マガジンのカバー画像

コント集

1,005
オチのない世界で僕らは一体何を語ればいいのだろう。
運営しているクリエイター

#文学

もしも世界からうどんが消えたなら

 閉店ギリギリのはなまるうどんに入ってきた男と女は店の閑散とした光景に唖然としてしばし立…

315

桜とうどんの相乗効果

 皆さん、お久しぶりです。雉を世話していたせいで、記事を書くのをおろそかにしていました。…

秋(空き)時間
2週間前
23

文学の授業『人間失格』

 今、国語教師史岳守は現代文の授業で太宰治の『人間失格』について語っていた。史岳は元々文…

秋(空き)時間
3か月前
15

物を書くこと

 物を書く行為は果実を絞るようにも、鉛筆の先端をミリ単位で削るようにも喩えられる。それは…

秋(空き)時間
1か月前
23

偽りの自伝

 花巻健は今自伝を書いていた。しかしその伝記は花巻自身のリアルな半生ではなく、彼がこうな…

秋(空き)時間
2か月前
16

天然の夢

 とある夢売り店に一人の少女がやってきてカウンターの店主に涙目で尋ねた。 「私、夢が欲し…

秋(空き)時間
2か月前
28

真・光る君へ

 今日本で最も有名なダイエット講師村崎志木子は運命に導かれるように紫式部へと転生してしまった。貧乏貴族藤原宣高はある朝この月の世界の住民かと思えるほど珍妙な格好をした女にお父様おはようございますと言われ、腰が抜けるほど驚いた。娘なんて昨日までいなかったはず、だがこの女の言葉には無理やり信じざるを得ないほどの説得力があるし、この女を女御にでもすれば出世の道も開けると確信し、この女を娘と認め、早速朝廷に売り込んだ。  朝廷に出仕した途端に紫式部は大変な評判になった。年寄りたちは

ドイツ風メロドラマ

 かつて永遠の愛を誓った恋人もいざ結婚してみたらただのつまらない男だったというのはありき…

秋(空き)時間
3か月前
16

小田原さんの手帳

 隣の席の小田原さんは今年で定年退職する。小田原さんは絵に描いたように実直で何かあるとい…

秋(空き)時間
4か月前
13

骨が先か肉が先か

 とある肉料理専門のバルでさっきから二人の男が言い争っていた。周りにいた者たちはレストラ…

秋(空き)時間
4か月前
21

言語芸術

 とあるボロアパートの一室の前に立った二人の男は、ドアに釘つけられた紙を見て思わず目を逸…

秋(空き)時間
4か月前
26

古本から恋が始まる

 書店には置かれていなかった。ブックオフにすらなかった。かろうじて在庫が確認出来たのはAm…

秋(空き)時間
4か月前
19

パリピと純文学の間で

 戦後世代初の芥川賞作家であり、二十世紀後半の日本文学を代表する作家中上健次は新人の頃、…

秋(空き)時間
5か月前
15

カンヅメ

 どっかの結構高そうなマンションの一室で男女三人が派手な格好をした男に詰め寄っていた。 「先生、一体いつ原稿上がるんですか?締め切りまであと一週間ですよ。なのにこっちの連絡を無視して。一体進捗はどうなってるんですか!原稿見せてくださいよ!」  この問い詰められているチャラい男は人気作家であった。作家は自分を物凄い顔で見下ろしている編集者たちにびびって渋々PCを開けて原稿を見せた。 「こんだけ?一か月たってこんだけ?全然進んでないじゃないですか!先生あの時言いましたよね?