フォルテシモ&ロマンティック協奏曲 第十二回:両雄愛並び立たず
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記者会見を終えた大振と諸般はその日のうちに東京へ戻った。もはや一国の猶予もならぬ。早く自分たちのピアノ協奏曲を作り上げなければならない。大振は成田で諸般を出迎える前にすでに協奏曲を仕上げていた。しかしそれはあくまで諸般への憎悪のみによって作られたものであった。だからもうそんなものは捨てて一から作らねばならぬ。ああ!この諸般と一緒に!今の大振は心から諸般との共作を望んでいた。天才大振拓人が他人と分かち合いたいと願ったのは初めての事であった。神の如く自分以外を見下