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短編

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#文学

続・札幌でサッポロ一番を食べる ~彼女と過ごした奇跡の三日間

一日目  こうして僕はまた北海道に帰ってきた。勿論また札幌でサッポロ一番を食べるためだ。…

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ロシア文学秘話:ドストエフスキーの改心

 ロシアの大文豪ドストエフスキーは若かりし頃社会主義者ペトラシェフスキーに深い影響を受け…

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ロシア文学秘話:トルストイの家出

 トルストイ家では何もかもが混乱していた。世界的な大文豪であり、その名声はニコライ皇帝を…

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文学とジャズ

 この間大学時代の親友と久しぶりに会った。道端でバッタリあってしばらく立ち話をしていたら…

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最期の一筆

 日本文学最後の文豪冬耳論外は今死の床で最期の小説を執筆していた。今病室の冬耳のベッド周…

秋(空き)時間
2週間前
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ストーリーのない小説

「ストーリーがなかったら小説にはならない。だから僕らがストーリーを紡ぎ出さなくちゃいけな…

秋(空き)時間
3週間前
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詩人になったジム・モリソン

 60年代の伝説的ロックバンドドアーズが解散して二十年以上経った。ボーカルでありカリスマと崇められたジム・モリソンがパリのホテルでオーバードーズで死にかけて奇跡的に助かった時、ロックバンドのドアーズは死んだ。運ばれた先の病院で目覚めたジム・モリソンはロスにいるマネージャーに電話をかけてこう告げたのだ。 「俺はドアーズをやめて詩人になる。もうガキ相手のお遊びにはうんざりした。ドアーズ続けたいんだったらお前らで勝手にやってくれ。メンバーにもよろしく。あばよ」  こうしてジム・

同じ風景は見れない

 土手に青空の手抜きの背景。その背景を前にしてメインキャストの僕らは語り合う。回りくどく…

秋(空き)時間
2か月前
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現実をフィクショナルでドラマティックなものにするために

 現実は芸術の模倣に過ぎないというオスカー・ワイルドの気の利いた言葉さえ陳腐に思えるぐら…

秋(空き)時間
3か月前
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偽名

 二十世紀半ばにデビューし、二十一世紀を四半世紀超えた今もなお精力的に活動する現代文学作…

秋(空き)時間
4か月前
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桜とうどんの相乗効果

 皆さん、お久しぶりです。雉を世話していたせいで、記事を書くのをおろそかにしていました。…

秋(空き)時間
5か月前
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物を書くこと

 物を書く行為は果実を絞るようにも、鉛筆の先端をミリ単位で削るようにも喩えられる。それは…

秋(空き)時間
6か月前
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偽りの自伝

 花巻健は今自伝を書いていた。しかしその伝記は花巻自身のリアルな半生ではなく、彼がこうな…

秋(空き)時間
6か月前
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天然の夢

 とある夢売り店に一人の少女がやってきてカウンターの店主に涙目で尋ねた。 「私、夢が欲しいんです。素敵な夢はありますか?」  店主は少女に向かってあなたの夢とはサクセスかドリームのどちらかねと尋ねた。すると少女はまっすぐな目で店主を見つめてドリームの方だと言った。彼女は天然の夢はありますかと店主に尋ねた。しかし店主は首を振りため息をついてこう言った。 「天然の夢ね。そんなもの数年前からここには売ってないよ。夢なんて今じゃみんな自動生成で作ってるからね。だからそんなものは