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言葉を持たないはるくんの見ている世界

はるくんは
1歳4ヶ月のちっちゃなおとこのこ。

はるくんは、まだ言葉を話しません。

にゃんにゃんにゃんにゃー、とか
あっちゃちゃっちゃ、とか
あんまんまんまんまー、とか
そんなのはよく話してるんだけどね。
(これはこれですごくかわいい)

もう私たちの話してることは
だいぶ分かっているけれど

それよりもっと、ずっと前
はるくんが言葉を
まだ全然分かっていない時に
考えていたことがあるんだ。


はるくんは、まだ言葉を持っていない。

私はきれいなものを見たら
「きれいー」って思うし
おいしいものを食べたら
「おいしいなぁ」って思う。

じゃあ、言葉を持たないはるくんは
どんなふうに感じているんだろう?と。

「きれい」という言葉を持たないはるくんには
この景色はどう見えてる?感じてる?

その目になって、見てみたいよ。
その感じを、一緒に感じてみたいよ、って。

今でも時々、切実にそう思う時があるんだ。


言葉って便利だけど
反対に感じていることを
「言葉のサイズ」に下げてしまうことがある。

本当に感じていることそのものは
決して言葉では完全に表せないんだ。

「言葉にならない」って
言葉があるくらいだしね。


だから、言葉を持ってしまった私は
もしかしたらいつの間にか
言葉で表現できるサイズで感じてるのかもしれない。

「きれい」という言葉の中に
おさまりきらなかったいろいろなものが
感じ取られないままに
こぼれおちてしまっているかもしれない。

言葉を持たないはるくんは
ひとつもこぼすことなく
すべてをそのままに
そのままの形で受け取っているのかもしれないな
そう思うことがあるんです。

そして、きっとその世界は
私が見ているのより
ずっと、ずっと彩りあざやかで
色も光もたっぷりゆたかに含んでいるのだろうな、と。


言葉を話すようになるまでって
生まれてからの、ほんの少しの時間。

いっぱい見て、ふれて、聞いておいてね。
言葉にならないから
形にして取ってはおけないけれど
きっと、ちゃんと覚えてる。
身体が覚えててくれるから。

あぁ、こどもって
なんてゆたかなんだろう。

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