スライム(詩、ポエム)

君が欲しい

君を独り占めしたい

君を僕だけのものにしたい

君を壊したい

込み上げてくる、謎の熱を持った何かが、身体の中心辺りでうごめく

ドロドロとしたそれは、まるでスライムのように形を変え、あわよくば、このまま君を取り込んでしまえないかと、僕の身体を操るように動かす

触れてしまえば、一瞬にして君を覆いつくすほどのこれが、溢れ出ることはわかっている

だから、僕は触れない

もう触れられないんだ、君には

僕はこのドロドロで、醜いほど、崩れてしまっている

元の綺麗な僕は、とっくの昔に消えていて、きっともう元には戻らない

君は、綺麗だ

君を、この何かで覆って、溶かしてしまうのは嫌だし、どんな権利や道理があったとしても、それを僕はしないだろう

君に触れたい

君の柔らかな髪を、温かい肌を、鼻をくすぐる匂いを、耳に響く声を発する口を、全て僕のドロドロとしたこれで溶かしてしまえれば、どんなに幸せだろうか

吸血鬼のように、君の綺麗な肌に歯を突き立て、僕の熱を流し込んで操ることができたら、どんなに気持ちがいいだろうか

そんな黒く、ゆがんだ何かが、そのドロドロから生まれてくる

やめようよ、そんなこと

君はきっと、君であるから、綺麗なんだ

僕という醜いスライムなんか、斬り捨てて、経験値にでもしてくれないか

これ以上、自分を見失いたくない

ドロドロで、もう誰かもわからなくなったかもしれないけど、人間でありたいと願うことくらい、許されてもいいような気がする

そっと、ゴミ箱に蓋をするように、ドロドロとした何かに蓋をする

僕が人間であるために、これは必要ない

もっと綺麗なドロドロだったら、透き通った色をしていたら、このスライムと一緒に、冒険できたのかな

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