。

マンガを描くにあたり、改めて実験動物や動物福祉について勉強し直しましたが、それでも素人の口からではあるぱかさんの本意とずれたことを言ってしまう可能性もあるので、ここではあまり内容については触れないことにします。
そこでいきなりですが、完成したこちらのマンガをご覧ください。

制作においてのポイントだけ、いくつか紹介しておきます。

最初の難関は2ページめ。
ここでは、なぜわざわざ動物の体を使って実験をしなければならないのかを説明しています。
僕も理系出身なので、生物を使った実験は人並み以上には経験しましたが、机上や試験管内でのシミュレーション通りの結果にならないことがほとんどで、生命現象の予測不能さ、例外の多さは重々承知しています。
しかし、科学に馴染みのない方にとっては、こんなにも科学技術が発展しているのに、なぜ未だに動物を犠牲にする方法が採用されているのか、疑問に思うかもしれません。
体の中で起こっていることの複雑さをどうやってわかりやすく図解するか、かなり頭を使いました。

3ページめでは、面倒にも思えるほどの多くの段階を踏んで実験する理由を説明しています。
いただいた原稿中の「あらゆるリスクを避けて、石橋を叩きながら進んでいかなければならないのです」という言葉が、安全性や効果をテストする上での不安定さ、危うさを的確に言い得ているなあと感じたので、丈夫そうに見えても実は落とし穴だらけの道を慎重に進む、研究者のイメージを絵にしてみました。

4ページめは、動物実験を減らす取り組みについて説明しています。
前半部分は、入念にテストされた確かなエビデンスか、動物の幸せか、個人で選択できる世の中になってきているという文脈なのですが、女性の「動物を犠牲にしてまでキレイにならなくてもいいわ」というセリフは少々不適切だったかなと反省しています。
このセリフを裏返せば、従来の化粧品を選択した側のユーザーが、動物の命を軽く見ているかのようにも捉えられるからです。
わかりやすさや共感のしやすさばかりに頭が行ってしまっていました。伝えるって難しい…
3Rの原則については、どうしても描いておかなければ!という使命感から、大きくスペースを取っています。

とまあ、こんな感じで、いかにしてわかりやすく伝えるか、今回も頭を捻りながら描きました。
あるぱかさんの言葉のニュアンスが変わらないよう、かつ専門用語等は使わずに感覚的に伝わりやすいマンガにできるよう、細心の注意を払って描かせていただきました。
この頭を捻る時間が、とても苦しくもあるのですが、視覚に直接訴えかけて多くの情報を伝えられるのが絵の力であり、そのために悩む時間が絵の醍醐味です。

詳しくは、こちらのあるぱかさんのツイートからチェックしてみてくださいね。

今回はここまで。
それでは。


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