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駐輪場のおっちゃん


「おっちゃーーん
たこやきもってきたで」

「おー
ホンマに持ってきたんか」

数年前、
友だち三人でタコパをした。

その途中で

「駐輪場のおっちゃんに
たこやきを差し入れするから
ちょっと抜けるわ」と私。

友だちふたり
笑ってた。

地元の駐輪場のおっちゃん
いつも陽気に話しかけてくれる

「今日は仕事か?」

「うん。」

「気をつけてな」

私が出張セラピストをしている事も知っている

顔を合わすたび
「いつになったらマッサージしてくれるんや
2時間そうやな‥5000円でどうや?」

「安すぎるわ
無理無理!!!」

「今日は早かったな
今日は料理教室帰りやねん。」

「フルーツタルト作ってん。
美味しそうやろ」

「ほんまやな
わしの分はないんか」

「残念ながら
ないねん!!」

顔を合わす度に
どうでも良いような
話をしていた。

でも
ある日をさかいに
おっちゃんの姿がみなくなった

数カ月たって
ひさしぶりに
おっちゃんの姿が見えて声をかけた。

「最近みないから
辞めたんかなって思っとったんやけど、なんかあったん?」

私は駐輪場の定期を買っておらず
一時預かりで預けてた。
自転車をとめ、おっちゃんに
100円払い、顔見知りの人がいると
お喋りするのが楽しかった。


それがなくなってしまい
電磁ロック式に変更になり
その分、人の手がいらなくなってしまった。

人が足らへん時だけ
しかおらんねんと。
ほぼリストラみたいな感じかなと。

「会社が決めた事やから仕方ないわな」と
いつも陽気に話しかけてくるおっちゃんが
少し寂しそうでした。


便利にしたからと
ひとが幸せになるわけではないよ。