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完全自動運転車の最後の難関とは

ChatGPTの突然の登場により、AI業界はここ2年ほど生成AIが注目されるようになりました。反対にその影響で10年ほど前から始まったAIによる自動運転車の話題は少なくなっています。

しかし、自動運転車の開発は着々と進んでいます。一部の地域では、自動運転によるタクシーの運用実験も始まっています。ただ、iPhoneで有名なアップル社が車の開発をやめたという噂や、決まったルートを走るバスや、高速道路などでの自動運転は実現できそうだが、「完全」自動運転車の開発は今のAI技術では難しいのではという流れが起きています。

そこでこの記事では、現在まだ完全自動運転車のプロトタイプもできていない状態ですが、もし完全自動運転車が実現できそうになった場合に、完全自動運転車の「最後の難関」について考察していきたいと思います。

現時点でのAIによる完全自動運転車は、数台のカメラと、GPSアンテナや赤外線などのセンサーを車に搭載して、カメラからの画像やセンサーからのデータを元に、AIが自分で判断して車を運転する技術が主流です。また、Wi-Fiや携帯電話の電波を使ってデータをやり取りして運転の補助をする技術もあります。

そのような現在の技術を使った先に、もし完全自動運転車が実現できる可能性が出てきた時、実は今あまり注目されていない問題が実現への大きな壁になると考えられるのです。

その問題とは何かわかりますか。答えは「駐車場」です。

この駐車場問題。実は「完全自動運転」車にしか起きない問題なのです。

ここで、あらためて完全自動運転車について触れたいと思います。この完全自動運転車は、運転すべてを自動化した車です。そしてこの場合、車内にはハンドルとブレーキがありません。

そして、このような完全自動運転車が実現するようになる時に、あらためて考えないといけないのが、「同じ駐車場は一つもない」という問題です。

ここで駐車場について考えてみてください。日本国内だけでも7000万台以上の車があり、駐車場はもっと多い計算になります。

ここで「完全」自動運転車じゃない場合は、駐車場ではドライバーが運転して車を駐車すれば良いので、駐車場問題は起きません。このことが、今現在、駐車場が注目されていない理由でしょう。

しかし、完全自動運転車が実現するようになったら、車の数より多い駐車場、しかもそれぞれの駐車場はすべて異なった作りになっていて、それをAIが計算して車を駐車するようにしないといけない訳です。

今現在、たとえば日産の車には「プロパイロット パーキング」という駐車機能があります。これは、人間が空いている駐車場を探し、近くまで運転し、駐車スペースを人間が指示したあとに、駐車運転を補助する機能です。この機能の見ると、駐車場問題はすぐ解決できそうに見えるかもしれませんが、これをすべてAIが行うとなると、たとえば車載カメラを使って空きスペースを探し、カメラやセンサーで周りの車の位置を全て測って状態を把握し、そして安全に駐車しなければなりません。

また、自動運転機能を補助するために、それぞれの駐車場が、たとえば駐車場の図面や空車情報を車と共有するためにWi-Fi等でデータをやり取りする必要も出てくるでしょう。この技術自体は現在でも実現できるかもしれませんが、完全自動運転車がかなり普及しないと、駐車場の運営者はそのような機能を整備しないと思います。これは、まだ電気自動車が普及していない現在の日本国内で、充電ステーションがまだまだ少ないのと同様、駐車場の運営者も完全自動運転車がかなり普及しないと、空車情報の提供などの設備は導入しないでしょう。

このように、今後「完全」自動運転車が実現できそうになった時に、最後の難関として「駐車場問題」が登場することが予測できます。

AIは大量のデータから、一般的な情報を学習し、それを個々の事情に応用して自動運転などの機能を実現しています。しかし、駐車場は同じものは二つとないのです。そのため、AIが駐車場の構造を把握できるように駐車場を作り替えれば良いという考えが出るかもしれませんが、改築費と考えるとそのような案は非現実的です。やはり、AIが自ら判断して駐車場に車を止める機能の開発が必須になります。しかし、これまで考察したように、実現には自動運転技術の開発よりもさらに高い技術が必要です。

そして問題なのは、今現在、駐車場問題について研究しているメーカーがあまりないことです。

もしかしたら、筆者が知らないだけで、多くのメーカーはすでに駐車場問題を解決済みなのかもしれません。しかし、もしまだ未解決なら、この駐車場問題は近い将来、大問題に発展することが予測できます。

以上、駐車場問題について述べてきました。ただ、2024年現在、自動車業界では「完全」自動運転車は現時点の技術では実現できないだろうという雰囲気があります。各社研究は行っていますが、ローカルバス路線や高速道路など、ある程度状況が予測できる地域でのみ自動運転するという流れになりそうです。

そのような理由から、この記事で取り上げた駐車場問題は当分必要にならないと思います。

しかし、たぶんいつかは完全自動運転車が登場するので、いずれ解決しないといけなくなる問題でしょう。

今回の記事はこれで終わります。

また、別の記事でお会いしましょう。

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