花瓶(詩、ポエム)

少し水を与えれば、綺麗に咲く花がある

その花を、花瓶に入れて、水で満たしてしばらくすれば、それは綺麗に咲き誇る

水がある間、花は咲き続け、枯れそうになれば新しい花へと変える

そうして、人は綺麗に咲き誇っている

僕の目には、そんな綺麗な花が見える

そして、羨ましいと思う

僕にも花瓶がある

しかし、水を入れても入れても、どこかから流れ出し、花瓶にはごくわずかな水しか残らない

そこに花を入れても、水が足りず、すぐに枯れてしまう

何度も何度も、種類の違う花を入れてみても、やはり枯れてしまう

たまたま、少ない水で咲いた花があっても、誰も、その花を見てはくれない

遠い記憶の中に、同じような花瓶があったことを思い出す

学校の教室、その一番後ろに、ひっそりと置かれた小さな花瓶

花は綺麗に咲いていた気がするが、あれが何の花だったのか、誰の花だったのか、わからない

あれと同じだ

頑張って咲かせた僕の花は、ひっそりと、世界の片隅で、特に誰の目に留まることもなく、咲き誇る

水が少しだけだったので、結局すぐに枯れてしまう

もう、花瓶を満たせるだけの水は、何処にもない

この花瓶に、入れたいと思う花も特にない

空っぽになった花瓶を、そっと持ち上げる

これを、このまま地面に落としたら、きっと僕の花瓶は壊れるだろう

そんな当たり前のことに、少しだけ可笑しくなって、水が出た

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