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音楽の古臭たち、そして騒音 2        music fluxos, and so on 2

1970年3月31日

その日、大阪万国博のドイツ館を訪れた。
係の人が、
一度入ってしまうと45分くらい出れませんよ、退屈ですよ、
と必要と思われる説明をしていた。
あまり賢くない子供であったぼくは
ふーんそうかと思っただけで
何も考えずに入場してしまった。

入場すると中は真っ暗で
ベルトコンベアみたいにゆっくりと
ぼく達を出口まで運んでいくみたいだった。

何か聞いたことのなさそうな音が流れてきた。
何かよくわからないけれど
ラジオをいじっている時に聞いた音に似ている。
ぼーっとしながらただ聴いていると
体が宙に浮いてゆき、
何か別の世界にいて浮遊しながら風景を見ているような気がしてきた。
いまのぼくであったならば、
あの時ぼくは異世界を幻視している
とか言っているだろう体験だった。

一緒にいた母親はお土産にベートーベンの曲の入っている
レコードを買ってくれた。

帰りの梅田の地下では壁新聞が出ていた。
「よど号 ハイジャック!」

STOCKHAUSEN 
SPIRAL I & II・POLE・WACH・JAPAN・ZYKLUS・
TIERKREIS・IN FREUNDSCHAFT

シュトックハウゼンの音楽において基礎となったのは
シェーンベルグの十二音音楽を発展させた
トータルセリエリズムといわれる。
それに加えて1950年台から試みられている
電子音による音楽そして1960年台から導入された
ライブ・エレクトロニクスが注目できる。
(というかこれが一番キャラ立ちする。)
電子機器の発展で
現場で音源を変調できるようになったのだね。
上にあげたCDでその時期の代表作にふれることが
できるのだけど、大阪万博で演奏された「EXPO」「POLE」
のうち「EXPO」の音源は入手できていない。
hard to findで誠に残念なことであります。

「POLE」を聴きなおしてみると
電子音がそれぞれ単純な波形のものが使用されているなと感じる。
ただ当時の技術水準の結果であるが
何かその波形には微細なノイズがまとわりついているような感じで
「おお、これはアナログシンセのような味わいがあるな。」
などと悦にいるのであります。

E.N.D.

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