誰も知らない深夜3時頃
温くはっきりとしない半端な世界を私は歩いている。
夜が終わりかけ、朝がもう少しで始まる時間。
白く、ぼんやりとした霧が世界をより曖昧なものに見せてくれる。
ぼんやりとはっきりしない世界では私という存在にさえ霞がかかっていくように感じる。
そんな世界の中に微かに私という存在が足音を鳴らして街を歩いている。
冷たい街灯に照らされた淡い桜の色は対照的な優しい色をしている。
イヤホンから流れる音の向こう側から虫の鳴く声が聞こえる。
なぜ君は泣いているんだろうか。
鳴いているんだろうか。
誰に聞こえるかも分からないこんなに脆くて美しい世界の中で。
あでも、私も同じか。
少し熱を持った私の体は世界に熱を逃せないでいる。
厚い雲と霧に包まれた世界は飽和しているように感じる。
人のいないはずのこの時間の世界は、その他のもので飽和している。
行き場の無いこの熱に嫌気がさして首を触る。
思っていたよりひんやりとした首は心地が良かった。
まるで自分のものでは無いみたい。
ただ何を伝えたいとかそういうものは無いけれど
幻想的な春の夜、桜が散ってしまう前の何もかもが半端な、そんな夜。
ただ思うままに
街を歩いただけの話。
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