#10 「服作りの面白さの事」
少し前の話になるけれど、又一つ歳を重ねた。
もうこの年齢にもなれば誕生日の嬉しさなんてほぼ感じられなくて
むしろその日を迎えるのが怖いまである。
ああ、、、また一歳老けてしまったかー(笑)みたいな。
そう言えば体も昔みたいな無茶は出来なくなって
自然と労わる事が当たり前になってきたかも。
若い時には暴飲暴食は当たり前、徹夜して次の日にそのまま遊んだり学校に出たり
運動しまくって筋肉痛が出てもそれが快感に思っていたけど今はしんどい(悲)。
歳を重ねれば世の中のサイクルもなんとなくだけど分かってきて
子供の時に感じてたであろう新鮮で、ちょっとした事でもキラキラしてて
輪郭がパキッとしたワクワク感みたいなものがどんどんと無くなってきた気がする。
経験から導き出せる事が多くなってきて迷うことも無くなってくるし結果も読めてきてしまうから当たり前か。
その代わりに?日々のルーティーンの中に身を置く事が普通になってきてそれの繰り返し・・・になっていないだろうか。
当然のように昨日が過ぎて、今日になり、明日がやってくる。
それを見比べた時に少ししか彩度の変わらない日々で随分とお腹が空く。。。
ただ「変わり映えの無い日常」といえば聞こえは悪いかも知れないけれど
それは本当は有難いことでもあるんですよね。
有難い事でもあるのだけれど鮮度もさほど気にしなくなってしまう日常はなんか寂しく感じてしまうのも事実。
前置きが長くなってしまいましたがその対比として服作りっていつでも新鮮で目新しいよねって話なのです。
気が付けば人生の半分以上服作りに費やしてきてたんだなーって改めて振り返ってみてびっくりした。
これからも続けていけばその比重がどんどんと大きくなるんだろうな。。。
飽きっぽいと思っている性格の自分がこんなにも続けていけるなんて不思議。
その、継続していける面白さってなんだろう?と考えてみた。
服作りでお客様の手に渡るまでにはいろんな人が関わっていて大きいブランドになればなるほど大勢の人の手が加わる。
これはどの業種でもそうなのかも知れないけど。
服をデザインして、型紙を起こし、縫製して形にする。
デザイナーだったり型紙を作るパタンナー、縫製する工場の人達、生地屋、副資材屋、広報宣伝、ショップ・・・
自分はというとまだまだ小さなブランドなので作ること全てにおいて活動していて
どんな形にしようか?とかどんな生地で?どんな色で?どんな縫い方で?
などなど、日々頭を悩ませる。
小さい時のそれとは違うのかも知れないけれど面白いデザインを考えた時とか
素敵な生地に出会った時、色の組み合わせで上手く行った時、シルエットが綺麗に仕上がりそうな時、縫製方法がハマった時、
そして仕上がった服を見て想像通り、いやそれ以上上回った物が出来上がった時にワクワク感や日々の日常からハズレたドキドキを感じる。。。
こうすればこうなるんだろう、ああすればああなるだろう、なんていう経験からの
予測が上手くいくこともあるし時には失敗することもある。
むしろ上手くいかない事の方が多いし迷うことばかりだ。
迷うからもっと良くしようと思えるし色々と工夫して頭の中の完成図に近付ける。
その、中々思い通りにならない作業が面白いんだろうなぁ・・・
逆に。
経験を重ねると服作りに色んなアイディアが貯まってくる。
こうすればこうなるだろう・・・と思った予測がその通りに仕上がるのもまた楽しかったりする。「思い通りに出来上がった!」みたいな。
それは日常の中で「読めてしまう」事とは違った感覚なんだろうな。
という事でこれからもまだまだ服作りを続けていこうと思います・・・