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干潟のはなし

初夏になると潮干狩りのシーズンですね。
ぼくも貝の類は大好物です。
しかし近年は少なくともうちの近場の話ではありますが、潮干狩りの代名詞であるアサリやハマグリは滅多にとれませんね。
原因は乱獲なんだか環境の変化なんだかわかりませんが…

しかしアサリ以外にも食べられるものはあるのでぼくが食べたことあるものだけ軽く紹介します。
採集方法も一応簡単に説明しますが、一人で活動しているため中々撮影するタイミングがなく、肝心の採集風景を紹介できていません。
携帯の水没も怖いししかたないね。

シオフキガイ 

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バカガイの仲間でアサリくらいの大きさの二枚貝です。
アサリと比べると丸みがあり、殻が脆いのが特徴。
潮干狩りの外道としては定番の貝のようで、適当に掘ってると結構出てきますね。
この貝はバカガイ同様砂をうまく吐かないので敬遠されがちですが、適切な処理をすれば食べることができます。

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簡単に説明すると、まず貝殻をしっかり洗ったら鍋に入れて水から煮出します。
殻が開いたらとりだします。茹で汁にはもちろん貝の出汁が出ているのでキッチンペーパーで濾してとっておきましょう。
取り出した貝は剥き身にしてザルを乗せたボールに入れ、水を張ってかき混ぜます。
左回しに混ぜるといいと言いますが理屈はよく知りません()。
これを水を替えながら何度も繰り返し、砂が出なくなったら完了。
混ぜすぎると身がグズグズになったり旨みが抜け切ってしまうかもなのでやりすぎには注意。
食べ方は基本的にアサリと同じ感じでいいと思います。炊き込みご飯や汁物、佃煮なんかいいでしょう。

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マテガイ

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細長い殻を持つ二枚貝です。
干潟の砂中に縦に突き刺さるように埋まっています。
取り方がちょっと面白く、地面の表面を軽く削って巣穴が出てきたら塩を撒き、ニュッと飛び出てきたら捕まえるというもの。
巣穴は楕円形というか菱形というか独特な形状をしています。
干潟には様々な生物の巣穴があるので最初はよくわからないかもしれませんね。
捕まえる時は筋肉を収縮させて抵抗してきますがこの時無理に引き出そうとすると千切れてしまうことがあるので注意。
収縮する過程で力を感じない場面があるはずなのでその時にゆっくりと引き出すのがコツです。
食べ方は酒蒸しや味噌汁、パスタなどがおすすめ。
積極的に砂を噛むタイプではないのでアサリのように長時間砂抜きをする必要がないのが手軽で嬉しい食材。

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アナジャコ

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貝類以外にはこんなのもとれます。
シャコと名前についており、見た目も少し似てはいますががどちらかと言うとエビやヤドカリに近い甲殻類です。
茹でると赤くなるのでシャコとは違うんだなとわかると思います。
Y字型の大きな巣穴を掘ってそこでひっそりと暮らしており、砂中の有機物を食べてそだちます。
性格とても臆病で危険を感じるとすぐに隠れてしまいます。
しかし同時に非常にナワバリ意識が強く、ライバルが巣穴に侵入するとものすごい勢いで追い出しにかかります。
この習性を利用することで捕まえることができます。

まず地面の表面を削って500円玉くらいの円形の巣穴を見つけ出し、そこに習字で使う「太筆」を毛側から差し込みます。
時々筆をつついてやりながらしばらく待つと、筆をライバルと勘違いしたアナジャコが追い出そうと筆を押し出してきます。
そうしたらゆっくり筆で刺激しながら引き抜いていき、爪が出てきた掴んで引っ張り出して捕まえましょう。

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…と説明するのは簡単ですがこれがなかなか難しい。
まず、活性状態によってはいつまで経っても押し出してこないことがあります。
その時はずっと待つよりは見切りをつけて他の巣穴を狙った方がいいかもしれません。
ひとつ巣穴があれば近くにたくさんいるはずなので。
巣穴の入り口まで誘き寄せるのも難しい。
こればかりは感覚で覚えるしかないと思います。ライバルのアナジャコの気分になって根気よくやっていきましょう。
逆に活性がいいと何もしなくても入り口まで押し出してくる個体もいます。
そういうやつを積極的に狙うべきかもしれませんね。
最難関が捕まえる時。上述のようにとても臆病なので掴み損ねるとすぐに逃げ込んでしまいます。
こうなると中々出てきてくれないので大抵の場合その穴は諦めることになります。
うまく掴んでも無理に引き抜こうとすると爪を切って逃げ出してしまいます。
コツとしてはしっかり誘き寄せ、毛筆ごと爪を掴み、ゆっくり引き抜くこと。
どうしてもできなければ爪を掴むなり壁に押し付けるなりして押さえつけ、急いで巣穴の横を掘って強引に獲るという方法もあります。
ただし、甲殻類のくせに殻はとても軟いので潰さないように注意。

捕まえたアナジャコは水道水でジャブジャブ洗って泥を落とします。
あまり体内に砂を溜め込むことはないので砂抜きの必要性は少ないですが、気になるなら水の中でしばらく保管してもいいでしょう。
ただし、とても弱い生き物なので長時間やると死んでしまうのでほどほどに。

食べ方は基本的に茹でるか揚げるかの二択になると思います。
身はエビのようにプリッとはしていませんが、ほんのり甘く柔らかく非常に美味。エビよりはシャコっぽいかもしれませんね。
一方ミソはホヤにも似た独特の風味があり、好みが分かれる所。
ぼくは割と平気ですが疲労が溜まってる時はウッとなることもあります。
定番はなんといっても揚げ。唐揚げでも天ぷらでもいいでしょう。
ミソのクセが緩和されるし殻のパリパリ感も素晴らしい。ビールのお供にぴったり。
岡山県では郷土料理にもなっており、唐揚げをご飯に乗せてタレをかけたアナジャコ丼なんて名物もあります。

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塩茹では素材の味がストレートに出ますのでミソの風味が好きな方におすすめ。ビールより日本酒がいいかもしれません。殻はお好みで剥いたり剥かなかったりしてください。

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食べなくても楽しい干潟

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カニにもいろんな種類がいたり

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シギやチドリ、サギなどの野鳥がいたり

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力尽きた魚たちが転がってたり。

他にも干潟にはいろんな貝やゴカイをはじめとした生き物が住んでおり、干潟の生態系を支えているのです。

潮干狩りはしないよと言う人もお近くの干潟を散歩してみてもいいと思いますよ。

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