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【感想】『洋灰の都うずめし神椿』タタミベリ

こんにちは。夏鎖です。
noteはだいぶ久しぶりの更新になりますね。本当は色々書きたことがあるのですが時間がそれを許してくれません。1日が50hくらいある星に行きたいです。

さて今回はC101でタタミベリさんが頒布された『洋灰の都うずめし神椿』という作品の感想を書いていきます。

『洋灰の都うずめし神椿』タタミベリ

こちらは先日のコミックマーケット101で著者のタタミベリさんが頒布された神椿――バーチャルなシンガーの花譜さんをはじめとしたアーティストが所属しているレーベルのシンガーたちの二次創作小説作品となります。といってもSFと伝奇を組み合わせたスタイリッシュなバトル小説となっており、神椿というレーベルを、花譜さんたちを知っていればかなり異質な二次創作なのではないでしょうか。

著者のタタミベリさんとTwitterで仲良くさせていただいている(認識なのですが相違ないですか?汗)こともあり、とてもありがたいことにご恵投いただいたものになります。
自分自身同人活動をしていることもあり、同人誌をいただく/また自身が仲の良い方の同人を購入する機会はこれまでにも多々ありました。しかし普段商業作品の感想を書いていることもありなかなか同人誌の感想を書くこと時間や機会に恵まれず大抵の場合、読みっぱなしになっていました。しかし今回はあまりにも素晴らしい作品でしたのでこうしてnoteに投稿させていただく次第です。

まず僕と神椿(というか花譜さん)のことについて語らせていただきます。
まだ神椿という名前ができる前から、それこそ花譜という存在が歌声をバーチャルな世界に響かせる以前から僕は彼女のファンでした。花譜という存在がバーチャルな世界に解き放たれ、まだ数百人/数千人しか彼女の存在を認知していない頃から僕は彼女のファンでした。Vtuber黎明期。多くのVtuberの動画を見漁っていた僕が彼女の存在を知ることは必然であり、15歳とは思えない歌声で「さよならミッドナイト」や「またねがあれば」を歌う彼女にハマることは必然でした。彼女のオリジナルソングに歓喜し、初ライブのクラファンチケットがものの10分で完売したことに多くのファンと同じように喜びました。いくつものグッズを買い、成長を続ける彼女の歌を聞きました。神椿というレーベルが生まれ、理芽さんをはじめとした複数のシンガーが誕生していく過程を見てきました。しかし時同じくして仕事もどんどん忙しくなりなかなか彼女たちのことは追えなくなってきました。ここ2年くらいはもはや花譜をはじめとした彼女たちのファンではなくなっていました。もちろん相変わらず花譜をはじめとしたシンガーたちの歌はとても素敵で、時々思い出したように聞いてます。でも《思い出したように聞く》ようなアーティストという立ち位置になっています。

さて、本題の『洋灰の都うずめし神椿』についてです。まず目を惹くのはあまりにも素晴らしい装丁でしょう。ふぃーるさんの素敵なイラストが彩られた表紙もそうですが、裏表紙です。なんと裏表紙の椿の造花もタタミベリさんがご自身で注文されスタジオで撮影されたものとのことです。あまりにも素敵で思わず見入ってしまいました。これほどまでに愛にあふれた二次創作を僕は知りません。

裏表紙の画像。椿の造花がとても素敵です

肝心の物語についてです。
裏表紙にもあるあらすじから作品がSFものということは存じていました。しかし花譜をはじめとした神椿のメンバーからはいい意味で想像もつかない物語に驚きました。量子通信網が発達した世界はサイバーパンクな設定で彩られています。そこに出現する怪物。それを定める魔女たち(花譜をはじめとした神椿のシンガーたち)。怪物たちを《定める》過程は迫力のあるバトルシーンで彩られています。スタイリッシュな物語はどこか儚さを感じるオリジナルな彼女たちと真逆のようですが、見事に融和していました。

全8話で描かれる物語に神椿のシンガーたちが魔女として登場します。花譜、理芽、春猿火、ヰ世界情緒、幸祜……彼女たちの存在の多くを歌でしか知らない僕にとっては戦う魔女たちの姿はなかなかに衝撃的でした。しかしバックボーンまでしっかりと描かれた彼女たちの物語は、読み手をしっかりとつかんで離さない引力がありました。

個人的に一番好きだったのは2話にあたる「不可逆」のお話。理芽をメインとした物語なのですが、僕の知っている理芽さんからこうした物語が紡げるのだなととても印象的でした。理芽さんのちょっと姉御肌っぽい感じも印象的でしたね。方言もかわいらしいです

二次創作の小説というものを読んだのは記憶にある限りはじめてなのですが、とても印象に残る作品でした。年始にとても良い読書体験ができました。花譜さんをはじめとした神椿のシンガーたちを好き(というにもこの作品を読んでからではあまりにもおこがましいのですが)な者として多くの方にこの作品が届くのを応援してます。


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