拝啓(詩、ポエム)
拝啓
お元気でいらっしゃいますか?
こちらは以前よりも元気に過ごしております
あれからどのくらいの年月が過ぎたか、あなたはもう考えることはないでしょうが、私はまだぼんやりと、考えることがございます
未練がましいとか、女々しいとか、言われることもありますし、自覚してもおりますが、それだけあなたから受け取ったものは、私の中に未だに残り続けているのです
もう、顔も、声も、思い出も、全てが薄くなり、かすかに思い出せるのはあなたとの関係性だけでございます
おかしな話ですね
そんなになっても、まだ、あなたのことが忘れられないのです
あなたは、私のことを、もう覚えていらっしゃらないでしょう
それだけは、はっきりと言えます
何故なら、私は、私以外の誰かが、あなたの側にいることを知っているからです
少なくとも、あの時は
きっと、その方との思い出に埋め尽くされて、わずかだった私との時間を、忘れたのだと思っております
恨みつらみなど、今となってはそれほど多くはありません
きっとどこかで幸せに過ごされていることと思います
どうか、そのままお幸せに
そして、私のことをもし覚えているのなら、どうぞ忘れてください
あなたが幸せで、拍手に囲まれているその時に、私も何処かで拍手をさせていただきます
手の甲と、手の甲を合わせて
敬具
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