見出し画像

俺は派手にハッキリと命の順序を決めている。まずはこの街の市民その1[8]

8、俺は派手にハッキリと命の順序を決めている。まずはこの街の市民。

どーも、鉄道会社の総合職の人です。

俺は派手にハッキリと命の順序を決めている。まずはこの街の市民。

ご紹介させていただきます。


1、まちづくりとは鶏と卵である。


 公共交通の整備も街の魅力向上も両方とも必要。
つまりそれは総力戦なのです。

この交通まちづくりという言葉は都市計画の専門家の間ではよく知られています。

しかしながらみなさんご存知の通り公共交通機関は枯れ始めています。

簡単になぜ衰退したのか、ですが

1、1960年から始まるモータリゼーション
2、それに伴う都市構造の変化
 郊外住宅地、郊外店舗の登場
 公共交通は新しい土地利用とマッチしなかった。
3、これを加速させる施策
 モータリゼーションに適応する政策の実行
  郊外のバイパスの整備
  バブル後の「総合経済対策」としての公共事業としての道路建設
4、沿線人口の減少
工場の移転
雇用の減少、
団塊ジュニアの卒業
通学者の減少
5、運行頻度等サービスの悪化
6、それをサポートする補助金
補助金の仕組みが事業者の経営改善にブレーキをかける結果となった。

これらから発生する負のスパイラルは中心地の空洞化とスプロール化です。

公共交通機関が便利になるのは街づくりの基本でありながら自動車依存、スプロール化等による公共交通の衰退は見るに耐えないものがあります。

スプロール化による都市の財政支出を抑え、中心市街地からの固定資産税増の税収増につなげる発想の転換が必要です。


画像1


2、規制と地域の交通


さて
相次いで起こった規制緩和について整理します。

96年

受給調整規制の廃止、新規参入と競争の促進
00年

鉄道事業法 運賃規制の緩和、退出の届出制、道路運送法が改正

規制緩和とは。
規制には経済的規制と社会的規制があります。
経済的な規制とは、
需供給に対しての公的投入を最小にしようとするもの。
社会的規制とは、
安全等に対して一定の監視を行い処罰を与えるもの。

つまりこれらは反対の要素を兼ね備えています。
さらに規制と各交通機関の近年の動向を追っていきましょう。

乗合バスについて
ツアーバスは規制基準が乗合バスと異なりコスト面で安価であり高速バスの利用者を奪いました。
またツアーバスについてはそれを守らない事業者が一部出てきました。
それらに伴い規制強化のうえ乗合バスに一本化されたのです。

100円バスブーム
自治体運営のコミュニティバスのイメージが強いが武蔵野市や西鉄バスは経営戦略として行っています。
これは結果として潜在需要の掘り起こしは叶ったのですが売上増にはつながらず、大きな変化を起こせるものではなかったのです。

地方交通、地方鉄道
2002年、地方鉄道復活のためのシナリオー鉄道事業者の自助努力と国、地方の適切な関与と呼ばれるものが示されます。これはTwitterでも紹介しましたね。


それと同時に
LRT・BRTが注目を集めます。
専用走行路を確保する BRT、さらに速達性と定時制の確保したLRTはバリアフリーで他の交通モードとの連続性を確保するものです。

それを整備、制度化、明確化補助事業としたのが
地域公共交通活性化、再生法です。
コミュニティバスの支援もこれに入ります。
これにより上下分離もできるようになります。
しかしながら
LRTの導入はその後ほぼ例がなく基幹交通としての BRT導入もありません。
その中でコミュニティバスは広がりを見せます。

コミュニティバスは武蔵野市の導入後、全国で爆発的に増えます。
目的の多く、その6割は交通空白地域の解消で、4割が廃止される交通の代替です。

利用者増のポイントは事前のマーケティングリサーチにあります。きちんと行えば効果的で武蔵野市の例はそれに当たりますがとりあえず導入した自治体にはその営みはありません。

