長編小説「ギース」①

カーテンを開いてギースは思った、人生とは何か。生きる意味とは何か。神は果たして居るのか。
そんなギースを、カーテンと同じ赤い色が染めた。ギースは、今日のことを日記に書き留めた。もうノートがいっぱいだ。
彼は新しいノートをざっくばらんに机に置き、椅子に座ってまた考える。
だが、ギースの母親は、彼が一生懸命考えている事なんてそっちのけで、
「ご飯よ!」
なんて部屋中に響き渡る声でギースを呼ぶ。
「うるさいなあ、ちょっと今考えてるんだよ」
「ギース!お腹が空くわよ、くだらないこと考えてないでご飯を食べな!」
(外へ出るか)ギースは思った。
外へ出ると、車の上に並外れた運動神経で乗り、座り込むとまた考える。
ギースはその後車から降り、歩き出すとまた考える。歩きながら考える。
突然、何かがわかったような顔をしてギースは家へ走り、ノートに書き留めようとしたが、母に止められ、無理やりご飯を食べさせられ、おかげでそれを忘れてしまったらしい。
そのあとギースはすぐに自分の部屋で家出計画を立てた。
②へ続く

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