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だから僕はVtuberを見るのをやめた

Vtuber。もう説明しなくてもこの記事を読む人はその存在を知っているはずだ。今世界では何万というVtuberの方が日夜配信をしている。しかし僕は黎明期(2017年10月頃)からVtuberを見始めたにも関わらず、2019年10月あたりには完全にVtuberを追うのをやめてしまった。
この記事ではVtuberという言葉が定着する前、本当の本当に黎明期からVtuberを見始めてなぜVtuberを見るのをやめてしまったのかをつらつらと語っていきたい。
ちなみにVtuber史ではないので、Vtuberの歴史を見たい方にはオススメしない。

目次

  1. Vtuberとの出会い

  2. Vtuberにのめり込む

  3. Vtuberに対する不満

  4. Vtuberからのフェードアウト

  5. 終わりに


Vtuberとの出会い

僕が始めてVtuberと出会ったのは【新企画】Mirai Akari Project 始動というミライアカリさんのデビューとも言うべき動画だった。まだイチョウも染まりきらないその日も僕は大学のサークルの部室においてあるMacでたらたらとYouTubeを見ていた。大学三年生だったこの頃は卒論とか就活とかそんなものはまだ遠い未来の話でバイトと講義とサークルの部室での駄弁りを繰り返していた。
FPSのゲーム実況動画を見ている最中に出てきたミライアカリさんの動画のサムネイルは血生臭い動画とはかけ離れたもので、サークルメンバーの誰かがアニメ関係の動画を見たからオススメに出てきたのだろうくらいに思っていた。しかし当時バリバリラノベのアーリーアダプター(ライトノベルの新作をすぐに買って読むくらいの意味)だった僕にとって【新企画】の三文字は動画をクリックさせるには十分だった。

そして驚いた。

いまでこそよく見る……というほどではないかもしれないが精工な3Dモデルに滑らかなアニメーション。3Dアニメーションというものにこれまであまり触れてこなかった僕にとっては衝撃的なものだった。

それからすでに上がっている動画を何本か見て、これが3Dモデルを使ったYouTuber活動だということを知った。【自撮り】へーほん中毒学園物語【欲望全開!!!】ポチポチしてみた結果など企画を作ってそれに対してミライアカリさんがリアクションをしていく。これは今まで見たことがない新しいYouTubeの形なのだと思った。そして僕はVtuberにのめり込んでいく。まぁぶっちゃけミライアカリさんの自撮り風のカメラアングルと揺れまくるおっぱいが非常に良かったのだ。本当に良かった。
そして芋づる式にキズナアイさんを知り、電脳少女シロさんを知り、ミライアカリさんの年越し生放送を見ながら、ストロングゼロ片手にキメながら年を越した。まだVtuberという言葉が生まれる前の話だ。

Vtuberにのめり込む

ミライアカリさんをはじめこの頃出始めたVtuberたちの動画はそれぞれのプロフェッショナル(中の人、企画、3D、動画編集)が集まってできているもので、コストがかかるし専門的な技術が必要でとてもじゃないが流行するものとは思っていなかった。もちろんキズナアイさんをはじめ勢いはものすごくてTwitterでも1日1度は彼女たちの話題が流れてきていた。でもあくまでアニメなんかのクリエイター集団が作り上げる作品でしかないと思っていた。

それはいい意味でも悪い意味でも裏切られていく。

2018年の2月。就活やらなんやらでバタバタしていたのと同時期に"にじさんじ"の一期生がデビューする。もちろんその情報は知っていたが2Dで動くだけの動画をTwitterで見て「これはVtuberじゃないな(繰り返すが当時はまだこの言葉はない)」と思った。しかし予想に反してにじさんじは注目を集めていく。そして皆さんもご存知10分で分かる月ノ美兎【にじさんじ公式】でにじさんじ/月ノ美兎さんは爆発的に伸びた。僕もそんな爆発に巻き込まれてどんどんにじさんじに沼っていく。月ノ美兎さんをはじめ、静凛さん、樋口楓さん。モイラ様、えるさん、ちーちゃん……いわゆるにじさんじの一期生はブルーオーシャンで彼女たちの配信には新鮮さがあった。時にはトラブルで彼女たちの動きが止まってしまい静止画で配信することも結構あった。それでも就活中にESを書きながら聴く彼女たちの配信は支えで逃げ場だった。

一方でにじさんじ以外のVtuber以外もしっかり追っていた。この頃デビューした猫宮ひなたさんやゲーム部、おめシス、ケリンさん、田中ヒメさん、響木アオさん……動画主体の彼ら/彼女らの活躍は追いやすかった。普段はこれまで追っていたミライアカリさんをはじめ彼女たちの動画を見て、にじさんじの配信があると言えばそっちに飛んでいった。

こうして就活ストレスとその逃げ場を起因に僕はVtuberにどんどんハマっていく。

そして4月あたり?Twitter上?でバーチャルYouTuberってなに?みたいな議論がにぎやかになり始めた。当時はにじさんじがバーチャルライバー、キズナアイさんがバーチャルYouTuberという言葉を使用していたため

