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音楽の古臭たち、そして騒音6            music fluxos, and so on. 6

その時世界が終わると思っていたんだ

70年末とかその辺の時なんだがね。
なんていうかさみんなあんまり幸せな
気分ぢゃなかったんだろうね。
大洋感情ていう言葉を知ってるかい。
世界中のみんなが一緒に幸せになるとかそういう感じ。
そいつがどうも怪しいと感じ始めていたんだよ。
なんか違うことを考えなきゃとか
そんなことを感じていたんだろうね。

その当時はすでに音楽とか言う
ドカドカうるさいやつにはまっていたんだ。
正確にはドカドカうるさい音楽にはまっていたんだよ。
で小難しいやつがカッケーとか思っていたんだね。

今聴き返すと別に難しくもなくフツーなんだけどね。

認めたくないものだな、バカさゆえの過ちというものは。

でだね、何が語りたいというかとだね、

ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ作曲
トリスタン

ピアノ、テープとオーケスタらのための前奏曲

オメル・フランセュ:ピアノ
ケルン放送交響楽団
指揮:ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ

のことを語りたかったんだ。

世界が終わると思ったのヘンツェさんのことだね。
なんかそんな終末感が漂うのですよ。

タイトルからまぁあたしのような貧乏人でも
ふつーにワーグナーを思い出すだろ。
そのワーグナーっぽいやつが電子音にイロイロっ絡まれて
なんか訳わかんない感じに解体されていくんだよ。

その電子音がイイ感じなんだよね。
当時はMIDIとかサンプリングとか
お手軽なデジタル音源はなかったんだ。
だから生音を加工したり単純な波形を挿入したりするんだね。
そうすっとだねイイ感じの高調波が乗っかって気持ちイイのだよ。
low-fiってやつだね。

おっとまた脱線しちまった。

でワーグナーってのが何だというと
昔のドイツ、でそいつが生み出したナチを象徴してるみたいなんだな。
とか言ってるといきなり屹立するようなテーマが立ち上がるんだ。
圧倒的にね。
ブラ1つまりブラームス交響曲第1番の第1主題ね。
いや最近まで知らなかったんだよ。
昔はね、身の程って言葉があるから、
立派な音楽のことは知らなかったんだ。
ジジイになって羞恥心が薄れてしまったけど
イイもんだねああいうのも。

でブラ1が何だというとだね、
おそらくだけど、大洋感情の裏付けとなる宗教的な確信、
ていうか唯一神に対する契約の意識、
みたいなやつではないかと愚考するのですよ。

そこで世界は秩序を取り戻してハッピーエンド。
そんなわきゃねーんだよ。

ごっついlow-fiに加工された幼女の声で
イゾルデ(トリスタンの恋人)の死の場面が語られるんだ。

そして世界は抽象的に解体されたまま終末を迎えてゆく。

こうやって今の自身として語っていくと
なんかノスタルジックな終末観て感じがする。
ひらたく言うと「進撃の巨人」に似た感じのする終末観なんだね。

興味を感じた向きは御一聴あれ、AMAZON MUSICで聴けますよ。

E.N.D.

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