【小説】絶望の城①

遺跡探検隊ザストの隊長、チューヴィラが行方不明になり、白骨遺体となって発見されたのだ。
そこで33才のプロズド・カスマンは下働きでありながらちゃっかりと隊長の後釜になった。
彼には神から行動力が与えられており、
ずば抜けてまさに隊長と言うにはふさわしい人材だった。
彼は3年前、派遣会社からここに派遣されてきた。
チューヴィラが死んでいった場所は千里城、
「探検家の地獄」と呼ばれている恐ろしい所だ。
韓国の栄えある歴史をもつ元王朝時代の城なのだが、そこへ行くには険しい道があり、城の中に守りびとがおり、最下階に宝があると伝えられる。
これまで何人帰ってこない人がいたことか。
コブリッチは3日で通信が途切れ、ドルバン隊長一行は6日、最後の通信は
「ドルバンがやられた」
だった。グラッドは11日、おまけに勇敢なディグリグ隊長なんか数時間で途切れてしまった。
そんな難関に、新米のカスマンが挑戦するのだ。
生きて帰れる可能性は低いので、副隊長のスディーはカスマンに4人ほど人材を連れさせた。
だが、さすがに千里城に人材を使い果たしたのだが、どいつもこいつも使い走りのヤツだ。
一人は元皿洗いのドヒュー。手先が器用なのかもしれないと思いチューヴィラが雇った。
二人目はクラー。元公衆トイレ掃除だが、鼻が利くかと思いスディーが雇った。
三人目はファング。前科があり、洋服屋を目指していたが不発、浮浪者生活を送っていたところをスカウトされた。
四人目はグラング。超能力者だが、なかなかリーダーの言うことを聞かない。コイツもスカウトだ。
スディーたちは何でもかんでも箱に突っ込むタイプなのだろうか。
それでもちゃんと面接は行ったはずだ。
果たしてこんな質面倒臭い奴らを、カスマンはリードできるのだろうか?

① 終わり

サポートのご利用は計画的に。