バーチャルYouTuber = 3Dモデルを使用した動画主体で活動している人
バーチャルライバー = 2Dモデルを使用した配信主体で活動している人


みたいな漠然とした区分けがあった。
これが2018年4月あたりの出来事である。

Vtuberに対する不満

にじさんじのヒットをきっかけにVtuberは未開の地からフロンティア最前線へと変わっていく。.Live、ホロライブのメンバーが次々とデビューし、にじさんじも二期生が登場する。あにまーれなどもデビューし配信主体のバーチャルライバーはさらに注目を集めどんどん伸びた。一方でゲーム部をはじめとしたクオリティの高い動画を投稿するバーチャルYouTuberたちも同様に注目を集めていく。ニコニコ超会議2018でもVtuberが登場しさらに注目を集めた。2018年春から夏にかけては毎日がVtuber革命日でその日その日で新しいVtuberが生まれていった。そして僕の就活も見事に失敗しその日その日で新しいお祈りメールが届いた。ふぁっきん。そして逃げ場としてVtuberを求めた。

そしてもちろん規模が大きくなれば問題が表面化し始める。

これまではキズナアイさんをはじめ有名Vtuberさんはまだしも、特に配信主体のVtuberは夏頃まではフリーダム的な自由があった。月ノ美兎さん、ケリンさんといった芸風が肯定的に見られ、専門的な技術や知識で戦っていくようなVtuberがたくさんいた(いやもちろん今もいる)。そうしたフリーダム的な自由が好きだった僕にとって企業がガンガン参戦してくるのはあまりうれしくなかった。リバティー的な自由に変っていくのが嫌だった。会社としてこれをやってはいけない。社会通念上~コンプライアンスが~みたいな空気が見え隠れし始めた。いやそんな言い方はズルいのかもしれない。ぶっちゃけVtuber使って金儲けしてやろうみたいな空気が嫌いだったのだ。もちろんVtuber本人にお金が入るのはいいし、むしろ自分のためにどんどん配信をしてお金を稼いでほしかった。でも技術やマネジメントを提供しているとはいってもその背後に大人がいて、大人が稼ぐためにVtuberが配信しているのかと思うとなんか虚しかった。と、つらつら個人的な不満を書いてきたがこうした金儲けをしたい大人たちが後々色んなところでトラブルを起こすのを一ファンだった身として知っている。だから少なくとも今Vtuberのファンである人達にも共感してもらえるのではないかと思う。

そして夏から秋、秋から冬に向かってVtuberが盛り上がっていく中でこれまで順調に積みあがってきたように見えた山が色んなところで崩壊を始める。個人Vtuberは増える一方でどんどんやめていくし、企業勢もにじさんじの男性グループVOIZが解散したりアマリリス組が解散したりした。Vカツなどのアプリが登場し誰でも簡単にVtuberが始められるようになった。そしてVtuberは目的から手段に変わっていって、Vtuberになることを目的とするのではなくVtuberというガワを使って何かをすることが目的になっていた。

そしてVtuberという言葉がすっかり定着した2018年が終わった。

Vtuberからのフェードアウト

Vtuberに不満は持ちつつも僕はなんだかんだでまだまだVtuberが好きだった。2019年になると樋口楓さんのライブをはじめVtuberが単独、もしくはグループでライブすることも珍しくなくなった。cluster、SHOWROOM、REALITY、Mirrativ(ミラティブ)などの3Dのアバターで配信やライブが行えるツールも増えた。YouTubeで3D配信をやるとなると難しいことも専用ツールを通すことで比較的簡単にできるようになった。さらには公式からグッズが発売される機会もぐっと増え、スパチャやクラファン以外の応援方法も増えた。
Vtuberの数もこの頃さらに増えた。にじさんじ、ホロライブをはじめとした企業勢はもちろん個人勢もVカツなどの簡単にアバターを作れるツールを通してどんどん増えた。

しかしこれまで覆い隠されてきたような汚い大人のやり方も表に出るようになってきた。

もちろんそれらは企業がVtuberに参戦してきた2018年からあるにはあった。でもより表に出てきたのはこの頃だと思う。特に衝撃的だったのはゲーム部関連の一連の事件だった。ここでは詳細には語らないが、企業側のVtuberに対する考えの軽さだったり、結局金儲けのことしか考えていないんだなということが透ける事件だった。
この事件や当時すごく好きだった蒼月エリさんや宇森ひなこさんが引退してしまったこともあり、僕は本格的にVtuberから足が遠のくことになる。

もちろん理由はこれだけではない。この頃には僕も社会人になっていてあまり時間が取れなり数時間を超える配信になかなかついていけなかったことは確かだ。でも大人が金儲けのために配信者を使うような構図に嫌気がさしたことは間違いない。

終わりに

とはいえ、僕はまた2021年あたりからちょびちょびとVtuberを見始めた。とは言っても以前のように誰かのファンになるわけではなく切り抜きを少し見る程度だ(主にホロライブEN)。また花譜さん、理芽さんのような歌中心のVtuber(昔はVシンガーなんて言葉も使われていたことがあったが今はどうだろう?)は活動を追うコストが少ないこともあり今も細々と追っている。でも確実に僕がVtuberに熱狂した2018年の頃の熱はない。

またここまで企業が~とか大人が~と書いてきたがVtuber側に全く非がないとは思っていない。最近ホロライブの潤羽るしあさんの話題がホットだが、彼女とまではいかなくても過去にいくらでも(特に個人勢で)Vtuber側が原因のトラブルはいくらでもあった。それは認識した上で、企業や大人という言葉を使用していることはご認識いただければと思う。

最後にお布施用に続きを置いておきます。最後まで読んでいただきありがとうございました。


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