見出し画像

装うことの歓びを。

昔からおしゃれが好きでした。
それはただ着飾るためのものでなく、
大好きなお洋服を着たときのあの特別なときめきは
本来自分が持つ自信と強さを可視化させてくれました。

自分のアパレルブランドを持つことを夢見るようになってからは
お洋服について考える時間がとても増えました。

2020年4月、入社式をした翌日から突然の自宅待機。
コロナウイルスによる緊急事態宣言の影響でした。

この自宅待機をきっかけに、ハンドメイドの活動を始めました。

最初に作ったのはクマの巾着ポーチ。
そしてトートバッグ、布マスク…

ありがたいことに、序盤から次々と商品がヒットし
私一人では制作が追い付かなくなり、
2020年の夏に、初めて縫製工場さんに依頼しました。

その時はツテがなかったので、全国の縫製工場さんに片っ端からメールを送り、何度も門前払いされながら見つけました。

そうやって活動を続けていくうちに、
お客様からDMやストーリーのメンションが増えていきました。

私が作り出したものが、その人の生活の一部となり、
その人のもつ世界観で、その人をより輝かせていた。

私の作るものは、形になって終わりなのではなく
手にとってくれる人によって命を吹き込まれるのだなぁ、とじんわり。

そして何よりもお客様のセンスが本当に素敵で、
全て印刷して壁に貼っていたいくらい、いつも惚れ惚れする。
本当にありがとうございます。

中には長文のDMをくださる方もいて、
「お金を払って頂いてる身がこんな気持ちになっていいのだろうか」と思ってしまうくらい
喜びと感謝のお言葉が綴られていました。

他にも、お買い上げ時の備考欄に「プレゼント用で考えてます」というお言葉を見つけたり…!
(人にプレゼントするものってすっごく気を遣う中でわたしの作品を選んでくださって本当に嬉しい!!という気持ち)

本当は会って直接お礼が言いたい。
可愛いお菓子でも添えてちゃんと目を見てありがとうって言いたい。

その気持ちは立ち上げ当初からずっと消えず、落ち込んだ時は頂いたDMや
タグ付けされたお客様の投稿を見て元気をもらっています。

ブランドがHeroine mysélfとしてリニューアルし
既製服を作るようになってからおかげさまで1年が経ちました。

企業も専門家も付かず、全てを一人でやっていくのは
思っていたよりずっと大変で、
うまくいかないことの方が多いことを知りました。

平日はパートで働き、家に帰ってからブランドの仕事、
ミシンを動かしながら年を越し、
ブラック企業さながらの労働時間を過ごしてきました。

それでも、楽しくて、嬉しくて仕方なかったのです。

寝る時間も忘れて服を作り、形になっていく過程が。
思い描いたものが形になり、誰かの人生を輝かせていることが。

魔法少女が変身するように、一瞬で作ることはできないけれど
時間をかけて、一針一針想いを込めて作った服たちは
それ以上の力を持つのだと思います。

手に取ってくれるその人が私のことを知らなくてもいい。
今日私が死んでも、次の瞬間に忘れてくれていい。

その人の人生が、私の作り出したもので
ほんの少しでもワクワクしたものになるなら。

装うことの歓びを1人でも多くの人に伝えられたら。

これからも、誰かの人生を彩る服を作っていく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?