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ドアを開けると、遠藤里奈は自分の手を見て恍惚とした表情を浮かべていた。手からは血が流れ白いワンピースに不穏を広げている。僕は、深呼吸をして彼女に駆け寄った。 「見つかっちゃったあ」 彼女は慣れた手つきで止血すると、近くに用意していた包帯を手に取った。 「今日はちょっと深くやり過ぎたみたい」 里奈が自傷したのは、僕が知る限り今月で3回目だ。 確実に増えている。しかし彼女は朝食のスクランブルエッグを作るみたいに、左腕に包帯を巻いていく。 「かして」 包帯を巻くのを手伝お