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日本お米ばなし vol.32 環境編「マイクロプラスチックの何が問題なの?」

Natural Farmingは、お米の専門家である「五ツ星お米マイスター」のいるお店です。
お米が大好きな私たちがお届けする【 日本お米ばなし】ぜひご覧ください。


Natural Farmingでは、ゴミをなくし、資源を浪費しない「ZERO WASTE(ゼロウェイスト)」活動に賛同し、可能な場合は紙袋で発送を行うなど、できる限り使用する資源を少なくする工夫をしています。

すると、お米のパッケージがプラスチック素材であることに疑問が生じます。今回はなぜこのパッケージを採用しているのかと、そもそもマイクロプラスチックの問題とはなにかについてご紹介したいと思います。

鮮度保持とパッケージ

「持続可能性の高い、環境負荷の小さな生産方法で美味しいお米をつくる生産者を応援したい」という想いから始まった当店では、自然由来かつ再生可能な素材のパッケージを随分探しました。現在もまだ探しています。
ところが、現在の技術ではお米の鮮度保持や輸送の観点をクリアできる素材を見つけられずにいます。

よくあるお米の紙袋(クラフト紙の袋)について、実はおおまかに2種類あります。

1つはクラフト素材のみで再生可能ですが、鮮度保持の観点でいえば採用できません。とにかく安価で美味しさは二の次という場合には良いかもしれません。
もうひとつは、クラフトの内側にポリエチレンラミネート加工を施して一定程度の保湿効果のあるクラフト袋です。
ポリエチレンはプラスチックの一種なので、一見環境に配慮していそうな紙袋に見えますが袋の下の方をみると「プラ」のマークが付いています。
鮮度保持の観点からも美味しいお米を販売するならこちらの袋を選択することになります。

このような理由で、現在当店で使用している袋も鮮度保持の観点からプラスチックが使われたものを採用しています。

マイクロプラスチックとは

環境中に存在する微小なプラスチック粒子であり、特に海洋環境において極めて大きな懸念材料となっている。一般には、直径 5 mm 以下のプラスチック粒子または、プラスチック断片と定義されている。海洋研究者の一部は1 mmよりも小さい顕微鏡サイズの全てのプラスチック粒子と定義している。

Wikipedia

現在では、レジ袋の有料化やSDGsの取り組みからも使い捨てプラスチックをできるだけ使用しないことを推奨するのが当たり前の世の中になってきました。

それでは、海のプラスチック汚染によってどんなことが起こるのでしょうか。

マイクロプラスチックの問題

まず、レジ袋やペットボトルのような大きなプラスチックについて、魚やクジラなどが餌と間違えて食べてしまい、のどに詰まって最悪の場合は死に至らしめます。
ウミガメの顔にプラスチックストローが突き刺さったショッキングなニュースをご覧になった方もいることでしょう。
そもそもリサイクル率が低いため、再利用が難しいという問題もあります。適切に処分されなかったごみがものすごい量となって海に蓄積している現状はすでに周知の事実ですよね。

マイクロプラスチックは小さいので、食べてしまうなどといった問題は起こしませんが、水中の汚染物質や重金属類を吸着し、それが食物連鎖によって運ばれます。プランクトンから小魚、中型魚、大型魚や海産哺乳動物へと移動して、体内に蓄積していくのです。

未来世代への配慮をしていく

現代を生きる私たちは、過去世代からの様々な恩恵とともに、決して少ないとは言えない様々な責任も受け取っています。そして、生活の豊かさと引き換えに失われた生き物や環境、資源などの問題と共に生きてきました。
だからこそ、未来世代の富を奪い尽くすことなく、できる限りの配慮をして受け渡していきたいと考えます。

「地球にやさしく食べる」という選択は、今ある食の豊かさを未来へつなぐことであり、現代を生きる私たちにできるペイフォワード(Pay it forward:自分が受けた善意を他の誰かに渡すことで、善意をその先につないでいくこと)でもあります。

まとめ

日本お米ばなし vol.32 環境編「マイクロプラスチックの何が問題なの?」
こたえ:海の生き物や自然環境に深刻な悪影響をもたらすため。

おわりに

農業は自然循環の産業であるため、海とも繋がっています。陸で使うものが海にも影響することを理解して何を選ぶか考えていく必要があります。
一方で、プラスチックのおかげで鮮度保持ができたり、食品ロスの削減が可能になる場合もあります。
自然環境が許容できないほどのスピードでリサイクルしにくい素材を使い続けていくことに無理があるのでしょう。私たちも普段の生活で選ぶもの、ゴミの分別などできることから心がけています。

コラムの冒頭でお話した、環境に配慮しながら鮮度保持が可能なパッケージもまだ大ロットでないと利用できず、手が届かないのが現状です。使いきれずに劣化し処分となれば本末転倒なので、今後も諦めずに探していきます。

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