見出し画像

#9惑星(ほし)をすくうねこ



夜空には



たくさんの星が浮かんでる




星があるから空を見上げたのか





空を見上げたから星があるのか





ほんとのところはわからない




ぼーっと空を眺めていると




変なねこが空で




惑星(ほし)をすくってた






何あれ?




ありえなくない?




でも



おかまいなしに




星をすくうねこをみてると





何がありえないことで




何がありえなくないことかさえ




わからなくなってきた





ねこは次々と




星をすくっては




箱に入れていった





不思議だね





星は私たちより




何倍も大きいはずなのに




夜空に手をかざすと





いくつもの惑星(ほし)が





手のひらにすっぽりおさまる







でも触れられない





ほんとに触れようと思えば




この身体では




その星のほんの一遍にすら





触れられないんだよ






こんなに身近なのに






何だか






とても遠い






そうこうしてるうちに





箱いっぱいに





星を積んだねこは






夜空の向こうに消えていった









あのねこはどうやって






星をつかまえたの?





無邪気にしっぽを振りながら





消えていったねこの後ろ姿は





今となっては




ただの幻のように思えた





きっと疲れてるんだ




帰ろ




歩き出した私は





ふと気づいた





わたし






地球(ほし)の上に立ってる






あの空の星たちからみたら





わたしも星の一部なんだ





ぜんぶの境界線が





なくなったように感じたとき





不思議な鼻歌と共に





あの変なねこがもどってきて





わたしをすくっていった







すくわれたのが





わたしなのか





私の一部なのか





もはや





わからない






ただ静かに





変なねこの鼻歌だけが





そこらじゅうに響いていた









#宇宙をかけるねこ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?