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俺は派手にハッキリと命の順序を決めている。まずはこの街の市民その2[8]



その1から




4、市民とモビリティマネジメント


 交通まちづくりの実戦方法はまちづくりを意識した交通計画を策定し、一般市民を巻き込み、ワークショップと呼ばれる会合を通じて市民の意見を取り込みながら行うものとされています。

自家用車から公共交通への転移を促すためパークアンドライド実験やトランジットモール×オープンカフェなど。

モビリティーマネジメントとは一人一人のモビリティの選択が自発的に社会的にも個人的にも望ましい方向へ変化することです。

交通の問題は従来のTDM(交通需要マネジメント)が多いのですがこれは行政主体の「上からの施策」感があるです。
一方、市民の自発的な行動の変化を促すこと、市民主導によって行政、専門家、企業が参画する形での展開もやろうと思えばできます、

市民運動としての交通まちづくりが必要です。

その先駆け、ラクダRACDAは岡山の路面電車サミットから始まります。

03年バスマップサミットが行われます。
バスの路線図は自社のみであることでわかりにくく利用者目線ではない、
またバスの路線図の議論だけでなく自家用車に頼ることなくバス等を活用することが議論されています。

04年、LRT促進法案が進められる
これは再生法の原典です。

その他取り組みとして
スマートまちづくりフォーラム、
電気自動車の地域交通システム推進協会、
バスマップサミット、
持続可能なまちと交通をめざす再生塾などなど

5、やるべき5つのこと


 再生法と、都市再生特別措置法により
2014年
スタートしたのは四日市市と北近畿タンゴ鉄道沿線地域で上下分離が行われます。

また富山地域鉄道の例、
富山ライトレール発足後、周辺地域の人口伸びが13%増。

また休日の滞在時間が車は113分、
富山地鉄の環状線利用者は124分。

06年から12年にかけて
歩行者数32%増。

09から12年にかけて
空き店舗数20%から19%に減。

さらに転出転入の人口は08年から転入へ。

海外についても視野を広げてみましょう。
ドイツの例について
2003年 ドイツは車社会で1000人中517台、日本450台と同レベル。
また高齢化もエグく、02年に人口ピーク、65歳以上が20%を超えています。

ではなぜドイツではLRTの新設、トランジットモールの導入、パークアンドライド、ゾーン運賃制等、公共交通に関して先駆的な取り組みをどんどん行えているのかですが、
ドイツはコンパクトな街だから、か?たしかに教会と市区町舎がコンパクトに集まっていますが日本も市役所を中心とするコンパクトシティです。(城下とターミナル駅の関係には注意が必要です。)

海外の例を見ながら我々がやるべき5点についてみていきましょう。

1、サービスの拡充
2、魅力的な価格とチケット
3、地域間、交通モード間の運賃の調和、統合
4、自家用車統合のための課税、交通政策
5、土地の利用政策

1点目は言わずもがな
2点目、3点目
各地域内での運賃の統合が必要です。四キロ当たり八十五円が利用者にとって適する運賃だそうです。

4点目
駐車場は都心は有料、郊外は無料、つまりパークアンドライドのための駐車場は超安価にし公共交通機関の利用を促進します。つまりこれから都心に駐車場を作るなんて場合は超高価であるべきなのです。地域のことを考えず、持続可能な交通のことを考えない価格設定は贅沢だからですね。

フランス ストラスブールの例
ドイツ フライブルグの例
についてもチェックしてみてください。

もちろん反発も多いためこれら施策は段階的に進められます。小売店としても自動車からの来客の減少に対する不安による反発もあります。

自動車の規制はもちろん、通過交通を捌くための環状交通の整備も必要です。

5点目
厳しい土地の利用制限が必要です。
日本には市街化区域と調整区域の区分しかありません。

例えば
フランスにおいて
300m2程度の商業系床の新築、増築、用途変更が許可制になっています。

もちろん海外の事例をそのまま日本に当てはめることができるとは限りません。
法制度、歴史的経緯が異なりますから。

しかし必要なことは同じで
都市の縮小→運賃、サービスの統合、再編
です。


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6、枯れ果てた財源


 欧米の場合、交通税(交通負担金)を払っていてそれが鉄軌道の整備、運営に当てられています。
日本のそれは交通活性化再生法及び特別措置法における財源でありますが、それは貧弱なものです。

財源に関してですが、
LRTがなぜもてはやされるか、それはその他公共交通に比べて圧倒的に安価たがらです。
駅前地下駐車場の整備に100億かかるとしてキロ20億のLRTが5キロできます。
RACDAの回し者ではありませんが、5キロなら岡山駅前から浜、原尾島を越えて百間川緑地多目的広場の一番東まで路線が伸びる計算になります。

さらに全国の路面電車の運営費は230億です。
09年 高速道路の休日運賃上限措置の予算は2500億で、加えて深夜割引2500億です。
20分の一で済むんですね。コストの補填が笑

7、費用と数値化しにくい効果


 国土交通省のマニュアルでは費用便益計算について、どのような計算が行われるのでしょう。

所要時間の短縮効果 
これは時間あたりの平均賃金で計算することになっています。つまりどれだけ余暇を生んだか。道路の場合、車種等でも異なります。つまりバスが多く運転するなら道路投資の効果は高くなります。道路改良でも燃料費、オイル、チェーン交換の費用等、走行時間も効果の指標になります。

鉄道の所要時間の短縮効果ですが
乗り換えについて 1回は乗り換え時間にして10分と見られています。

交通事故の減少効果
道路ならバイパスの整備によって無用に自動車が街中に入ってこないようになります。

環境への効果
騒音、二酸化炭素、二酸化窒素の環境汚染物に関してです。

12年改訂により存在効果が含まれるようになりました。これは

いつでも利用できる。オプション効果。
周りの人が利用できるという安心感。代位効果。
後世に移動手段を残せる安心感。遺贈効果。
イメージ向上、イメージアップ効果。
景観を楽しめる、間接利用効果。
です。

1、存在効果
しかし そもそもこれらの社会的便益は計算されません。オプション効果等に関しては計算が複雑になることから計算が推奨されていません。
しかしまちづくりにおける、都市の魅力を高めるとは多様な選択肢そのものです。
 車でしか〇〇に行けない、車でしか〇〇は買えない、車でしか〇〇はできないetc、、選択肢が多いとはメリットであり、その価値は大きいに違いないのです。

2、高齢者の外出機会増加。

 健康でいることの紙幣換算は難しいですが高齢化が進展する中で医療費、介護費、薬剤費の削減になるなら紙幣換算可能です。
公共交通機関+歩く ということで一歩当たり0.06円の医療費削減効果があるとされています。
2万人が2000歩1日に多く歩けば10億(!?)の医療費削減効果があるとされています。

3、集積のメリット
 集積の経済、生産者にも労働者にもどちらにも利益があります。
ようは交通投資ではなく街づくり投資として考えなければならないのです。
海外に事例があります。
ロンドン中心部を東西には走るクロスレールプロジェクト。これの試算では便益の現在価値3.2兆、加えて集積等による幅広い便益は1.4兆円が上乗せ、つまり通常価値の半分以上が追加で上乗せされています。

また集積による地価上昇は都市の固定資産税収を上げます。
言い換えれば中心部の都市の空きを放置して、郊外のショッピングセンターの進出のために水道ガス電気消防を整備することは都市の歳出増、歳入減という観点から到底認められないのです。

おわり

参考

地域再生の戦略「交通街づくり」と言うアプローチ

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