典型的には役所や病院を迂回してしまうことで利便性が極めて下がるといった問題です。
また行政区域内で移動するため、つまり市境を跨がず通るべき導線を通ってないパターンもそれにあたります。
そんなかで15%程度の事業者はそれらコミュニティバスを廃止しました。きちんとした準備無き導入は財政的な厳しさを加速させ廃止に歯止めなどかからなかったのです。

このように地域と地域公共交通との政策の模索は暗礁に乗り上げている場合が多いのです。

3、採算性に基づく存廃では無い


 ハコモノに頼ることなく、イベントを起こすこと、そう言ったことに注力する動きも拡大しています。
しかし根本が改善されなければ、これほどまでに容赦なく迫る高齢化、人口減少には太刀打ちできません。根本とは地域ごとの指標を定めた交通政策の策定です。

この問題意識の中制定されたのが基本法です。
さて、交通にはすでに大量の法律があります。

道路そのものの管理のための道路法。
公安委員会が定める安全や円滑な走行のため道路交通法。
制度の確立と交通安全計画の策定、交通対策安全基本法。
福祉政策としての交通バリアフリー法。
まちづくり的な都市計画との関わり 都市計画法。

しかし交通事業の自体のあり方を記載したものはありません。
なぜかと言うと公共交通は長年、民間の事業者が担ってきたからです。

ちなみに環境問題については都市の低炭素化のための指針は2012年にエコまち法があります。

2010年に
交通基本法の制定と関連施作の充実に向けた基本的考え方 が制定

2011年に法案に。

中身は
国民等の交通に対する基本的な需要が適切に充足しなければ成らないとして
交通の機能の確保及び向上が図られることを要求するものです。

これは採算性で在廃を考える従来とは明確に異なるものです。

都市計画の観点からは
交通に関する施策の推進はまちづくり、観光立国の実現その他の観点を踏まえ、これら施策は関連する施策と連携すべきとされ
交通まちづくりは必要不可欠とされています。

このあと閣議決定の後、審議に入り交通基本法の成立は秒読みと思われましたがその後に東日本大震災が、、、

その後、2013年に交通政策基本法が施行されます。
3条の機能の向上は当然
4条は環境への負荷の軽減を述べ
5条で自動車、徒歩、公共交通機関の役割分担と連携
6条で交通施策の実現はまちづくり、観光立国の実現その他の観点を踏まえてその他施策と連携が必要

といったものです。

要は交通がまちづくりと一体である、交通まちづくりの肝である、といった中身の基本法です。

そして交通政策基本計画ではコンパクトシティ化等施策について記載されています。
地域交通に公共交通を政策的に活性化しようという発想が前面に出ており、鉄道・バスの二者択一ではなく BRT・LRT・ディマンドタクシー・コミュニティサイクル等の具体的な施策についても記載されています。
加えての数値目標。
低床式路面電車を2020年までに25%から35%市区町村に。
コミュニティサイクルは54市区町村から100市区町村に引き上げるとしています。
ここまでが交通政策基本計画の数値目標です。

またこれとは別に
2020年 100件の地域公共交通網形成計画を策定する、と言うものがあります。
これは地域公共交通活性化法・再生法の改正によって生まれた数値目標です。

また地域公共交通活性化法・再生法の改正によって
計画を阻害する行為の防止、計画が実施されていない場合の勧告命令なども盛り込まれています。

これと立地適正化計画は表裏一体です。
つまり公的施設や病院を誘導するその際には人々の利便性の高い足として公共交通に関する施策が必要不可欠です、といっているのです。

地域の公共交通のネットワークがあってコンパクトシティができるし
施設がそこにくることにより利用者も増加するといわけですね。

さて交通とまちづくりが一体化し行政や事業者がコンパクトシティ戦略に沿って動き出す土台は整ったのです。


その2に続く


サポートいただけましたら速攻で本を買い、読書録を書きます。ご希望ありましたらメッセージをお願いします。交通、鉄道、就職、恋愛、筋トレ、なんでもござれ。よろしくお願いします。