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コント集

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オチのない世界で僕らは一体何を語ればいいのだろう。
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2023年12月の記事一覧

消えゆく男

 朝起きて郵便受けを見たらそこに一枚の封筒があった。取り出してみると封筒には差出人の名が…

秋(空き)時間
4か月前
11

ホームコック

 テーブルに置かれた豪勢な料理に男はびっくりして女に聞いた。 「これって君が全部作ったの…

秋(空き)時間
4か月前
14

小田原さんの手帳

 隣の席の小田原さんは今年で定年退職する。小田原さんは絵に描いたように実直で何かあるとい…

秋(空き)時間
4か月前
13

骨が先か肉が先か

 とある肉料理専門のバルでさっきから二人の男が言い争っていた。周りにいた者たちはレストラ…

秋(空き)時間
4か月前
21

男たちの文学賞

 人気純文学作家落合泰樹と売れない作家の落合籠は親友同士だった。この同じ名字の二人は大学…

秋(空き)時間
4か月前
21

ワンシーンワンカット

「一旦シーン14の撮影を中断します。撮影再開は一時間後になりますのでそれまでにスタジオに戻…

秋(空き)時間
4か月前
12

言語芸術

 とあるボロアパートの一室の前に立った二人の男は、ドアに釘つけられた紙を見て思わず目を逸らした。なんだか見てはいけないものを見た気分になったからだ。この部屋には伝説の私小説作家厳吾文章が住んでいる。この二人の男は某文芸雑誌の編集者で、今日は厳吾の原稿を取りに足を運んできたのだ。二人のうち年かさの男が若い男に言った。 「お前厳吾先生の部屋見ても絶対驚いて声上げんなよ。あの人凄い神経質だからそんな事すると叩き出されるぞ」 「そんなに凄い部屋なんですか?床が原稿のクズだらけとか

古本から恋が始まる

 書店には置かれていなかった。ブックオフにすらなかった。かろうじて在庫が確認出来たのはAm…

秋(空き)時間
4か月前
19

さようなら、そしてさようなら

 人間なんてみんな愚かだ。一緒にいる時あれだけ幻滅しても、離れてみたらやっぱり愛しく思え…

秋(空き)時間
4か月前
24

婚約指輪 〜彼女に婚約指輪をあげたらいきなりうどんに落とされた話

 これで全てが決まる。僕はジャケットのポケットから、ずっと弄っていた箱を掴んだ。もうこの…

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4か月前
55

過程削除

 戦いは突然の逆転劇で終わった。終盤まで圧倒的に押していた武丸は地に倒れ、武丸鬼人にサン…

秋(空き)時間
5か月前
12

末期の夢

 春の麗らかな陽気だった。いや、そのように思えただけだ。実際に今は十二月であり、もう冬だ…

秋(空き)時間
5か月前
8

メトロポリタンビル 〜ある思い出

 メトロポリタンビル。思い出のテナントビル。だけど私はこのビルのことは殆ど知らない。彼に…

秋(空き)時間
5か月前
8