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美術館で会った人だろ、アンタ。 10

ブランクーシ
 本質を象る

アーティゾン美術館

うん所用があってね
東京に出かけてたんだ。
でさ、覗いてみたんだよ。
アーティゾンのブランクーシ展。

なかなかに抽象的で
妄想の捗る展覧会だったよ。
写真も一杯撮れたからホクホクだね。

さぁ諸君、誤読の時間だ。

その1

ブライド 1905年

ブランクーシが
アカデミックな教育下あった時代の作。
塑像を作成して、型を取って、鋳造したんだね。
いや、全く普通ではあるんだよね。
でもね、台座がないからふつうぢゃないんだよね。
当時の常識だったらしい。

苦しみ 19047年作

髪の毛が無くなっちゃった。
その他にも何かとつるつるしてるね。
手のことは気にしないことにしたらしい。

眠る幼児 1907年作

ゴロンとね。
ゴロン時代が始まりを告げる作品だそうだ。
でもブロンズ。


接吻 1907-10年作

ブランクーシの初の石の直彫りとのこと。
象徴主義の影響下にある画期的な作品だそうだ。
ウけそうなのわ判るけど
展覧会のメインヴィジュアルにするのわ
如何なもんですかね。
21世紀の眼で見るとふつーじゃん。
商業美術のフィールドだとアリだけど。

その2

王妃X 1915年作

うーん。女性の胸像ですとのこと。
台座付きじゃん。いらんやろ。
いや それが意図するところか。
どっちにしても
認定:黒犬案件(尾も白くない)

ミューズ 1918年作

これは判り易いね。
どうやって抽象化したかがイメージできる。だ
からといって陳腐な感じがしない。
具象の残滓は感じるけど(裏側)立派な抽象。

若い女のトルソ 1922年作

抽象化は深化してるね。
夾雑物を極限まで排除してるみたいで
ナカナカに気持ちイイ。

若い男のトルソ 1924年作

で、こうなる。
気持ちイイ抽象。
屹立するイメージが
すっきりと伝わってくる。

うぶごえ 1917年作

こーゆーのを見せていただきたいの
ですね。
アタマとこの切れ込みはなんだ
とか。
具体的ではないが根源的なものが
伝わってくるよね。

新生Ⅰ 1920年作

で、こうつながるんだよ。
浅墓な絵解きはしたくないけど
なんか共鳴してると思わないかい。
イロイロと妄想が捗る。
認定:白犬案件(尾も白い)

その3

雄鶏 1924年作

すっくりと立ち上がっているイメージ。
気のせいか誇らしげな感じがする。
メインヴィジュアルは君だ
激しくレコメンドしたい。

魚 1924-26年作

君が魚を見るとき、
その魚の大きさについては
考えないだろう?
考えるのは、
そのスピードや泳ぐさま、
水を通して煌めく体であるはずだ。
とは
ブランクーシの弁。
納得力の作。

レダ 1926年作

ギリシャのネタだね。
神話の設定に納得いかないブランクーシは
白鳥に変じたのはレダであると
設定を変えちゃったんだね。
だからこの際は
白鳥に変じた神話の登場人物
をイメージしたものであると
読むべきであるのだね。

空間の鳥 1926年作

これは鳥か?
いや鳥という生き物でわなくて
鳥が飛翔するというモーション、
それだけのことなんだろうね。
ふつーは出来ないことだと思う。

結論

以上がアタシの粗雑なインプレッション。
タイパは大切なことだから
コンパクトにまとめようか。
ブランクーシの表現にとって
磨きブロンズはナカナカに都合よかった。
磨きブロンズは観衆の視線を反射する。
つまりは観衆の視線による夾雑物を排除できる。
だから
ブランクーシのイメージを
純粋に表現できるのは磨きブロンズであった。
素材を得て彼は
イメージをとことん蒸留していき
ゴッツイ純粋化した表現を獲得した。
ということ。

あとナカの人に申しあげたいのが
一部作品は
明らかに磨きが足りていなかったぢゃないか
と思ったんだけど。

この日はこの後、呑友と約束があってね
小川町のみますやで
さくらさし他で白鷹の熱燗をやっつけたんだ。
当然ご機嫌だったよ。

E.N.D.


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